プロローグ

3年前。業魔病と呼ばれる人を魔物へ変える奇病により、世界は混乱の時代を迎えていた。
ミッドガンド聖導王国の辺境の村に暮らすベルベットは、厳しい状況の中でも家族と助け合い、あたたかな日々を送っていた。
しかし緋色の月が昇る夜、彼女を取り巻くすべてのものが一変。信頼していた人に裏切られ、愛する肉親を奪われただけでなく、謎の力に飲み込まれた彼女の左手は、魔物を喰らう力を持つ魔の手へと変貌を遂げた──

現在。時は流れ3年後。救世主の登場によって、秩序ある世界を取り戻しつつある王国を一人の女性が駆け抜ける──
彼女の名はベルベット・クラウ。その瞳には、彼女からすべてを奪った救世主への激情を宿していた──

物語のテーマ

強い感情を宿し、前へと突き進むベルベット。
感情を捨て、理を貫くことで世界に秩序をもたらさんとする者達の対立。
誰もが抱く感情と理性の葛藤を描いていきます。

テイルズオブベルセリアの世界

ウェイストランドという世界、その中央に広がる大地がある。遥か先の未来にて、グリンウッドと呼ばれる大陸。舞台は、海を越えて大陸を統治する大国「ミッドガンド聖導王国」。
いくつかの大地と、無数の諸島からなり、それらは「領」と呼ばれる管轄区としてまとめられている。
同じ王国内でも、北方と南方では寒暖差が激しく、土地による気候差も大きい。
気候差は、文化体系にも影響しており、建物の様式や、人々の暮らしも領によって様々である。
近年は世界的に寒冷化が進んでおり、特に北方地域は積雪に埋まりつつある。
ミッドガンド聖導王国では造船と航海の技術が発展しており、各地の交易も盛んに行われている。
海洋部は海流や気象の変動が激しいため、交易船は特定の航路を使用するが、それらを狙う海賊も出没する。

用語

業魔病

人間が魔物に変貌する病気のこと。病に冒された人の多くは凶暴化し、人を襲うようになるが、中には理性を保ったままでいられる人間もいる。

業魔

人間が魔物に変貌した姿のこと。
動物が業魔病に感染する例も確認されている。

精隷

自然の力を利用した術を扱う種族。
自我を持たず、人間に使い魔のように使役されている。なかには、人以外の姿をした者や自分の意思で行動する者もいる。

緋の夜

緋色の月が昇る夜のこと。
業魔病と何らかの関係があると言われているが……。

対魔士

業魔と戦う力を持った聖戦士。聖隷の力を利用して術をふるい、人々を守るために戦い続けている。業魔病の被害に苦しむ民衆にとって、英雄的な存在である。

聖寮

業魔の脅威から民を救うため、王国が設立した対魔士の組織。「理を貫くことで秩序と平和をもたらす」という思想のものと、王国の政治と軍事を主導している。

ロケーション

ノースガンド領

王国の北方に横たわる大陸。近年の急速な寒冷化によって氷雪に閉ざされつつあるが、人々は聖寮の指揮の下、結束して生活圏を維持している。一等対魔士テレサが支配する街・ヘラヴィーサは、ノースガンド領の中心都市である。

ミッドガンド領

王都が存在する王国の中枢。聖寮本部が置かれた王都周辺には、多数の対魔士が配備され、業魔の脅威から民衆を守っている。物資が充実し、人口も最も多い。

サウスガンド領

「南洋諸島」と呼ばれる無数の諸島から成る領。温暖な気候を持ち、他の地方には見られない奇妙な生き物も生息している。以前は自給自足ののんびりした土地で、一風変わった文化や信仰を持っていたが、業魔病が蔓延した現在は聖寮の理によって管理されている。

この他にも領は存在します。