テイルズシリーズでおなじみとなっている、キャラクター同士の会話を楽しむことができるのがチャット。
今までの作品だと、特定の状況に発生するようになっていた。主に、「セーブポイントに触れた際」、あるいは「宿屋に泊まった時」、あるいは「ディスカバリー」を発見時に見ることができるようになっているのがテイルズオブゼスティリアの特徴。歩いていて不意に発生することはほとんどなくなっている。
下に掲載している一覧は「ねこにんの里」で見ることができるものの順番になっている。今回、宿屋で自動発生するもの、特定の状況で自動発生するチャットの名称はプレイ中はわからないためまとめるのが難しいため情報提供求む。
パーティにいるのがデゼルかザビーダで変わるものもいくつか存在するので、まともにプレイして全部を見ようとするのは厳しいものがあるが、ねこにんの里において1つのチャットにつき50000ガルド支払うことで開放できる。
このページではチャットを種類別に掲載。チャット名クリックで下にある表示枠に掲載。
番号 | チャット名 | 発生地 | 詳細 |
---|---|---|---|
001 | 雷の理由 | マビノギオ山岳遺跡 | 「遺跡中央 大穴前」のセーブポイントに触れる |
002 | 謎の石碑 | 〃 | 〃 |
003 | 不思議な橋(ミクリオ発見) | 〃 | ディスカバリー「透明な橋」を発見した後(直前の選択肢で「あんな位置に〜」を選択) |
004 | 不思議な橋(スレイ発見) | 〃 | ディスカバリー「透明な橋」を発見した後(直前の選択肢で「まさか空中を〜」を選択) |
005 | イズチの山羊 | 天族の杜イズチ | ディスカバリー「ハイランドゴート」を発見した後 |
006 | 巣立ちの日 | 〃 | ディスカバリー「イズチヒバリの巣」を発見時 |
007 | ウリボアとの戦い | 〃 | 森でウリボアを狩って8枚皮入手した後、スレイの家の前のセーブポイント |
008 | 初めての下界 | レイクピロー高地 | ディスカバリー「天然の展望台」を発見時 |
009 | 加護の外へ | 〃 | 「アロダイトの森入口」のセーブポイント |
010 | 見たことのない蝶 | 〃 | ディスカバリー「キレイな蝶」を発見時 |
011 | 恵みの水車 | レディレイク | ディスカバリー「レディレイクの大水車」を発見時 |
012 | 聖堂と加護 | 〃 | ディスカバリー「聖剣の大聖堂」を発見時(憑魔の喧嘩を見る前) |
013 | 聖堂と加護と憑魔 | 〃 | ディスカバリー「聖剣の大聖堂」を発見時(憑魔の喧嘩を見た後) |
014 | 寝込んでいた間に | 〃 | 導師になってアリーシャに挨拶後、宿屋のセーブポイント |
015 | 宿屋の料理 | 〃 | 導師になった後に宿屋に泊まる |
016 | 故郷イズチ | 〃 | 〃 |
017 | 聖剣の祭壇 | レディレイク | ディスカバリー「聖剣の祭壇」を発見時 |
018 | 穢れた世界 | レイクピロー高地 | スレイ、ライラ、アリーシャの3人でガラハド遺跡に向かう途中セーブポイント |
019 | 憧れの天族 | レディレイク | スレイ、ライラ、アリーシャのパーティ時に宿屋に泊まる |
020 | 弓の台座 | ガラハド遺跡 | ディスカバリー「弓の祭壇」を発見時 |
021 | 旅の仲間 | レディレイク | ガラハド遺跡で滝の聖水を取ってきてから宿屋に泊まる |
022 | 湖の乙女 | 〃 | ガラハド遺跡で滝の聖水を取ってきてから聖堂内のセーブポイント |
023 | 奉納のススメ | 〃 | ウーノが地の主になった直後、聖堂内セーブポイントにおいて |
024 | 王宮の書棚 | ラウドテブル王宮 | ディスカバリー「ラウドテブル王宮の書棚」を発見時 |
025 | 地下牢 | ヴィヴィア水道遺跡・王宮地下エリア | ディスカバリー「古き地下牢」を発見時 |
026 | 導師と従士 | レディレイク | ラウドテブル王宮から脱出後に宿屋に泊まる |
027 | 暗殺ギルド風の骨 | レイクピロー高地 | ラウドテブル王宮脱出後、橋の様子を見に行く道中セーブポイント |
028 | 橋の復旧作業 | フォルクエン丘陵 | 橋の復旧作業を見に行く道中、アリーシャがパーティから外れた後、セーブポイント |
029 | ドラゴンの棲む霊峰 | 霊峰レイフォルク | 霊峰レイフォルクのセーブポイント「登山道 入口」にて発生 |
030 | 謎の天族 | 〃 | 暗殺者との戦いの後にある中腹のセーブポイント |
031 | 祠と花 | 〃 | ディスカバリー「レイフォルクの祠」を発見時 |
032 | スレイの脳内漫才 | 〃 | エドナ加入直後、霊峰レイフォルクの入り口付近で自動発生 |
033 | もう一人の謎天族 | フォルクエン丘陵 | エドナ加入後、フォルクエン丘陵のグリフレット橋北西のセーブポイント |
034 | ご対面、エドナとアリーシャ | 〃 | エドナ加入後、フォルクエン丘陵の橋を渡ったところの東側セーブポイント |
035 | 道端の祠 | 〃 | ディスカバリー「道端の道祖神」を発見時 |
036 | フォルクエンリス | 〃 | ディスカバリー「フォルクエンリス」を発見時 |
037 | 大樹そびえし学都 | マーリンド | 本を持った女性に会った後、近くのセーブポイント |
038 | 天族との共存 | 〃 | 街の穢れを浄化する段階、東の美術館前のセーブポイント |
039 | 王の胸像 | ダムノニア美術館 | ディスカバリー「覇王の胸像」を発見時 |
040 | 大樹の華 | マーリンド | ディスカバリー「大樹の花」発見時 |
041 | 2人の間柄 | 〃 | ボールス遺跡でエビルプラント撃破後に宿屋に泊まる |
042 | スキル活用のススメ | 〃 | ドラゴンパピー後、南口付近のセーブポイントで |
043 | 木立の傭兵団 | 〃 | ボールス遺跡の穢れ浄化後、宿屋のセーブポイント |
044 | 憑魔の住み処 | ボールス遺跡 | ディスカバリー「古き建造物の残骸」を発見時 |
045 | 英雄たちの素顔 | グレイブガント盆地 | 戦場から兵士たちが退いた後、ダークかめ屋に接近すると発生 |
046 | 暗殺者のイメージが…… | ティンタジェル遺跡群 | ミクリオたちが見えるようになってからセーブポイント |
047 | 泣いてない! | 〃 | 遺跡のハシゴを登ろうとして仲間たちに止められた後、セーブポイント |
048 | ドラゴンの伝説 | 〃 | ディスカバリー「ドラゴンの廊下」発見時 |
049 | 戦いの結末 | 〃 | ロゼとデゼル加入後のドラゴンの廊下のセーブポイント |
050 | 最初から見えてたら | 〃 | 最深部壁画前のセーブポイント |
051 | 壁画の様式 | 〃 | ディスカバリー「試練の壁画」発見時 |
052 | 戦う強さ | ヴァーグラン森林 | ペンドラゴへ向けて出発した後、ティンタジェル遺跡群入口のセーブポイント |
053 | デカいクワガタ | 〃 | ディスカバリー「ヴァーグランオオクワガタ」発見時 |
054 | 大きな切り株 | 〃 | ディスカバリー「巨大な切り株」発見時 |
055 | 石の用法 | ラモラック洞穴 | ディスカバリー「石黄」発見時 |
056 | 古代名を暗記せよ | ラストンベル | 聖堂前のセーブポイント |
057 | 自分だけの術 | ヴァーグラン森林 | ラストンベル入口のセーブポイント |
058 | ミクリオ、特訓 | ラストンベル | ラストンベル初訪問時に宿屋に泊まる |
059 | 鐘楼 | 〃 | ディスカバリー「ラストンベルの大鐘楼」発見時 |
060 | ラディッシュベル食べる | 〃 | ディスカバリー「ラディッシュベル」発見時 |
061 | 検問の時の芝居 | 〃 | 宿屋に泊まる |
062 | 騎士団と教会の対立 | 〃 | セルゲイと公園で話した後に聖堂前のセーブポイント |
063 | そろそろ馴染めた? | 〃 | セルゲイと公園で話した後に宿屋のセーブポイント |
064 | 憧れの斜塔 | 凱旋草海 | ディスカバリー「崩れた斜塔」発見時 |
065 | 幸せの形 | 〃 | ディスカバリー「崖と草原に暮らすヤギ」発見時 |
066 | ウサギおいし…… | 緑青林マロリー | ディスカバリー「グリンウッドノウサギ」発見時 |
067 | 広がる災厄 | パルバレイ牧耕地 | ディスカバリー「実りなき麦」発見時 |
068 | ハイランド牛 | パルバレイ牧耕地 | ディスカバリー「ハイランド牛」発見時 |
069 | 混ざりたいロゼ | ガフェリス遺跡 | ディスカバリー「開けられた石棺」発見時 |
070 | 憤怒の噴水 | ペンドラゴ | ディスカバリー「広場の噴水」発見時 |
071 | 共存の実態 | 凱旋草海 | 初めて凱旋草海に出たとき、ラストンベル入口のセーブポイント |
072 | 不安の中で | ペンドラゴ | いなくなったロゼとデゼルを捜した後に宿屋に泊まる |
073 | 枢機卿と教皇 | ペンドラゴ | セルゲイから通行証をもらった後の宿屋のセーブポイント |
074 | エリクシール発見! | ボールス遺跡 | 宝箱からエリクシールを発見すると自動発生 |
075 | 復讐 | ラストンベル | ペンドラゴ教会神殿で枢機卿に会った後にラストンベルの宿屋に泊まる |
076 | 謎の化石 | カンブリア地底洞 | ディスカバリー「謎の巨大生物の化石」発見時 |
077 | 光る地底湖 | 〃 | ディスカバリー「発光微生物」発見時 |
078 | グリフィカイト | バイロブグリフ崖道 | ディスカバリー「グリフィカイト」発見時 |
079 | 風とハーブ | バイロブグリフ崖道 | ディスカバリー「崖地のハーブ」発見時(火の試練神殿クリアより前でないと発生しない) |
080 | ヘリクタイト | イデル遺跡 | ディスカバリー「ヘリクタイト」発見時 |
081 | それぞれの学校 | ゴドジン | ディスカバリー「ゴドジンの学校」発見時 |
082 | ロマンボーイズ | カンブリア地底洞 | 初訪問時、北部出口付近のセーブポイント |
083 | 辺境の様子 | バイロブグリフ崖道 | ゴドジンに向かう途中の坂で発生する。 |
084 | 採掘の跡 | ゴドジン | ディスカバリー「赤精鉱」発見時 |
085 | 教皇の人間性 | 〃 | 火の試練神殿に挑む前に宿屋に泊まる |
086 | 赤精鉱の理由 | 火の試練神殿イグレイン | 神殿最深部のセーブポイント |
087 | 天族の力 | 〃 | ディスカバリー「巨大赤精鉱」発見時 |
088 | ペンドラゴは今 | ゴドジン | 火の試練神殿クリア後に村長と話した後の宿屋セーブポイント |
089 | 秘力の碑文 | ペンドラゴ教会神殿 | ディスカバリー「秘力の碑文」発見時 |
090 | マオテラスの紋章 | 〃 | ディスカバリー「マオテラスの紋章」発見時 |
091 | スレイの思い、ロゼの思い | 〃 | 最奥大広間前のセーブポイント |
092 | 消えたマオテラス | 〃 | ボス戦後、部屋の外の大広間前セーブポイント |
093 | 心の試練 | レディレイク | 水の試練神殿クリア後に宿屋に泊まる |
094 | キノコの森 | アロダイトの森 | ディスカバリー「食用キノコと毒キノコ」発見時 |
095 | すごいヤツ発見! | 〃 | ディスカバリー「アロダイトイカズチオオクワガタ」発見時 |
096 | 天族の文明 | 水の試練神殿ルーフェイ | ディスカバリー「壊れた目玉の像」発見時 |
097 | 蝶の名前 | アイフリードの狩り場 | ディスカバリー「虹鳳蝶」発見時 |
098 | エドナの花 | 〃 | ディスカバリー「野に咲く蘭」発見時 |
099 | 不思議な大岩 | ウェルシュ遺跡 | ディスカバリー「遺跡の中の巨岩」発見時 |
100 | 玩具の木馬 | 地の試練神殿モルゴース | ディスカバリー「壊れた木馬のおもちゃ」発見時 |
101 | 五大神にふさわしい場所 | ペンドラゴ | 教会神殿クリア後に宿屋でメーヴィンと話した後、宿屋のサーブポイント |
102 | アリーシャも本当は…… | フォルクエン丘陵 | フォルクエン丘陵の橋でアリーシャと会った後にセーブポイント? |
103 | 拘束されたアリーシャ | レイクピロー高地 | 水の試練神殿クリア後のモーガン大滝付近のセーブポイント |
104 | 憑魔アシュラ | 水の試練神殿ルーフェイ | 最上部大広間前のセーブポイント |
105 | マルトランの正体 | レイクピロー高地 | 水の試練神殿クリア後のモーガン大滝付近のセーブポイント |
106 | 怯えるミノタウロス | 地の試練神殿モルゴース | 最深部のセーブポイントに触れる |
107 | いたたまれない憑魔 | 地の試練神殿モルゴース | 最深部のセーブポイント |
108 | 生贄の是非 | ウェストロンホルドの裂け谷 | ディスカバリー「慰霊の石柱群」発見時 |
109 | 風と火 | 〃 | ディスカバリー「シルフイーグル」発見時 |
110 | ネズミ談義 | ガンガレン遺跡 | ディスカバリー「ルインラット」発見時 |
111 | 謎の天族ザビーダ | 風の試練神殿ギネヴィア | 神殿前広場でザビーダと戦った後、セーブポイント |
112 | ちょっと一息 | 〃 | ディスカバリー「壊れたハヤヒノの風車」発見時 |
113 | 秘力を得て | ラストンベル | 4つの試練神殿クリア後にラストンベルの宿屋に泊まる |
114 | 皇家の闇 | どこでも? | ヴァーグラン森林でセキレイの羽のトルメとフィルの話を聞いてから宿屋に泊まる |
115 | ザビーダがくれたもの | パルバレイ牧耕地 | ペンドラゴ入口前でザビーダと戦った後、セーブポイント |
116 | 風の秘力 | ペンドラゴ | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
117 | ヘルダルフの居場所 | グレイブガント盆地 | グレイブガントへヘルダルフを捜しにいった時自動発生 |
118 | よろしく大衆 | ペンドラゴ | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
119 | 天族サイモン | どこでも? | アイフリードの狩り場でヘルダルフと戦った後に宿屋に泊まる |
120 | 海の神秘 | キャメロット大陸橋 | ディスカバリー「橋上のカニ」発見時 |
121 | 花とトゲ | ザフゴット原野 | ディスカバリー「サボテンの花」 |
122 | Oh!オアシス! | 〃 | ディスカバリー「荒野のオアシス」発見時 |
123 | 発光するキノコ | トリスイゾル洞 | ディスカバリー「光るキノコ」発見時 |
124 | 奇妙な民芸品 | ローグリン | ディスカバリー「不思議な人形の置物」発見時 |
125 | 再生の石碑 | ローグリン | ディスカバリー「神秘の石碑」発見時、大地の記憶体験後 |
126 | 赤い花ひとつ | プリズナーバック湿原 | ディスカバリー「朱に染まる花」発見時 |
127 | 足跡のような…… | 〃 | ディスカバリー「巨大な足跡」発見時 |
128 | 寄生するツタ植物 | リヒトワーグ灰枯林 | ディスカバリー「枯れ木を覆うツタ植物」 |
129 | 鏡に映るもの | アルトゥス遺跡 | ディスカバリー「副葬品の金属鏡」 |
130 | 大地の記憶、収集完了 | どこでも | 全15種の瞳石を集めてからセーブポイントに触れる |
131 | 刻遺の語り部 | ローグリン | ローグリンでメーヴィンと会って瞳石を集める段階 |
132 | ヘルダルフの真実へ | どこでも | 全15種の瞳石を集めてからセーブポイントに触れる |
133 | 秘密に満ちた世界 | ローグリン | ローグリンでメーヴィンの話を聞いてから宿屋に泊まる |
134 | メーヴィンの元へ | どこでも | 全15種の瞳石を集めてからセーブポイントに触れる |
135 | めっちゃヘコんだ? | ローグリン | カムランの村での過去を追体験している最中に自動発生 |
136 | 真実を知って | ローグリン | 再生の石碑で過去の記憶を見た後にセーブポイント |
137 | 繋がりを断った後…… | 〃 | ローグリンでメーヴィンと戦った後、セーブポイント |
138 | メーヴィンの真意 | 〃 | メーヴィン戦後に宿屋に泊まる |
139 | 偶然と運命 | 〃 | 〃 |
140 | ルナールの意地 | ペンドラゴ | ルナール戦後に宿屋に泊まる |
141 | マルトランの真意 | どこでも? | マルトランとの戦い後に宿屋に泊まる |
142 | アリーシャの利用価値 | ボールス遺跡 | マルトランとの戦い後にセーブポイント |
143 | 人の世の縮図 | ヴァーグラン森林 | ティアマット撃破後、ラストンベルへ向かう前、セーブポイント |
144 | あっさり断ったなー | ラストンベル | セルゲイとアリーシャの対談を聖堂で見た後、セーブポイント |
145 | 憑魔の巣 | 遺講窟メルシオ | ディスカバリー「遺された商人の荷物」発見時 |
146 | 戦場跡にて | グレイブガント盆地 | ディスカバリー「自然に帰った馬」発見時 |
147 | ネコじゃらし? | ねこにんの里 | ディスカバリー「トラ柄のねこじゃらし」発見時 |
148 | カムランへの道 | ヴァーグラン森林 | 最後の戦いに向けてラストンベル出発後 |
149 | 怯えるサイモン | 天族の杜イズチ | イズチ内でサイモンと遭遇した後、セーブポイント |
150 | 雷神の像 | マビノギオ山岳遺跡 | ディスカバリー「厳しい雷神増」発見時 |
151 | ミケルの家 | 始まりの村カムラン | ディスカバリー「導師ミケルの家の焼け跡」を発見時 |
152 | カムランの記念碑 | 〃 | ディスカバリー「カムラン開拓の記念碑」を発見時 |
153 | 未知の紋章 | アルトリウスの玉座 | ディスカバリー「カノヌシの紋章」発見時 |
154 | 導師の痕跡 | 〃 | ディスカバリー「沢山の儀礼剣」発見 |
155 | 憐れなサイモン | 始まりの村カムラン | 最初のセーブポイントに到達 |
156 | 始まりの村の今 | アルトリウスの玉座 | アルトリウスの玉座入口の橋の上のセーブポイント |
157 | 穢れの中心にて | 〃 | 最上部大階段前セーブポイント |
158 | 名も知らぬ…… | カースランド島 | ディスカバリー「芽を出す巨大な実」発見時 |
159 | 大地の記憶を見て1 | ||
160 | 大地の記憶を見て2 | ||
161 | 大地の記憶を見て3 | ティンタジェル遺跡群 | 深部で瞳石を発見時 |
162 | 大地の記憶を見て4 | ||
163 | 大地の記憶を見て5(デゼル) | ||
164 | 大地の記憶を見て5(ザビーダ) | ||
165 | 大地の記憶を見て6(デゼル) | ||
166 | 大地の記憶を見て6(ザビーダ) | ||
167 | 大地の記憶を見て7 | ||
168 | 大地の記憶を見て8(デゼル) | ||
169 | 大地の記憶を見て8(ザビーダ) | ||
170 | 大地の記憶を見て9(デゼル) | ||
171 | 大地の記憶を見て9(ザビーダ) | ||
172 | 大地の記憶を見て10(デゼル) | ||
173 | 大地の記憶を見て10(ザビーダ) | ||
174 | 大地の記憶を見て11 | ||
175 | ゲオルグ・ヘルダルフ | ペンドラゴ | 騎士団塔でセルゲイと会話した後、騎士団塔内部の壁にかかっている絵に近づく |
176 | ヘルダルフ将軍 | 〃 | ディスカバリー「ヘルダルフの肖像画」発見時 |
177 | 大地の記憶を見て12 | ||
178 | 大地の記憶を見て13 | ||
179 | 大地の記憶を見て14 |
スレイ:さっきの人も雷にやられたのかな?
ミクリオ:順番が逆だ。あの人間のせいで雷が発生したんだ
スレイ:さっきの雷、やっぱジイジだよな
ミクリオ:ああ、侵入者への警告だね。これ以上踏み入るなって言う
スレイ:……
スレイ:ごめん……ジイジ
スレイ:やっぱり放っとけない
ミクリオ:やれやれ。珍しく色々起こる日だよ
スレイ:面白い石碑が見つかったな
ミクリオ:今日は収穫が多いね
スレイ:あの石碑……遺跡に比べて新しかったな
ミクリオ:ああ。まったく年代が違ったね
スレイ:内容、なんか助言みたいだった
ミクリオ:先にここを訪れた何者かが残した探索の標ということか
スレイ:オレたち以外にもいるんだな。遺跡を調べてる人が
ミクリオ:多分、冒険家、探索家……そう呼ばれる人間だろう
スレイ:探検家かあ……
スレイ:ホントすごいよ。この橋。どうやったんだろ?
ミクリオ:こんなもの、人間の技術じゃ作り出せないはずだ
スレイ:ってことはこの橋だけは「神代の時代」ぐらい古いものってことか?
ミクリオ:どうかな……いずれにせよ
ミクリオ:僕たちのような者に頼んで力を借りたのは間違いないだろう
スレイ:そこまでしてあっち側に人を入れたくなかったんだ
ミクリオ:この先はイズチに繋がってる。聖域を守るためには当然とも言えるね
スレイ:昔、神殿へ祈りに訪れた人々も断崖を渡れないと思い込まされたんだろうな
ミクリオ:さっきまでの僕たちのように、な
スレイ:ホントすごいよ。この橋。どうやったんだろ?
ミクリオ:こんなもの、人間の技術じゃ作り出せないはずだ
スレイ:ってことはこの橋だけは「神代の時代」ぐらい古いものってことか?
ミクリオ:どうかな……いずれにせよ
ミクリオ:僕たちのような者に頼んで力を借りたのは間違いないだろう
スレイ:そこまでしてあっち側に人を入れたくなかったんだ
ミクリオ:この先はイズチに繋がってる。聖域を守るためには当然とも言えるね
スレイ:昔、神殿へ祈りに訪れた人々も断崖を渡れないと思い込まされたんだろうな
ミクリオ:さっきまでの僕たちのように、な
ミクリオ:けど、よく気づいたね、スレイ
ミクリオ:君の直感にも感心させられるよ
スレイ:お?
ミクリオ:ごくごく稀にね
スレイ:褒めてくれたと思ったら、これだ
アリーシャ:すごいツノ……伝説に聞くドラゴンのようだ
スレイ:ははは、ドラゴンってお伽噺の?君って面白い人だな
アリーシャ:近づいたら危険だ!気が荒い野生種だろう……
スレイ:大丈夫。友達だから。小さい頃は四、五回吹っ飛ばされたけどね
アリーシャ:友達……なのか?
スレイ:うん。時々ミルクを分けてもらって村のみんなとチーズやヨーグルトをつくるんだ
アリーシャ:それは楽しそうだ
スレイ:楽しいよ。すごく
スレイ:あ!イズチヒバリの雛がいない
スレイ:落っこちた雛を育てようとしたら、ジイジにとめられたんだよな
スレイ:「人が育てたら、飛べない鳥になってしまう。巣に戻せ」って……
スレイ:あいつ……無事に巣立てたんだな
アリーシャ:スレイ:君の剣は面白い太刀筋だな
アリーシャ:なんという流派なんだ?
スレイ:え?流派……
アリーシャ:あるだろう?師匠やその系統を表す名前が
スレイ:そういうことなら……オレは「ウリボア流」だな!
アリーシャ:ウリボア流!?
スレイ:オレは飯のため、ウリボアは生きるために毎日、必死の真剣勝負だったんだ
アリーシャ:自然の中で生きているのだな。君は……
スレイ:その毎日がオレに戦い方を教えてくれた
スレイ:だからウリボアがオレの師匠で恩人
アリーシャ:だからウリボア流?
スレイ:そう!
スレイ:あ。恩人じゃなくて、恩ウリボアだな
アリーシャ:ふふふ
スレイ:良い眺めだな〜!なんか空気も違う感じがする
ミクリオ:ジイジの加護領域とは違う感覚だね
スレイ:下界は穢れで満ちてるって話だったけど、なんか感じる?ミクリオ?
ミクリオ:……それほど穢れてるって印象もないね
スレイ:だよな。こんなに綺麗なんだし
ミクリオ:見た目じゃ計れないものだろうが……今はこの景色を楽しむのも悪くない
スレイ:ミクリオも下界初めてだもんな。ワクワクしてるんだろ?
ミクリオ:いいよ。そういうことにしても
スレイ:ジイジの領域を感じなくなった……
ミクリオ:森を出たからな。いよいよここからが冒険の本番だね
スレイ:ああ。まずアリーシャを見つけて狙われてる事を伝えよう
スレイ:んで、狙ってるキツネ男もやっつける!
ミクリオ:憑魔との戦いはなるべく避けるべきだ
スレイ:でも……!
ミクリオ:マイセンの仇を討ちたいのは僕も同じだ
ミクリオ:だが、穢れをどうにもできない僕たちはヤツを倒せない
ミクリオ:それどころか退ける事もできるかどうか
スレイ:……もうジイジの助けはないんだもんな
スレイ:わかったよ。ミクリオ
スレイ:見ろよ、ミクリオ!この蝶!
ミクリオ:ふむ。ヒメウスバシロチョウの仲間だろうか?
スレイ:こんな蝶、初めて見た!
ミクリオ:当然だろう。下界は動物も植物も、イズチよりずっと種類が多い
スレイ:つまり、知らないものばかり!わくわくするよなあ
ミクリオ:忘れるなよ。同時に憑魔も多いってこと
スレイ:憑魔か──ジイジは穢れに染まるとあらゆるものが憑魔になるって言ってたけど
スレイ:この蝶も……?
ミクリオ:穢れれば、そうなんだろうな
スレイ:う……想像したら、ちょっと怖くなってきた
ミクリオ:それぐらいが丁度良い。慎重に行こう
スレイ:でっけえー!水車って、水の力で小麦を挽くんだよな?
ミクリオ:それだけじゃない。脱穀や製糸などにも利用しているらしい
ミクリオ:これだけの人間が生活しているんだ。色々大掛かりな仕掛けが必要なんだろう
ミクリオ:!
スレイ:いつごろつくられたものだろう?
スレイ:土台はずいぶん古い様式に見えるけど水車の部分は結構新しいし──
ミクリオ:スレイ
スレイ:ん?
ミクリオ:水が、かなり穢れている
スレイ:なんだって!
ミクリオ:この穢れた水は街の縦横に流れているものだ
ミクリオ:つまり……ジイジの言うとおり──
スレイ:人が穢れを生んでいるのか……
スレイ:は〜、聖堂ってこんなに華やかなものなのか
ミクリオ:さすがに導師伝承が残る街だね。それだけに気になる……
ミクリオ:加護領域を感じない
スレイ:そういえば……イズチではジイジの加護を常に感じてたのに
ミクリオ:ジイジが特別大きな力を持っているからあれほどだったとしてもだ
ミクリオ:この街はとにかく穢れが強い……。ちょっと気分が悪くなるぐらいだ
スレイ:あ、大丈夫なのか?ミクリオ
ミクリオ:まだね。正直長居するのは遠慮したくなってきてる
ミクリオ:想像してたより憑魔も多いし
スレイ:こんなに華やかな街なのにな……
ミクリオ:これが普通なのかもな。人の街では
スレイ:は〜、聖堂ってこんなに華やかなものなのか
ミクリオ:さすがに導師伝承が残る街だね。それだけに気になる……
ミクリオ:加護領域を感じない
スレイ:そういえば……イズチではジイジの加護を常に感じてたのに
ミクリオ:ジイジが特別大きな力を持っているからあれほどだったとしてもだ
ミクリオ:この街はとにかく穢れが強い……。ちょっと気分が悪くなるぐらいだ
スレイ:あ、大丈夫なのか?ミクリオ
ミクリオ:まだね。正直長居するのは遠慮したくなってきてる
ミクリオ:想像してたより憑魔も多いし
スレイ:オレたちってホント無力だよな……。憑魔の姿が見えてるってのに
ミクリオ:もどかしいけど……しょうがない。僕たちに浄化の力なんてないんだから
ミクリオ:それに憑魔に憑かれてる人間にも理由がある。邪な心に付け入られてるのさ
スレイ:こんなに華やかな街なのにな……
ミクリオ:これが普通なのかもな。人の街では
スレイ:オレ、導師になったんだなぁ
ミクリオ:……穢れの源である災禍の顕主をなんとかしなきゃいけないなんて
ミクリオ:聞いてすぐ受け止められる話じゃないな
スレイ:なんか聞いたばかりって口ぶりだな
スレイ:オレが寝込んでる間にライラから聞かなかったのか?
ミクリオ:ああ
ライラ:お話するつもりだったのですが、スレイさんと一緒でいいとおっしゃって
ライラ:ずっと本を読んでいらっしゃいました
スレイ:なんで?
ミクリオ:その方がライラの手間を省けるだろう
スレイ:にしても、三日も本読んでたのか?せっかく街に居るんだから見てくりゃいいのに
ミクリオ:別にいいだろう!戦いで疲れていたし、本を読みたい気分だったんだ!
スレイ:ミクリオ、昔っからそうだよな
スレイ:オレがケガして探検行けないときでも合わせたりさ
ライラ:律儀なのですね。ミクリオさん
スレイ:ホント。こんなので抜け駆けされたとか思わないのに
ミクリオ:本が読みたかっただけって言ってるだろう。まったく……
スレイ:わかってるよ
ライラ:ふふふ
スレイ:なかなか美味いよな!宿屋の料理
ミクリオ:ああ。料理店を兼ねているのはいいな
ミクリオ:一石二鳥だし、これからもお世話になりそうだ
ライラ:ミクリオさんは、食事をなさるのですね?
スレイ:はは、当たり前でしょ
ミクリオ:いや。天族は食事をとる必要はない
スレイ:ええっ!?ジイジたちもみんな食べてたじゃないか
ミクリオ:あれは、スレイに人間らしい生活をさせるためだって言ってた
スレイ:そうだったのか……
ミクリオ:僕が食べてたのは美味しいからだけどね
ライラ:必要がないだけで味覚は同じですから。食事に楽しみを見出す天族も多いですわ
ライラ:人と親しい天族は特に
スレイ:ライラは?
ライラ:以前は……食べていましたが……
スレイ:じゃあ、また一緒に食べようよ
ミクリオ:それがいい。長い旅になりそうだし
ライラ:……はい。お言葉に甘えますわ
スレイ:なあ、ずいぶん経った気がしないか?イズチを出てから
ミクリオ:もう帰りたくなったのかい?
スレイ:そんなはずないだろ!旅は始まったばかりなんだから!
ミクリオ:どっちだよ
ライラ:お二人は……イズチからいらしたのですか?
スレイ:そう。オレたちの故郷なんだ
ミクリオ:知っているのか?山の上にある天族の村なんだが
ライラ:え、ええ……
スレイ:いいところだよ。ライラにも見せてあげたいな
ミクリオ:やっぱり帰りたいんじゃないか
スレイ:違うって!けど、ジイジには色々説明した方がいいかなって
ミクリオ:カミナリは覚悟するんだね
スレイ:そ、それは勘弁だけど──
ライラ:これも縁なのでしょうか……
スレイ:聖剣の祭壇……ここが導師の契約の場だったんだな
ライラ:遥か昔の話ですが
スレイ:剣って導師のシンボルなのか?
ライラ:いえ?どうしてそう思うんですの?
スレイ:イズチの遺跡で「聖剣を掲げる英雄」──導師の壁画を見つけたし、
スレイ:ライラだって剣に宿って導師を待ってたしさ
ライラ:ふふ。必ずしも導師が剣を振るったわけではありませんわ
ライラ:導師の剣は、災厄や穢れを斬り、未来を拓いて欲しいという人々の願いを表したものなのでしょう。
スレイ:希望の象徴……
スレイ:この剣は……
ライラ:その剣はちょっと変わったものですわね
スレイ:儀礼剣だと思う。遺跡で見つけたんだ
ライラ:だから刃がないのですね
スレイ:護身には十分なんだ。ミクリオとの稽古にも便利だし
ライラ:……必要以上に傷付けない剣なのですわね
スレイ:未来を斬り拓くのは難しいかもしれないけどね
ライラ:スレイさん、剣はあくまでも象徴です
ライラ:何をもって何を斬るのか──それを識ることが大切なのですわ
スレイ:わかった……答えを探してみる
アリーシャ:普通の人間には見えない怪物、憑魔が世界中に溢れている
アリーシャ:これが災厄の時代の正体──
ライラ:はい。心の荒廃や異常気象も、すべて憑魔が原因なのです
スレイ:災禍の顕主ってヤツが、穢れと憑魔を生みだしてるんだって
スレイ:そいつを鎮めるのが同士の役目なんだ
アリーシャ:従士の役目でもあるわけだね
ライラ:スレイさんにも伝えましたが、まずは御自分の答えを見つけ出してください
ライラ:世界を、人を、穢れをどうすべきなのか
ライラ:使命に縛られず、アリーシャさんの素直な心に従って見極めてほしいのです
アリーシャ:しかし、我を出していいのでしょうか?私は従士なのに……
ライラ:従士は、配下ではなく導師を助ける者です。遠慮なんて要りませんわ
スレイ:うん。よろしく頼むよ
アリーシャ:わかりました!そういうことなら、思うところは──
アリーシャ:ビシっと言わせてもらいます!
ライラ:頼もしいですわ!
スレイ:オレも言うけど……今……かすったよ、アリーシャ……
アリーシャ:す、すまない!気合いが入りすぎた
ライラ:ふう……ちょっと一休みですわね
アリーシャ:はい。それにしても──
ライラ:どうかされましたか?
アリーシャ:いえ。改めて本当に天族がいるんだと思って
アリーシャ:こうしてお話しできるなんて夢のようです
スレイ:アリーシャも天遺見聞録を読んで、ずっと天族に憧れてたんだって
ライラ:ふふ、私も嬉しいですわ。アリーシャさんとお話できるようになって
アリーシャ:今思えば、あの時も本当にいたのだな。スレイの家族が
ライラ:あの時……?
アリーシャ:以前、始まりの村の手がかりを探してスレイの故郷に迷い込んでしまったのです
アリーシャ:そのとき、家族を紹介されたのですが、私はお芝居と思って、失礼なことを……
ライラ:そうですか。始まりの村を──
スレイ:平気だよ。みんな気がいいから
アリーシャ:そう言ってもらえるとありがたい
アリーシャ:ミクリオ様にも早く会えるといいのだが
スレイ:うん……そうだね……
アリーシャ:スレイ、弓の台座に何か書いてある。古代語のようだが……?
スレイ:どれどれ。ええっと──
スレイ:「遺跡や遺物を気軽に持ち帰ったり傷付けちゃダメだからねっ!」
スレイ:「モチロン宝箱は別だけどー♪」
ライラ:やけに軽いノリですわね
アリーシャ:いえ……盗掘と学術研究は、本来紙一重
アリーシャ:「行為の本質を見極めよ」という教えではないでしょうか?
ライラ:こっちは重すぎですわ!
スレイ:そういう解釈もできるけど、これは昔の人が残した冗談じゃないかなあ
アリーシャ:なるほど……遺跡は人がつくったもの。古人も私たちと同じ人というわけか
アリーシャ:深いものだな
ライラ:本当に真面目なんですね、アリーシャさんは
ライラ:大変なこともありますけど、やっぱり旅は楽しいですね
ミクリオ:そうか。ライラは長い間聖剣に宿っていたから旅は久しぶりなんだね
ライラ:ええ。ミクリオさんは初めての旅なんですよね?
ミクリオ:スレイもね。だから、仲間ができて頼もしいよ
ミクリオ:あらためてだけど、陪神としてよろしく
ライラ:こちらこそ心強いですわ。よろしくお願いします
ミクリオ:ライラもだけど、アリーシャが仲間になってくれたのもよかった
ミクリオ:スレイは、ずっと天族の中で独りだったからね。人間の仲間がいればと思っていたんだ
ライラ:スレイさんは、愛情を受けて育ったように思いますけど?
ミクリオ:それはそうだよ
ミクリオ:けどきっと、人にしかわらかんこと、見えないものは多いと思うんだ……
ライラ:ミクリオさん……
ミクリオ:っと。今のこと、スレイには──
ライラ:はい。主神と陪神の秘密ですね
スレイ:そういえば、聖剣祭って「湖の乙女」のお祭りなんだよね
スレイ:ライラが祀られてたってこと?
ライラ:湖の乙女は、レディレイクの古い伝承ですわ
アリーシャ:そう。聖剣で人々の罪を浄化する猛き御方
アリーシャ:霧とともに湖を歩き、黒き炎で魔を滅す
アリーシャ:月夜に歌い、迷える民に励ましを与える心優しき乙女──と伝えられている
スレイ:ライラって水の上を歩けるの!?
ライラ:まさか!それほど軽くはありませんわ
ミクリオ:今の……いくつかの言い伝えが混じっているように思えたけど?
ライラ:そうですね。私がこの街に来た時には、すでに伝承はあったんですの
スレイ:じゃあ、湖の乙女は別の天族
ライラ:はい。でも、ご不在だったので聖剣を器にさせていただいたのです
ミクリオ:導師を待つために、だね
ライラ:地下水道の遺跡で見たように、レディレイクは導師に関わりの深い街ですから
アリーシャ:ずっと独りで……お寂しかったでしょう?
ライラ:それほどでも
ライラ:寂しい時は、歌を歌ったり、街の人たちの悩みを聞いたりしていましたから
アリーシャ:それって伝承の!?
ミクリオ:そうか。霊応力をもつ人間がそれに気付いて──
スレイ:それまでの言い伝えに別の事実が混ざって新しい伝承が生まれた
スレイ:歴史って、こんな風に伝わるんだな
アリーシャ:さあ、頑張って奉納しないと!
スレイ:張り切ってるね
アリーシャ:もちろん!レディレイクに加護が戻ったんだ
アリーシャ:でも、維持することが難しいんだと思う。今できることをしっかりやらなければ
ライラ:アリーシャさんのおっしゃる通りです。日々の行いが加護を支えるのですわ
スレイ:わかった。オレたちもしっかり奉納していこう
ミクリオ:加護が強まれば旅もしやすくなるだろうしな
アリーシャ:あの本みたいにオニギリをあげたら喜んでくれるだろうか……?
スレイ:オニギリを奉納するの!?
ミクリオ:書いてあったかな?天遺見聞録にそんなこと
アリーシャ:あ……いや!絵本の話だよ
アリーシャ:転がったオニギリを追いかけた女の子が天族と出会う物語でね
アリーシャ:大好きなお話だったから、つい……
スレイ:はは、そんな本も読んでたんだね
ライラ:きっと喜んでくれますわ。純粋な想いがこもったオニギリですもの
アリーシャ:そうだと嬉しいです
スレイ:すっげ……本がこんなに!
ミクリオ:しかし、さすが王宮だね。貴重な本が揃っている
スレイ:遺跡や歴史の本も多いな。全部読んでみたいけど……
ライラ:あの本、面白そうな題名ですね
スレイ:「くるおしき愛の叫び」……詩集かな?
ミクリオ:ちょっと読んでみるか
スレイ:おい、本が浮いて見えるって!
ミクリオ:大丈夫。アリーシャがカバーしてくれてる
スレイ:まったく。オレが持つから貸して
ミクリオ:……なるほど。これはくるおしいな
ライラ:愛と苦悩を叫びながら、青すぎる情熱がほばしっていますわ
ミクリオ:十年後に読み返した作者が、自分のあまりの若さにもだえ回るのが見えるようだ
ライラ:そういう意味でも、くるおしいですわね
スレイ:そう?いいこと言ってると思うけど
ミクリオ:スレイ、君ってヤツは……
ライラ:情熱家なんですね
スレイ:うう、二人の視線……なんかくるおしい!
ライラ:秘密の地下牢……ですわね
スレイ:ああ、かなりの穢れを感じる
ミクリオ:どんな人間が閉じ込められたのかな?
アリーシャ:さぞ怨みを残したのでしょうね。王家への怨みを……
スレイ:アリーシャが気に病むことじゃ
アリーシャ:私は大丈夫だ。とにかく地上への出口を探そう
ライラ:開いている檻もありますわ。用心して進みましょう
アリーシャ:スレイ……王宮でのことは……
スレイ:ん?
アリーシャ:なんと言ったらいいか……本当にすまなかった
スレイ:気にしないでよ
アリーシャ:けど、あそこまでするなんて
アリーシャ:もちろん、スレイなら大丈夫とわかっていたが……
スレイ:ううん。アリーシャが来てくれなかったら多分バルトロさんたちは殺されてたよ
アリーシャ:……愚かだと思うだろう?自分を殺そうとした者を助けるなんて
アリーシャ:けど、あれは計算なんだ
アリーシャ:彼らがいなくなった混乱は、私では収拾できない。それで私は……
スレイ:自分のことより、国のことを優先した
スレイ:だろ?
アリーシャ:いけない。謝りに来たのに愚痴を聞かせてしまった
スレイ:よいのだ従士よ。これも導師の重要な役目なのだ
アリーシャ:感謝します、導師よ。ふつつかな従士に御命令があれば、なんなりと
スレイ:じゃあ、ひとつお願い
アリーシャ:遠慮なく言ってくれ
スレイ:あとで兵士の人たちに謝っておいて。「ぶっとばしちゃってごめん」って
アリーシャ:お安い御用だ
アリーシャ:兵たちも君が手加減してくれたことはよくわかっているはずだよ
ミクリオ:まったく聞いていられないね
ライラ:聞いちゃいましたけど
ミクリオ:別に聞きたかったわけじゃない
ライラ:でも、心配なんですよね?
ミクリオ:……スレイは、なんでも背負いすぎるところがあるからね
ミクリオ:それだけだよ
スレイ:すっごい腕前だったよな
ミクリオ:あの暗殺者たちか
スレイ:ああ。憑魔並の力を感じた
ミクリオ:だが……普通の人間だったよな?
スレイ:と思う
ライラ:…………
スレイ:でも、なんで憑魔じゃないんだろ?
ライラ:それは……
ライラ:実はいい人とか
アリーシャ:そんな。大陸一の暗殺ギルドなのですよ
ミクリオ:アリーシャは詳しいのか?風の骨のこと
アリーシャ:有名ですから
アリーシャ:顔を見た者もいないから、断片情報からの推測なのですが
アリーシャ:貴族、裏社会の大物、軍人など、百名近くの暗殺に関わっているといわれます
アリーシャ:半分都市伝説と思っていましたが……
スレイ:あの腕なら納得だな
ライラ:でも、実際に憑魔ではありませんでしたわ
アリーシャ:なにか事情があると……?
ライラ:それはわかりませんが
スレイ:事情かあ……
ミクリオ:会って確かめたいなんて言うなよ
スレイ:言わなくても、また会うかもだろ?
ミクリオ:全力で遠慮したいけどね、僕は
ライラ:スレイさん、全然導師と思われていませんね
ミクリオ:アテにされて大騒ぎになるよりマシさ
ミクリオ:それに、スレイはそんな事よりも別の事が気になってるらしい
ライラ:……橋の復旧作業ですわね?
スレイ:うん、これ程進んでないなんて思ってなかったよ
ミクリオ:まだしばらくはマーリンドは孤立状態か
スレイ:なんとかしてあげたいな
ライラ:……
スレイ:近くで見ると、ホントすごい山だな〜
ミクリオ:まさに霊峰の名にふさわしいな。それにしても……ドラゴンか……
スレイ:ちょっと信じられないよな
ライラ:少なくとも私が以前訪れたときにはその姿は見えませんでしたわ
スレイ:それって前の導師との旅?
ライラ:い、いきなりしりとり大会〜!あんぱん!あ、終わってしまいましたわ!
ミクリオ:めちゃくちゃだ……
スレイ:はは……例の誓約だね……
ライラ:と、ともかく!仮に本当にドラゴンが居るのなら今の私たちでは全く太刀打ちできませんわ
スレイ:もし出会ってしまったら逃げろって事か
ミクリオ:出会わない事を祈るよ
ライラ:まったくあの方ときたら!
スレイ:さっきの奴のこと聞きたいけど……
ライラ:いつもいつも不真面目で!
ミクリオ:あの不思議な道具のことも聞きたいが……
ライラ:しかも乙女の前でハダカなんて!
ミクリオ:今はやめておいた方がよさそうだね
スレイ:賛成
スレイ:本当に綺麗なところだな
ライラ:ドラゴン伝説のおかげで人があまり立ち入らないから穢れが少ないのでしょう
ミクリオ:祠もある。ここが天族の住み処に間違いないだろう
スレイ:もしかしてここのドラゴン伝説はこの祠を守ろうとした人間がデマを流したのかな
ミクリオ:ふむ……そうだとしてもあまり効果はなかったようだ
ミクリオ:これを見ろ。花が供えられている。人が来ている証拠だ
スレイ:その祀られてる天族も見当たらないけど……
ミクリオ:人に祀られている天族が祠から離れてるなんて……ちょっと普通じゃないね
スレイ:……まさかドラゴンに……?
ライラ:ですが、本当にドラゴンが居るのならこの程度の穢れではすまないと思うのですが……
ミクリオ:もっと進んでみるしかないね
スレイ:うん
エドナ:ねぇ水のボーヤ。名前は?
ミクリオ:僕はミクリオ!ボーヤじゃない
エドナ:聞かない名前ね……ミクリオボーヤ
ミクリオ:好きに呼んでくれ……
エドナ:じゃあミボ
ミクリオ:ミクリオと呼んでもらう!いいね!
エドナ:ふぅ……しょうがない
ライラ:エドナさん……もうカカア天下ですの?
エドナ:そう
ミクリオ:ちょっと待ってくれないか……意味がわからない
スレイ:もう!頭ん中で漫才しないでくれ!
エドナ:スレイ、聞いてもいい?
スレイ:ああ。なんでも
エドナ:あなた、暗殺者に狙われているのよね
スレイ:うん。どうもそうみたいだ
エドナ:恨みを買ったの?なぜか穢れない暗殺者に
スレイ:そんな覚えはないんだけど……
エドナ:覚えもないのに、なぜか天族が憑いたこれまた穢れない暗殺者に襲われたわけ?
スレイ:い、いや。理由はオレが導師だからだと思う
エドナ:なるほど。導師だから……
エドナ:傭兵団にいたはずのなぜか憑魔にならない天族が憑いたこれまたなぜか穢れない暗殺者に狙われていたのね
エドナ:状況は理解したわ
スレイ:よ、よかったよ。わかってもらえて
エドナ:要するに、ほとんどわかってないってことね
スレイ:……だね
アリーシャ:……
アリーシャ:すごいな……導師にとっては荒れた河など障害にならないんだな
ライラ:ですが、あまり人前で見せるべき力ではありません
スレイ:うん……そうだろうな
エドナ:そうよ。この子みたいにいちいち反応されて面倒だもの
アリーシャ:エドナ様……申し訳ありませんでした……
エドナ:そうよ。反省なさい
エドナ:それに自己紹介しあっただけなのにもう名前で呼んでくるなんて随分馴れ馴れしいのね
アリーシャ:申し訳ありません……
エドナ:お詫びにノルミンダンスを踊りなさい
アリーシャ:の、ノル?
エドナ:わからないの?反省なさい
アリーシャ:申し訳ありません……
エドナ:お詫びにノルミンダンスを──
ミクリオ:無理矢理もとに戻さないでくれ!
ミクリオ:ライラ!エドナがアリーシャをからかってるだけってわかるだろう!
ミクリオ:何故止めないんだ!
ライラ:すいません……少しでもお話した方が仲良くなれるかなと……
ミクリオ:アリーシャ、エドナはこういうヤツなんだ。言ってる事をいちいち真に受けなくていい
エドナ:言うわね。ミボのくせに
アリーシャ:ミボ?
エドナ:わからいの?反省し──
スレイ:もういいよ!
スレイ:天族を祀る祠かな?
ライラ:ええ。かつては器だったようですね
スレイ:かつては……か
ミクリオ:昔は、こんな祠があちこちにあって、加護が広がっていたんだろうね
ライラ:そうですね。祈りを捧げる人も大勢いました
スレイ:少ないかもだけど、今も祈る人はいるよ
スレイ:ほら、エドナの山の祠。あそこにも花が添えられて──
エドナ:あれはワタシよ
スレイ:え?
エドナ:あの祠は、お墓代わりだもの
エドナ:お兄ちゃんが食い殺した人間たちのね
スレイ:でも……それは……
エドナ:同情はいらない。悪いのは人間たちだし
エドナ:ドラゴンの噂を聞いて面白半分で来るから、ああなったのよ
スレイ:…………
アリーシャ:あっ!かわいい!
エドナ:ただのリスでしょ
アリーシャ:いえ、あのフワフワ尻尾はフォルクエンリスです。とても貴重な種類で──
エドナ:落ち着きなさい
アリーシャ:でも、あんなにフワフワモコモコでかわいいと思いませんか、エドナ様?
エドナ:そう。カワイイものをやたらカワイがる自分をカワイイと思ってもらいたいのね?
アリーシャ:い、いえ!そんなつもりは!
エドナ:静かに。フワフワが逃げちゃうでしょ
アリーシャ:ですね。反省します
エドナ:おわびにリスリスダンスを踊りなさい。フワフワバージョンで
アリーシャ:リスリスダンス!?しかもフワフワバージョン??
ライラ:イジられてますね。アリーシャさん
ミクリオ:放っておいていいのか?
アリーシャ:わかりました、エドナ様!
アリーシャ:リスリスダンス・フワフワバージョンの指導をお願いします!
エドナ:ワタシは厳しいわよ?
アリーシャ:望むところです!
ライラ:いいんじゃないでしょうか。楽しそうですし
ミクリオ:確かに
アリーシャ:これが、あのマーリンドだなんて……
ライラ:歴史ある街なんですよね?天遺見聞録にも紹介されているとか
スレイ:うん。一回来てみたかったんだ
スレイ:「聖なる大樹そびえし学都、マーリンド。その梢に輝くは、学問の実と芸術の華」
ミクリオ:「この木陰に遊ばずして、いかに大陸の知と美を語るべきや」……ってね
エドナ:花も実も枯れちゃってる感じ
ミクリオ:またそういうことを言う
アリーシャ:ですが、事実です……
スレイ:けど、また春がくれば花が咲くし、秋には実がなるよ
ライラ:はい。学問や芸術への情熱が消えない限り、何度でも
ライラ:ね?
ミクリオ:確かに。それは歴史が証明してるね
エドナ:頭のお花は、もう満開ね
アリーシャ:エドナ様はお嫌いですか……お花?
エドナ:別に好きだけど。キレイな花ならね
スレイ:ここも加護天族はいないんだな
エドナ:そのようね
ミクリオ:世界中がこうだとは思いたくないが……
エドナ:人間嫌いの天族は少なくないと思うわ
スレイ:……もう人と天族は共存してないのかな
エドナ:天族と人が共存できるとか思ってるの?夢物語ね
ミクリオ:夢とは限らないだろう
エドナ:けど、現実派こうよ
スレイ:難しいのはわかってる。でも、現実にそういう時代はあったんだ
ミクリオ:遺跡にも天遺見聞録にも証拠が残ってる
エドナ:それ、いつの話?
スレイ:大昔の話だね
スレイ:けど、今もエドナみたいな天族がいる
エドナ:は?
ミクリオ:加護も取り戻せるってわかったしね
スレイ:そう。加護復活は共存への第一歩だと思うんだ
スレイ:だから、よろしく頼むよ。エドナも
エドナ:まったく勝手ね。だから人間は……
ミクリオ:慣れた方がいいよ
エドナ:勝手なヤツが多いわ
ライラ:この石像……りりしいお顔ですわね
アリーシャ:この面構えは相当の武人と見ました
エドナ:なかなかいい男。全身を見てみたいわね
アリーシャ:えっ!でもこの方は……
ライラ:ほとんどハダカでは?
エドナ:だからいいんじゃない。芸術的で
アリーシャ:た、たしかに鍛え上げられた武人の肉体は芸術的だと思いますが……
ライラ:アリーシャさん、はしたないですわ!
アリーシャ:いえ!あくまで一般論で私がそういう趣味というわけでは!
エドナ:あるんでしょ
アリーシャ:なっ!ないことはないかもですが──
ミクリオ:よく盛り上がれるね。石像相手に
スレイ:まったくだ
スレイ:そりゃあ、クローディン王は武を極めた英雄だけどさ
ミクリオ:待った。この像はクローディンじゃなくてメリオダス王だろう?
スレイ:え?それだと様式が合わなくないか
ミクリオ:後世に想像を加えてつくられたからだよ
スレイ:いや、その解釈は強引すぎだって
ミクリオ:そっちこそ固定概念にとらわれすぎ
スレイ:じゃあ、先入観なしで考えてみよう。そもそもこれが誰であるか、まず特徴が──
エドナ:よく盛り上がれるわよね。石像相手に
ライラ&アリーシャ:本当に
ライラ:スレイさん、見て!
スレイ:大樹が華を!
ミクリオ:「聖なる大樹そびえし学都、マーリンド」
スレイ:「その梢に輝くは、学問の実と芸術の華」
ミクリオ:この華みたいに戻るよな。学問も芸術も
スレイ:きっとな!
エドナ:大したものね
スレイ:くしゅんっ!
スレイ:あれ……誰か噂した?
エドナ:花粉のせいでしょ
スレイ:…………
スレイ:ま、そのうち慣れるだろ
スレイ:なんだ、まだ起きてたのか?
ミクリオ:……さっきからいたんだが
スレイ:無言でなんだよー。遠慮するような間でもないだろ
ミクリオ:ああ。そんな間じゃないよな
スレイ:もちろん
ミクリオ:もう寝るよ
スレイ:……ごめんな
ミクリオ:おやすみ、だろ
スレイ:ホント、ノルミンの力って面白いな
エドナ:顔ほどじゃないけど
ライラ:ノルミンさんたちのお助け能力は素晴らしいですわ。それぞれ効果も違いますし
エドナ:顔は完全に同じなのにね
スレイ:組み合わせ方で効果が変わるんだよな?
エドナ:生意気すぎ。ノルのクセに
ライラ:はい。組み合わせられるノルミンさんの数も増えていくはずですわ
エドナ:ノル×ノル=ノル地獄
スレイ:ノルミンに厳しいよね、エドナは
エドナ:別に。ただちょっと因縁があって
エドナ:問い詰めたいことが77個、苦情が108個、訴えたい案件が32個!
エドナ:あるだけよ
スレイ:複雑なんだな……
スレイ:ルーカスに木立の傭兵団か。変わった連中だな
アリーシャ:あんな繋がりもあるんだな……
エドナ:一応、筋は通ってるし。あいつらの理屈だけど
ライラ:彼らのように信じるものに自分の在り様を委ねる人間は、むしろ純粋なんですわ
ミクリオ:確かに穢れは感じなかったね
アリーシャ:つまり、穢れとは単純な前作ではないと……?
ミクリオ:悪人でも──いや、悪人だからこそ穢れないこともありうるわけか
スレイ:はぁ……穢れって難しすぎだね
ライラ:ふふ、そんな風に悩めるスレイさんの心が大切なんですよ
アリーシャ:私もそう思うよ、スレイ
エドナ:純粋というより単純なだけな気もするけど
ミクリオ:……否定はできないね
スレイ:あ〜〜〜!ますます難しいっ!
スレイ:…………
ミクリオ:この森も遺跡だったんだな
スレイ:どの遺跡も憑魔の住み処になっちゃってる。本当に広まってるんだな、穢れが
ライラ:スレイさん……
ミクリオ:…………
ミクリオ:遺跡が憑魔の巣なのは、僕も残念だよ
ミクリオ:けど、探索しながら憑魔も祓えるのは、一石二鳥じゃないか?
ミクリオ:どんな探検家や歴史家もできなかった冒険だ
スレイ:前向きだなぁ、ミクリオは
ミクリオ:はあ!?
スレイ:うん。悩んでても答えは出ないしな。それくらいノーテンキな方がいいよ
ライラ:スレイさんに言われると……
アリーシャ:ショックですよね
スレイ:行こうぜ!ポジティブミクリオ!
ミクリオ:お前!わかって言ってるだろ!?
エドナ:略して
ライラ:ポジリオ?
ミクリオ:略すな!
スレイ:これが……戦場なんだね
ライラ:はい。この風景だけは昔も今も変わりません
ミクリオ:人が人でなくなるみたいだ
エドナ:事実そうよ
エドナ:英雄とか豪傑とか呼ばれた連中って大抵は憑魔なんだから
ライラ:戦場ほど穢れを生み、人がそれを受け入れてしまう場所もありませんから
ミクリオ:そんなところで名を残した者が英雄……か。憑魔だと言われれば納得だね
エドナ:たしか、百勝将軍ディンドランとか、大昔に大陸を統一したメリオダス王とかも
ミクリオ:歴史の本に絶対出てくる名前だな
スレイ:「暗黒時代」を終わらせたクローディン王も?
ライラ:彼は……違います
ライラ:クローディンさんは導師だったと聞いていますわ
スレイ:そうなんだ
スレイ:知らなかっただけで、ずっといたんだな。導師も憑魔も……
ミクリオ:僕の中での暗殺者のイメージが崩壊していくよ……
ライラ:皆さん良い方たちですね
スレイ:うん
エドナ:ロゼって子は天族を信じたくないようだけど
ライラ:きっとすごい資質をお持ちですのに……
スレイ:ああ。彼女、穢れも感じない
ミクリオ:ロゼが天族を知覚できないのは彼女自身が拒絶してるからなんだな
スレイ:けどミクリオ、メーヴィンとの話聞こえてたんだ
ミクリオ:君が僕たちを知覚できなかっただけだ。他の事も全部見てた。ずっと側に居たからな
エドナ:で、仲間はずれにされて泣いてた
ミクリオ:泣いてない!
ミクリオ:ドラゴン……八天竜の石像か?
スレイ:いや、数があわない。ドラゴン信仰の建物なのは間違いないと思うけど
ミクリオ:時代を考えると、八天竜伝承の原型になった信仰かもしれないな
ロゼ:神頼み〜はわかるとしてもあ、なんでそれがドラゴンなんだろ
エドナ:どうにもできない力をもった存在。恐怖の象徴だからでしょ
エドナ:荒神として祀れば助かるとでも思ったんじゃない?
スレイ:あ……
ロゼ:あちこち回ったけど、足跡も見たことないけどね
ロゼ:あ、レイフォルクの側で聞いた雷の音は、ドラゴンっぽかったかも
エドナ:本物よ、それ
ロゼ:またまたあ!
エドナ:行ってみればわかるわ。命もなくなるだろうけど
ロゼ:……え
スレイ:オレたち、レイフォルクでドラゴンに会ったんだ
ミクリオ:そのドラゴンはエドナのお兄さんで……
ロゼ:は?エドナは天族でしょ?
デゼル:不思議はない。ドラゴンは穢れきった天族が実体化した化け物だからな
ロゼ:…………
エドナ:別に謝らなくてもいいわよ
エドナ:ドラゴンを拝むのがバカみたいっていうのは同意だから
スレイ:どうなったんだろうな?戦争の結果
ロゼ:さあねえ。ローランス軍が崩れたのまでは確認したけど
デゼル:直後にハイランドも将を失い撤退した
デゼル:勝敗は引き分けといったところだな
ロゼ:あんたもあそこにいたんだ?
デゼル:……戦場を見るのが趣味でな
ロゼ:ふうん
スレイ:オレがやったことが、そのまま結果に結びついたわけか
美羽kリオ:ライラの言った通りだな
スレイ:アリーシャやルーカスは大丈夫かな
ミクリオ:ルーカスは平気だろう。アリーシャのことは……
ミクリオ:ハイランドを信じるしかないね
スレイ:だよな……
ミクリオ:とにかく!僕らにできるだけのことはやったさ
スレイ:だよな!
ロゼ:そういえば別れたんだ?アリーシャ姫と
スレイ:うん。マーリンドで
ミクリオ:アリーシャにはアリーシャの夢があるからね
ロゼ:もしかして、あたしって後釜?
スレイ&ミクリオ:そういうつもりはないよ!
ロゼ:あはは!変な聞き方してごめん
ロゼ:気にしなくていいよ。一緒に行くって自分で決めたんだからさ
ロゼ:逆に、お姫様の役を求められても困る
スレイ&ミクリオ:それはわかってる
ロゼ:わかってるのはいいけど……
ロゼ:即答は失礼じゃない!?
スレイ:ロゼは最初から見えてたら天族も憑魔も怖がらないんだな
ロゼ:そりゃそうでしょ。最初から見えるって事は居るって事だよね?
ロゼ:見えなかったのが見えるって事は居ないって思ってたのにホントは居るって事
ロゼ:マジこわくない?
スレイ:わかるようなわからないような……ミクリオたち、苦労しそう……
スレイ:この壁画の紋様、似てないか?ペンドラゴの神殿ってのの紋様に
ミクリオ:天遺見聞録に載ってるのとは確かに似てるな
スレイ:どっちかが模倣なんじゃないかな
ミクリオ:ふむ……ということは、ここは「アスガード隆盛期」の遺跡ということか
ミクリオ:ペンドラゴの神殿がそうだからな
スレイ:うーん。ペンドラゴの神殿も見てみたいなぁ
ロゼ:それはちょっとむずいよ
スレイ:え、なんで?
ロゼ:ペンドラゴはローランス帝国の首都、神殿は教会の総本部
ロゼ:今や教会関係者、しかもトップ連中しか入れないって事
スレイ:そっか〜
ミクリオ:全然諦めてないな……
スレイ:ロゼ
ロゼ:ん?なに?改まっちゃって
スレイ:……導師の使命についてなんだけど
ロゼ:大地の記憶で見た災禍の顕主ってのをやっつけるってやつね。それがなに?
スレイ:オレ、戦場で会ったんだ。災禍の顕主に
ロゼ:そうなんだ
スレイ:けど、まるで歯が立たなかったんだ
デゼル:無様に霊応力まで封じられてな
ロゼ:ふむ。そこをあたしが助けたんだ
ロゼ:で?
スレイ:でって……つまり危険なんだよ、この旅は
スレイ:正直、勝ち目があるかどうかもわからない
ロゼ:勝ち目を探すの手伝うし、勝ち目がなければ逃げればいいっしょ
ロゼ:大丈夫だって。スレイは実力も現実もわかってるじゃない
スレイ:……ありがとう
ロゼ:なにが?
スレイ:とにかく、さ
ロゼ:ようわからんけど……どういたしまして
デゼル:問題ない。やばくなったら逃げるだけだ
スレイ:うわ!なんかスゴイのがいる!
ロゼ:ああ、ローランスオオカブトだね
スレイ:へえ〜、イズチにはいなかったよ
スレイ:カッコイイなあ!
ロゼ:スレイみたいな物好きが多くてね。良い値で売れるんだよ
デゼル:……違う
スレイ:え?
デゼル:そいつはヴァーグランオオクワガタだ
スレイ:クワガタなんだ!
ロゼ:あー……似たようなもんでしょ?どっちもツノついてるし
デゼル:全然違う
デゼル:カブトのはツノだが、クワガタのはアゴだ
ロゼ:うぐ!
スレイ:詳しいな、デゼル!
デゼル:ふん、常識だ
スレイ:けど、発達は異なるけど用法は……?
デゼル:どちらも闘争用だが、クワガタは腐葉土や朽木に潜るためにも使うな
スレイ:似てるけど別の道具ってことだな
ロゼ:要するにアレね!
ロゼ:お好み焼き用のコテともんじゃ焼き用のヘラみたいなもんだと!
スレイ:いや、それは……
デゼル:なにを言ってるかわからん
ロゼ:なんだよー、意気投合しちゃって!
スレイ:見ろよ、ミクリオ!でっかい切り株だ
ミクリオ:ふむ……年輪からすると樹齢千年は越えてるね
スレイ:……数えたのか?ヒマだな
ミクリオ:目測でわかるだろう!
ミクリオ:二十年の幅を目安にして半径が五十倍あれば千年だ
スレイ:ん?やけに年輪が詰まってる場所があるぞ
ミクリオ:本当だ。なぜだろう?
デゼル:気候が冷え込んだか、日差しが弱かった時代があったんだろう
スレイ:そうか!それで木が生長できなくて年輪が狭まった
ミクリオ:大体……千年くらい前か
スレイ:木も歴史を記録してるんだな
ミクリオ:しかし、よく気付いたね
デゼル:ちょっと考えればわかることだ
ミクリオ:キレイな石だな
エドナ:石黄っていう石よ
ミクリオ:ほう。確かに見事な黄色だ
エドナ:そう。だから昔は顔料とかに使われてた
ミクリオ:やけに詳しいな
エドナ:もちろん。地の天族だから
ミクリオ:……どうしたんだ?そのしゃべり方
エドナ:石黄は、別名雄黄とも言うわ
ロゼ:雄黄なら知ってる!毒薬の原料だよね
ミクリオ:毒薬!?
ロゼ:あたしたちは使わないけど。確かヒ素の一種だったかな
ミクリオ:猛毒じゃないか!
ミクリオ:それを早く言えよ!
エドナ:だからずっと言ってたじゃない
ミクリオ:ヒソヒソ話……か!
ロゼ:あはは!上手い!
ミクリオ:笑い事じゃないだろう……
ロゼ:ブツブツブツブツ……うう〜ん
スレイ:どうしたの、ロゼ?
ライラ:具合でも悪いのですか?
ロゼ:フォエス=メイマ、ルズローシヴ=レレイ、ハクディム=ユーバ、ルウィーユ=ユクム!
ロゼ:フォエス=メイマ、ルズローシヴ=レレイ、ハクディム=ユーバ、ルウィーユ=ユクム!
スレイ:ちょ、いきなり何!?
ロゼ:それ、こっちのセリフ!
ロゼ:ライラと契約した時、三秒で憶えろって超早口で叩き込まれたんだよー!
ロゼ:おかげで頭から消えないし〜!
ライラ:あの時は緊急だったもので、つい
スレイ:時々強引だからね、ライラって……
ロゼ:お化けとは別の意味で怖い〜!
ミクリオ:僕も誓約をすれば、ライラみたいな力を得られるのかな……?
エドナ:やめておきなさい。誓約は特別すぎる力よ
エドナ:そんなものに頼らなくても力を磨き上げれば、自分だけの術は身につくわ
ミクリオ:エドナは……もってるのか?そういう術
エドナ:当たり前でしょ
ミクリオ:どんなのだ!見せてくれないか?
エドナ:ふふふ、大胆なこと言うのね。大人の会談を登る気満々じゃない
ミクリオ:う……変な言い方はやめろ!
エドナ:そんなに見たい?どうしてもってお願いするなら特別に見せてあげてもいいけど
ミクリオ:……いやいい
エドナ:せっさくのチャンスをボーに振るミクリオ……略してボミね
ミクリオ:力を磨き上げるか……
ミクリオ:水よ!敵を穿て!鋭き氷、拡散せよ!
ミクリオ:くっ……ここで拡散を自在に操れれば……
ミクリオ:くっ!
ミクリオ:押さえ込みが弱すぎたか
ミクリオ:けど感覚はつかめてきたぞ
スレイ:ミクリオ、お前……
スレイ:この鐘楼、機械仕掛けなのか!
ロゼ:そう、ラストンベルの名物!
ロゼ:歯車がバーって動いてね。鐘の音が音楽に聞こえるんだよ
ライラ:それは聞いてみたいですわね
スレイ:う〜ん、さすが職人の街。すごい技術だな
ロゼ:あ。興味そっち……?
スレイ:動力はどうなってるんだろう?
ロゼ:さぁ?なんだろ?
デゼル:水をくみ上げる音がする。おそらく地下水脈の流れを利用しているんだろう
ロゼ:地下水脈!?
スレイ:本当?そんな風に見えないけど
デゼル:篭城用に隠してあるんだ。元々、ここは砦としてつくられた場所だからな
スレイ:それで城壁に囲まれているのか!
デゼル:この鐘楼も元は狼煙台だ
スレイ:そんな過去が……面白いなあ!
ロゼ:まったく男どもは。注目するとこ違いすぎ
ライラ:ふふ、でも面白いですわよね?
ロゼ:まあね
ライラ:まあ、美味しそうなおイモ!
ロゼ:ああ。ラディッシュベルね
ロゼ:小ぶりだけど、中は甘くてホクホクだよ
ライラ:バターがあいそうですね
ロゼ:さっくり揚げて塩でいただいても!
ライラ:いいですわねえ!
デゼル:言っておくがそのイモ……毒があるぞ
ライラ:そうなんですか!
ロゼ:あ。だっけ?
デゼル:大量に食べれば死ぬレベルでな
ロゼ:けど、火を通せば問題ないっしょー
デゼル:大ありだ。丸ごと焼いたら毒性が強まる
ロゼ:そうだ芽!芽を取ればいいんだった
デゼル:皮もだ。ラディッシュベルの毒は芽と皮にある
デゼル:皮を丁寧にむいて、芽を取り除けばあとは大丈夫だ
ロゼ:ちょ、ライラ!なんでデゼルに寄る!?
ライラ:なんでと言われましても……
デゼル:お前が大雑把すぎるからだ
スレイ:それにしても検問の時の芝居。よく思いついたよな
ロゼ:うん。特にライラが本気だったね
ライラ:実は、ずっとああいうお芝居に憧れていて。一度やってみたかったんですの
スレイ:それにしたって急にセリフが出てくるのはすごいよ
エドナ:経験値が違うのよ。人間とは
スレイ:そっか。天族って見た目通りの年じゃないんだっけ
ロゼ:……ライラって本当は何歳なの?
スレイ:そういえばオレも知らないや
デゼル:俺より年上な気もする……
ライラ:それは非公開です!
エドナ:こういう時のアドリブはきかないのね
スレイ:本当に対立してるんだな。ローランスの騎士団と教会って
ミクリオ:人を守るための組織だろうに
ライラ:人が集まれば、どうしても集団の意識が芽生えてしまいます
ライラ:それが組織の力となる場合もありますが強い穢れを生み、衝突を起こすことの方が多いのです
スレイ:戦争とかだね
ライラ:最大のものはそう。教会と騎士団の対立も、小さな戦争といえるでしょう
ミクリオ:「戦争、すなわち人の歴史である」本に書いてあったことを実感するよ
スレイ:……オレは関わらない方がいいのかな?
ライラ:スレイさんはどう思いますか?
スレイ:オレは知りたい
スレイ:ひどい現実だとしても、それも世界のひとつだと思うから
ライラ:でしたら参りましょう。スレイさんの旅なのですから
スレイ:オレとオレを信じてくれるみんなの旅、だよ
ライラ:ロゼさん、少しは私たちに馴染んでくれたでしょうか?
スレイ:大分慣れたんじゃないかな。怖がりだけど、さっぱりしたヤツだし
ミクリオ:いや、案外根が深いのかもしれないぞ
ミクリオ:ロゼの恐怖感は、あんなに強い霊応力を打ち消すほどのものだったんだから
エドナ:誰かさんのせいで
デゼル:お前たちに言い訳する気はない
スレイ:そんなロゼが自分の意思でつきあってくれてるんだ。大丈夫だよ、きっと
ミクリオ:そう信じたいよ。ロゼみたいな人間の仲間は、なかなか見つかるものじゃないだろうし
エドナ:いろいろなイミで、ね
ミクリオ:そう、いろいろなイミで
ライラ:ふふふ
スレイ:どうしたの?
ライラ:いえ、私たちもロゼさんに慣れたんだなって
スレイ:そうだね
デゼル:…………
ロゼ:うわっ!またスレイが見えないライラたちと喋ってる!
ロゼ:こ、こわ〜〜〜っ!
スレイ:先は長いかもだけど……
ライラ:あせらず行きましょう、スレイさん
スレイ:ミクリオ、壊れたとこで素材がわかるぞ!
ミクリオ:ふむ……一見普通の材質だが、それだとここまで傾斜して原型を保てるはずがない
スレイ:天響術が使われてた?
ミクリオ:ああ。だとすると、これは神代の時代に近い遺跡ってことになる
スレイ:やっぱりか!
ロゼ:なんなん?二人とも興奮しちゃって
スレイ:ずっと見たかった塔なんだ
ミクリオ:この斜塔は、天遺見聞録に特筆されているからね
スレイ:すげえよな!思ってたより全然でかい!
ミクリオ:しかも、これほど見事に残っているとは
ロゼ:憧れなの?こんな斜めってる塔が
スレイ:それが問題なんだ!どうしてこうなったか?
ミクリオ:普通に考えれば地殻変動だろうね
スレイ:けど、周りに断層の跡はないぞ
ミクリオ:じゃあ、地盤沈下?洪水の影響も考えられるか……
スレイ:元から斜めに建てられた可能性は?
ミクリオ:否定はしないが、一体なんのために?
スレイ:結局それだよな。問題は。宗教施設、墓、日時計……
ミクリオ:大掛かりな天響術の仕掛けだったのかも……?
スレイ:ロゼ!ロゼはどう思う?
ロゼ:へっ?
ロゼ:えっと……
ロゼ:話長い
スレイ&ミクリオ:…………
ロゼ:あれ。固まっちゃった
ライラ:モコモコのヤギさんですわね
エドナ:略してモギね
スレイ:こいつもヤギなのか。イズチにいるのとは大分違うなあ
ライラ:紙、食べるでしょうか?
デゼル:やめろ。人工のものを与えるべきじゃない
ライラ:すみません。そうですよね
エドナ:優しいのね。動物には
デゼル:お前たちが雑なだけだ
エドナ:そういうことにしておくわ
スレイ:デゼル。このヤギは崖で暮らす種類なのか?
デゼル:そうだ。普段は崖の上で生活し、草を食う時だけ草原に降りてくる
デゼル:眠るのも崖の上でだ
スレイ:崖の上で……大変だな
ライラ:落ち着けないでしょうに
デゼル:旗から見ればな。だが、案外気楽なのかもしれん
スレイ:そうか。少なくとも襲われる心配はないしな
ライラ:なにを幸せと感じるかは他人にはわからない……ということでしょうか
デゼル:そういうことだ
エドナ:もしかして実感こもってる?
デゼル:ふん。好きに解釈しろ
ロゼ:あ!見て見て!
スレイ:ウサギがいる!
デゼル:グリンウッドノウサギだな
スレイ&ロゼ:おいしそうだな!&おいしそ〜!
デゼル:なっ!?
ロゼ:どうかした?
デゼル:そこは……カワイイじゃないのか?
スレイ:ああ。かわいい上に美味しいんだ
ロゼ:知らないの?ウサギって高級食材なんだよ
デゼル:食用でもあるのは事実だが……
ロゼ:デゼルも食べてみればわかるって
スレイ:よし。オレが捕まえてさばいてやるよ
デゼル:遠慮する!
ロゼ:心配しなくても一番美味しいトコあげるって
デゼル:いや!天族に食事は必要ない
ロゼ:そう?そんなに言うなら……
スレイ:じゃあ、乾して保存食にしようか
ロゼ:賛成ー!
デゼル:ぼさっとしてんじゃねえっ!
スレイ:あ……逃げちゃった
ロゼ:ちょっと、デゼルー!追い立てるなんてかわいそうでしょ?
デゼル:き、基準がわからん……
スレイ:鍬が……忘れ物かな?
ミクリオ:なってないね。大切な仕事道具だろうに
ライラ:でも、麦畑は見事ですわ
スレイ:ああ。災厄の時代といっても、まだまだ豊かなところは残ってるんだな
ロゼ:一見ね
スレイ:一見?
デゼル:麦をよく見てみろ
スレイ:ん……?
ライラ:これは!
スレイ:実が全然入ってない!
ミクリオ:こっちも!モミの中はカビだらけだ
デゼル:コガネカビだ。この一帯は全滅だろうな
スレイ:全滅……
ロゼ:最近広がりまくってるの。この分じゃ、今年の収穫も期待できないなぁ……
ミクリオ:……鍬を放り出すわけだ
スレイ:ライラ、これも……?
ライラ:災禍の顕主が生み出した結果のひとつでしょうね
スレイ:これが……災厄の時代か
ロゼ:ハイランド牛発見!美味しそう〜!
エドナ:肩ロースからサーロインへのラインがいいわね。A5ランク
ミクリオ:確かにいい牛だが、そのリアクションはどうなんだ?
ロゼ:ハイランド牛の美味しさを知らないからそう言えるんだって
ロゼ:とろけるんだよ。マジで!
ミクリオ:ハイランド牛?ローランスなのに?
ロゼ:また、そういうトコに食いつく
エドナ:原産地がハイランド地方なんでしょ
ミクリオ:しかし、ハイランドでは見かけなかったが……
デゼル:家畜として大量に飼うには広大な牧草地が必要だ
デゼル:それが確保しやすいローランスの方が飼育に適しているんだろう
ミクリオ:なるほど。論理的だ
デゼル:もっとも、災厄の世が続けば牧草地ごとこいつらも死に絶えるということだがな
ミクリオ:……それも道理だな
ロゼ:ちなみに!
ロゼ:ハイランド牛を使ったドラゴ鍋は「ハイランドを食う」って意味で縁起物になってるんだって!
ミクリオ:う、うん……?
エドナ:Cランクの豆知識ね
ロゼ:なんだよー!場を和まそうとしたのに!
スレイ:この棺、どんな人が入ってたんだろうな
ミクリオ:装飾から見て、それなりの身分の人だろう。貴族とか、一族の長とか
ロゼ:確かに!これは、なかなかいい石を使ってますからねえ
スレイ:ローランス帝国が成立する前かな?時代的には
ミクリオ:微妙なところだな。もしかするとローランスの始祖と関係があるかも
ロゼ:ふむう……この手触りからして、「スベスベひんやり様式」と見た!
スレイ:盗掘されてるのが残念だな
ミクリオ:僕たちも、故人の誇りを尊重して調査しないとね
ロゼ:ゴホゴホ!結構ホコリが溜まってる!つまり「掃除が行き届いていない説」が有力だと!
ミクリオ:ええと、ロゼ……
スレイ:さっきから何やってんの?
ロゼ:いやあ、一回スレイたちの趣味に混ざってみようと思ったんだけど──
ロゼ:ごめん。案外つまんない
ミクリオ:……だろうね
スレイ:無理しないで
ロゼ:うん。それが良さそう
ライラ:立派な噴水ですわねえ
ロゼ:ペンドラゴ名物のひとつだよ
ロゼ:詳しくは知らないけど、地下水道で遠くから水を引いてるんだって
ライラ:そうなんですか
エドナ:無駄に水が噴出すのをわざわざつくるなんて
エドナやっぱり人間ってバカよね
ライラ:天響術も使わずに高度な技術だと思いますけど
エドナ:無駄。無意味。徒労
ロゼ:別名「憤怒の噴水」って言うんだ
ライラ:憤怒の?なぜそんな名前を?
ロゼ:なんか水道の調子が悪いらしくてさ。時々……
エドナ:ひゃあああっ!?
エドナ:…………
ロゼ:こうなるから
ライラ:なるほど
エドナ:人間バカすぎっ!
ミクリオ:ラストンベルにも地の主はいなかったね
スレイ:天族は何人か見かけたけど、共存って感じじゃなかったよな……
ロゼ:でもさ、見えないけど本当はいたんだね。今までもああだって思うと……
ロゼ:コワ〜!
デゼル:ちっ……
スレイ:それでも昔の人は天族に敬意を払っていたんだよ
ミクリオ:そのお返しに天族は人に加護を与えていた
ロゼ:それが「共存の時代」?
スレイ:うん
デゼル:だが人間どもは、目に見えるものしか信じなくなった
ミクリオ:仕方がないけどね。スレイやロゼみたいに天族が見える人はほとんどいないみたいだし
ロゼ:見えないのにいるのは怖いけど……
ロゼ:悲しいよね。いるのに気付いてもらえないなんて
スレイ:みんながロゼみたいに思ってくれるといいんだけどな
デゼル:…………
ミクリオ:水よ!敵を穿て!鋭き氷、拡散せよ!
ミクリオ:よし……かなり安定してきた
ライラ:精が出ますわね
ミクリオ:いや、これは別に……
ライラ:思った以上に複雑でしたね。ローランスの事情も
ミクリオ:騎士団と教会の対立だけでも頭が痛いのに、風の骨の暗殺や、デゼルの復讐まで絡んできたからね
ライラ:枢機卿に、デゼルさんの仇……強力な憑魔とぶつかることになるかもしれません
ミクリオ:ロゼのことも気にかけないと
ミクリオ:信じているけど、彼女だって人間だ。穢れてしまう危険性はついてまわる
ライラ:はい。導師と同じか、それ以上に
ミクリオ:なのに本人たちは案外お気楽だ。イヤになるよ
ライラ:ミクリオさんが一緒だからですよ
ミクリオ:どうだか
ライラ:私もそうですし
ミクリオ:僕は、僕のためにやっているだけさ。こう見えても向上心が強いんだ
ライラ:ふふ。こう見えても、ですか
ミクリオ:そうだよ。若いからね
スレイ:やっぱり枢機卿は憑魔だったな
デゼル:ああ。正体まではつかめなかったがな
ミクリオ:つまり、民のためと言ってはいたが、自分の欲望で動いてるってことだね
エドナ:そんなものよ。人間なんて
ライラ:強すぎるほどの責任感をもった方でしたね
ライラ:自分がなんとかしなければという想いが、自己正当化と結びついてしまったのだと思います
ロぜ:よーするに、器じゃなかったってことだよね
ロゼ:教皇が逃げたのが原因なのかも?
ライラ:それはわかりませんが……
スレイ:ロゼの仕事に関わることだよね
ロゼ:そ。だから教皇を見つけて、どんな奴か見極めないと
スレイ:…………
ミクリオ:スレイ、とにかく秘力を手に入れないと。後のことは後のことだ
スレイ:そうだな。教皇様を捜そう
ロゼ:ゴドジンへゴー!
スレイ:これって……まさか「エリクシール」!?
ミクリオ:マオテラスがつくったっていう万能薬!
ライラ:あ、ヒメウスバシロチョウですわ
スレイ:……ライラって時々不思議だよね
ミクリオ:それよりエリクシールだ。本物かな?
スレイ:天遺見聞録によれば、エリクシールの生成術は過去に失われているってあったけど
ライラ:あ、マエカドコエンマコガネ発見!
スレイ:……舐めてみればわかるかも?
ミクリオ:おい、大丈夫か!?
スレイ:一滴くらいなら
スレイ:うわっ!回復した!
ミクリオ:本物だ!
スレイ:これ、普通に変えると便利なんだけどな
ライラ:それは難しいですね。人の世界に残っているエリクシールは教会が管理しているはずですから
スレイ:へぇ、教会が
ミクリオ:もう虫のことはいいんだ
スレイ:枢機卿の気迫、すごかった。あれが国を背負う覚悟なのか……
デゼル:ふん。所詮は憑魔に堕ちた者だ
スレイ:あいつがデゼルの仇なのか?
デゼル:正体まではつかめなかった。お前が押し負けたせいでな
スレイ:……ごめん
デゼル:次はしくじるなよ。俺の復讐のためにも
スレイ:ああ。頑張るよ
デゼル:……いいのか?仇なら殺すということだぞ
スレイ:そうだな。よく考えなきゃダメだよな
スレイ:ありがとう
デゼル:あ?なぜ礼が出てくる?
スレイ:なんでって……オレを心配してくれただろ。今
デゼル:ふん、考えても意味はなさそうだ。そんなぬるい解釈しかできないようじゃな
スレイ:…………
ロゼ:なっ!なんじゃこりゃあー!?
エドナ:でっかいエビね
ミクリオ:化石……だよな?
スレイ:すっげえ。昔はこんなのがいたんだ
エドナ:とっつかまえてフライにしたかったわね
ミクリオ:この外見……憑魔か……?
スレイ:憑魔が化石に?まさか
ミクリオ:だが、ならないという確証もない
エドナ:刺身でイケる確証はあるわ
ロゼ:ん〜。これどっちが頭?
ミクリオ:右だろ
ロゼ:どっちが頭かわからん生き物?変なの〜
エドナ:いえ、エビもミソとシッポの美味しさは甲乙つけがたい
スレイ:ホント、何なんだろうな、こいつ……?
エドナ:だからエビだってば
ロゼ:綺麗〜
ライラ:ええ。光る湖面に魅入られてしまいますわ
エドナ:夜光虫かしら
ロゼ:デゼル?
デゼル:俺に聞くな。知らん
エドナ:あなたにも知らない動物ネタがあるのね
デゼル:見えないほど小さな生き物が、光を発すると聞いたことがある
デゼル:そいつらが棲息しているのかもしれん
ロゼ:へえ、見えないのがいっぱいいるんだ
デゼル:ひとつひとつの命は数日らしいがな
ロゼ:数日だけ……一生懸命光ってるのに
ライラ:薄幸な発光ですのね……
ライラ:い、今のは違いますわ!
エドナ:良いんじゃない?寂しい話でまとめられるよりよっぽど
ロゼ:おお?なんか高評価?
ライラ:初めてほめられた気がします!
ライラ:地底洞だけに「どう」メダルですわね!
エドナ:さっきの撤回
デゼル:ライラの輝きも一瞬だったな
ライラ:デゼルさんまで!?そんなあ〜……
デゼル:…………
ライラ:なんという鳥ですか?
デゼル:グリフィカイト。トビの一種だ
ライラ:あちらにも一羽。あんなに高く
デゼル:ああ。見事に風を読んでいる
ライラ:気持ちよさそうに飛んでいますわね
デゼル:……人間の発した穢れにまみれた空だがな
ライラ:もしかしたら、グリフィカイトがグリフォンの正体だったんでしょうか?
デゼル:かもしれん
ライラ:……穢れは人だけでなく、自然をも蝕みますものね
デゼル:…………
ライラ:ですが、穢れは祓えますわ
デゼル:……スレイなら、か?
ライラ:私たちなら、ですわ
デゼル:ふん……
ライラ:デゼルさん……
デゼル:ふっ、この香り……風に色がついているようだな
エドナ:ハーブで風に色がついていると
エドナ:詩的ね
デゼル:ちっ……風に毒気が混じった
エドナ:あら、誉めたのに嫌味にとるなんて。毒はあなたの中にあるんじゃない?
デゼル:それは完全に嫌味だろう
エドナ:まあまあ。あなたも一服したら?落ち着くわよ
デゼル:なっ!?お前、それは……
エドナ:ノルミンマグだけど?
デゼル:その中身だ。早速ハーブティーにしやがって
エドナ:ハーブは大地の恵みだもの。地の天族がいただいてもいいでしょう?
デゼル:どういう理屈だ……
エドナ:いい香り……こんな時があるなら悪くないわね。旅も
デゼル:……ふん。そうかもな
ミクリオ:これ……ヘリクタイトか!
ロゼ:ヘリク……?
ミクリオ:ヘリクタイト。こういうねじくれた鍾乳石のことだよ
ロゼ:確かに……かなりひねくれてるよね
ミクリオ:ああ。誰かみたいに
エドナ:…………
ロゼ:鍾乳石って、伸びるのにすっごい時間かかるんでしょ?
ミクリオ:すっごい時間ひねくれ続けたんだろうね。誰かみたいに
エドナ:…………
ロゼ:変わってるけど……神秘的でキレイだよねえ
ミクリオ:ああ
エドナ:ここは言いなさいよっ!
ミクリオ:村の将来のために学校をつくる。なかなか懸命な判断だね
スレイ:学校化……通ってみたかったよな
ロゼ:うん。あたしも
スレイ:ロゼも?
ロゼ:ずっと旅暮らしだったからね。風の骨のみんなが先生代わりだったんだ
ロゼ:ロッシュなんて、ああ見えてすごい達筆だし、ブンガクにも詳しいんだよ
スレイ:へえ
ミクリオ:エギーユも色々なことを知ってそうだ
ロゼ:うん。格闘術や忍び込みの仕方を教えてくれた。ま、体育の先生だね
ミクリオ:物騒な体育だ…
スレイ:オレとミクリオも同じ。イズチのみんなが先生だったんだ
ミクリオ:思い出すな。ジイジの礼儀作法の授業が厳しくてね
スレイ:おかげでミクリオがこんな感じになったわけ
ロゼ:あはは。スレイはあんまり憶えなかったんだ
スレイ:そうでもないけど……
ミクリオ:そうだろ。天遺見聞録ばかり読んでて困った
スレイ:ミクリオも似たようなもんだろ!?
ミクリオ:僕は歴史と古代語の勉強を兼ねてだよ
スレイ:オレだってそうだ
ロゼ:要するに、今と同じってことね
ミクリオ:まあね。だから寂しいことはなかったけど
スレイ:もっと大勢と勉強したり遊んだりしたかったなって
ロゼ:……わかるな。その気持ち
スレイ:秘密の抜け道って、ロマンだよなあ
ミクリオ:地下というのが、さらにね
スレイ:そうそう!たくさん出口があったりすると最高!
ミクリオ:滝の裏とか井戸の中に繋がってるんだよね
スレイ:やっぱ、わかってるなー!ミクリオ!
ロゼ:ぜんっぜんわかんない
エドナ:わかりたくないし
ライラ:男性はお好きなんですよ。こういうの
ロゼ:てか、「男性は」っていうより……
エドナ:「ガキは」ね
スレイ:この辺り……ずいぶん荒れた土地だな
ミクリオ:だね。辺境なのはイズチも同じだけど、ここは狩猟も農耕も難しそうだ
スレイ:こんなところにも人が住んでるんだな
エドナ:案外しぶといわよね。人間って
ミクリオ:なにか特産物があるのかもしれない
スレイ:そうかもな
ロゼ:…………
スレイ:とにかく目的はゴドジンだ
ミクリオ:ロゼ、この道を進めばいいんだな?
ロゼ:あ、うん。崖道の端にあるはずだよ。もうすぐだと思う
スレイ:わかった。また襲われる前に急ごう
スレイ:ここ、何かを掘った跡っぽいな?
ロゼ:この赤い石じゃない?
エドナ:赤精鉱ね
ロゼ:セキセイコウ……?
ライラ:珍しい鉱物ですわ。地の栄養素が結晶したもので薬になるんですが……
ミクリオ:本で読んだことがある。毒性も含むから扱いが難しいんだっけ
ミクリオ:あっ!
スレイ:そうか!これが偽エリクシールの材料なんだな
スレイ:ゴドジンに来て、教皇様──村長さんが慕われる理由がわかったな
ミクリオ:ああ。人間くさいんだね。弱さを含めて
スレイ:弱くても……あんな償い方もできるんだな
スレイ:なんて、オレの選択がホントに正しかったのか、自信ないけど
ライラ:そういう迷いを含めてスレイさんなのです
ライラ:少なくとも私たちは、そんなあなたについていきますわ
エドナ:面倒だけど
ミクリオ:とりあえずよかったんじゃないか?ロゼも暗殺しないでくれたし
スレイ:それはね。まだ迷ってるみたいだけど
ライラ:スレイさんと同じように、ですわ
スレイ:このままロゼが殺さない道を選んでくれると嬉しいんだけど
ライラ:そうですわね
デゼル:殺さない道……か
ロゼ:しっかし、ここが試練の神殿なんてすごい偶然だよね?
エドナ:私は納得。あちこちに赤精鉱があったから
ミクリオ:そうか。赤精鉱は強力な火の天響術が発動した後に生成される鉱物だものな
ロゼ:強力って、ライラの術みたいな?
ライラ:いいえ。私程度の炎では赤精鉱はつくれませんわ
スレイ:つまり、ライラ以上の術を使う奴がいるかもってことか……
ライラ:こんなに巨大な赤精鉱があるなんて……
エドナ:やばいわね
デゼル:どういうことだ?
エドナ:赤精鉱はね、強力な火の天響術の影響で生成される鉱物なの
デゼル:手強い敵がいるってことか。上等だ
エドナ:油断してると火傷じゃすまないかもよ
ライラ:はい。少なくとも私程度の炎では赤精鉱は生まれません
デゼル:……どれ程だと?
ライラ:火山の爆発レベルです
デゼル:!
デゼル:ふん。試練の神殿と名乗るだけのことはありそうだな
エドナ:熱いわね
ライラ:頼もしいですわ。退くわけにはいきませんから
ロゼ:ペンドラゴ、今頃どうなってるかな?
ミクリオ:……あまり時間をかけているとセルゲイたちも動かざるを得なくなるかもしれない
デゼル:フォートンが罠を仕掛ける余地も広がる
ロゼ:やなこと言うなあ
デゼル:事実を言ったまでだ
ミクリオ:残念ながらね
ロゼ:うん
ミクリオ:放置して状況が良くなるものでもない
デゼル:間違いなくな
ロゼ:村長さん、この文章全部暗記してたんだよね。よくやるなあ……
スレイ「導師に四つの秘力あり。すなわち地水火風。其は災禍の顕主に対する剣なり」
ロゼ:村長さんが言ったヤツ!憶えてるの!?
スレイ:大体だけど
ミクリオ:案外得意だよな。そういうのは
ロゼ:ごめん、スレイ!ちょっと尊敬
スレイ:え?なんで謝られた?
ミクリオ:しかし、結局導師の秘力ってなんなんだろう?
ライラ:自然は地水火風の四つで構成されています。そして、それを司る最古の天族たちがいる
スレイ:ウマシア、アマノチ、ムスヒ、ハヤヒノだね
ライラ:はい。グリンウッド大陸のあらゆるバランスは彼らによって支えられているのです
ロゼ:そこまでいくと、もう神様だよね。実感ないけど
ミクリオ:それは僕たちも同じだ
ミクリオ:天響術の源も彼らのはずだが、意識することはないものな
ライラ:五大神とは、そういうレベルの存在なのですわ
ライラ:おそらく秘力とは、彼らの加護を得て地水火風の力をより強く発現させるものなのでしょう
スレイ:災禍の顕主に対抗するために……か
ミクリオ:すごい力だけど、戦いのためなのは残念だね
スレイ:マオテラスの紋章だよな?これは
ミクリオ:天遺見聞録が正しければね
スレイ:けど、ここは空っぽだ
ミクリオ:ああ。気配も領域も感じない
ミクリオ:といっても、五大神の気配がどんなかなんてわからないけど
スレイ:そもそもマオテラスって謎の天族だよな
スレイ:秘力だって地水火風があるのに、マオテラスのはないし
ミクリオ:五大神信仰の象徴的存在と思っていたが、裏があるのかもな
ミクリオ:ライラはなにか知っていそうだが……
スレイ:聞かない方がいいよな
ミクリオ:かわいそうだ。いろいろな意味で
スレイ:それにしても……ライラ、いつああいうネタを考えてるんだろうな?
ミクリオ:それも謎だね。マオテラス以上に
ロゼ:スレイ、一個いい?
スレイ:うん?
ロゼ:教皇に会って思ったんだけど、戦争の手続きを進めたのは、フォートン枢機卿だと思う
ロゼ:あの村長に開戦の決断は無理だろうしね
スレイ:それって、ロゼは枢機卿を……
ロゼ:スレイは浄化したいんだよね?枢機卿のこと
スレイ:ああ
スレイ:憑魔になっちゃったけど、あの人の責任感は本物だって信じたい
ロゼ:だから浄化すれば救えるかもしれない
スレイ:そう思ってる
ロゼ:わかった、やってみよう。あたしもフォローするからさ
スレイ:ロゼ……
ロゼ:なにも言うなって。そういうことだから
エドナ:領域が消えて、はっきりわかった。やっぱり、ここにはマオテラスはいない
ライラ:上から読んでも「ライライライラ」下から読んでも「ライラライライラ」
ミクリオ:おい、今はそんなことどうでも──
エドナ:よくない。私たちは、五大神でもない憑魔を鎮められなかった
エドナ:あのひげネコにも勝てないってことだもの
スレイ:ヘルダルフ……まだ遠いな
エドナ:そう思うならしっかりして
ライラ:まだまだこれからですわ
ミクリオ:まだ試練の神殿は三つも残ってるし
スレイ:くじけるのもまだ早い、よな
デゼル:マオテラスでもヤツでもなかったか……
デゼル:だが、近くに気配を感じる。ヤツはまだローランスの中枢にいるはずだ
スレイ:なんとか水の試練も突破したな
エドナ:けど、あれってアウトルの後始末をさせられただけだったんじゃない?
ミクリオ:そういう言い方はどうなんだ?
エドナ:ミボ。本心を言いなさい
ミクリオ:まあ……釈然としない気持ちはあるよ
エドナ:でしょう
ライラ:あれは……導師の最悪の結末を伝えてくださったのだと思います
スレイ:オレもそう思った
エドナ:ふうん。じゃあ、アシュラが憑魔化しなかったらどうするつもりだったのかしらね?
ライラ:その時は……別の憑魔で試されたはずです
スレイ:他にもいるってことか?憑魔になった導師が
ライラ:長い歴史の中では、大勢
スレイ:わかった。だから心の試練が大事なんだな
ライラ:はい
ミクリオ:そういうことなら納得だ
ミクリオ:エドナもいいよな?
エドナ:ワタシはいいのよ。公平な試練であればなんでもね
ミクリオ:ずるいぞ
スレイ:ははは!強いなあ、エドナの心は
ロゼ:キノコ!食べられるかな?
デゼル:手前のは大丈夫だ。奥のはやめておけ
ロゼ:了解ー
スレイ:よくわかるな。デゼル
デゼル:常識だ
ロゼ:この森ってさ。自然が生き生きしてる気がする
ミクリオ:ああ。ジイジの加護領域のおかげなんだろうな
ロゼ:さっきから感じてるコレが、ジイジの領域だよね?
デゼル:かなりの力だな。高位天族でもここまでの者は、そうはいない
スレイ:そりゃあ、ジイジだからね。怪しい奴が入ると雷で追い返すんだ
ロゼ:雷を操るんだ
スレイ:そう!すっごいのをね
ミクリオ:スレイもよく落とされたものさ
スレイ:それはカミナリ違いだろ!?
デゼル:なるほど。それでキノコが
スレイ:え?
ロゼ:あたしもわかった!雷が落ちるとキノコがよく生えるっていうよね
ミクリオ:そうか。この森のキノコはスレイのおかげか
スレイ:ちょっ!?だからカミナリ違いだってば!
デゼル:む……この形は、まさか幻の……!
ミクリオ:どうしたんだ、デゼル?
デゼル:なんでもない。騒ぐな
スレイ:あっ!なんだそのクワガタ!
デゼル:静かにしろ!こいつがどういうヤツかわかってるのか!?
スレイ:どういうヤツ?
デゼル:アロダイトイカズチオオクワガタだ
スレイ:珍しいのか?
デゼル:激レアだ。カブトムシは一年で死んでしまうがクワガタは越冬が可能で三年ほど生きる
デゼル:中でもこいつは寒さに強い種類。雷に包まれても凍ることなく、十数年生きた記録も残っている
デゼル:百年ほど前に絶滅したとされ、俺も噂でしか聞いたことがなかった
スレイ:すっげー!幻のクワガタじゃないか
デゼル:わかったなら静かにしろ
スレイ:逃げちゃうもんな
ミクリオ:……とっくに逃げているが。デゼルが騒いだせいで
デゼル:なにぃっ!
エドナ:案外アホね
ロゼ:この罠は動かないね。壊れてる
エドナ:ザマないわね。目玉め
ライラ:ちょっと一息ですね
スレイ:動いてる方が奇跡なんだよ。アヴァロストの調律時代のものなんだから
ロゼ:出た、専門用語。解説プリーズ
スレイ:えっとね。「アヴァロストの調律」は、天族の文明が最も栄えた時代なんだ
ライラ:天響術を使った建物や品物がたくさんつくられた時代と伝わっています
ロゼ:要するに不思議時代ね。すっごい昔なんでしょ?
スレイ:うん。多分エドナの年より──
エドナ:スレイ!
あ痛っ!
ライラ:「神代の時代」に続く時代のはずなのですが実は、よくわからないのです
ライラ:「クローズド・ダーク」という暗黒時代があったせいで
スレイ:でも。試練の神殿にはこんな天族にしかつくれないものが残ってる
スレイ:アヴァロストの調律時代の貴重な証拠だ
ロゼ:スレイにとってはお宝なんだね。こんなやっかいな目玉も
スレイ:ああ。自分の目で確かめたときにこそ伝承の本当の意味が見える、だからね
ロゼ:今の顔、メーヴィンおじさんにそっくり
ライラ:はい。ロマンを追う男の顔ですわ
エドナ:いい年したガキの顔とも言うわね
ロゼ:スレイ、このチョウの名前わかる?
スレイ:うーん。見たことないチョウだけど
ロゼ:こういう時は……
ロゼ:デゼルー!
デゼル:なんだ
ロゼ:このチョウってどういうの?
デゼル:俺は図鑑じゃない
ロゼ:そういわずに教えてよ。デゼル先生ー
デゼル:ちっ、そんなおだてはいらん
スレイ:やけにこだわるな
ロゼ:だって……
ロゼ:チョウはコレクターに高く売れるんだよ。標本で
スレイ:標本!?
ロゼ:名前わかんないけど、念のためとっつかまえて標本にしておくかー
デゼル:待て!
デゼル:そいつは「ゼロバゲニゼ」。チョウに見えるが実はガだ
ロゼ:ガかー。じゃあ売れないね
デゼル:残念だったな
スレイ:ゼロバゲニゼ……?
スレイ:あ
デゼル:黙ってろ、スレイ
スレイ:わかった。これはガだ
ロゼ:きれいだね。なんて花だろ?
ミクリオ:へえ、ロゼもこういうの興味あるのか
ロゼ:赤い花は好きなんだ。あたしだって女子だし
ミクリオ:ランの一種かな?
エドナ:そう。「エドナ」っていう種類よ
ロゼ:同じ名前
エドナ:名前だけじゃないわ
エドナ:エドナは暑さに弱く、風通しの良い日陰に咲く。人の手で育てる場合には水のやり過ぎに要注意
エドナ:繊細で可憐なところもワタシとそっくりでしょう?
ミクリオ:ふむ、ということは……
エドナ:なにしてるの?ミボ
ミクリオ:いや。トゲか毒があるんじゃないかと
エドナ:トゲならここにあるわよ
ミクリオ:痛っ!エドナ、本気すぎだって!
エドナ:無粋よね。だからミボなのよ
ロゼ:それにしても詳しいんだね
エドナ:……教えてくれたのよ。お兄ちゃんが
ロゼ:そうなんだ
ミクリオ:悪かったな。茶化して
エドナ:いいわよ。別に
スレイ:どうなってるんだ……これ!?
ロゼ:でっかい石だよねぇ!
スレイ:いや、そこじゃないって
ロゼ:もしかして……石じゃなくて岩とか?
スレイ:ええっとね……
デゼル:どうやってこの石を遺跡の中に入れたのか、だろう?
スレイ:そう。入口より明らかに大きい。もちろん運び込んだ意味も謎だけど──
デゼル:ふん。大昔にも、お前のような物好きがいたんだろう
ロゼ:運び込んだんじゃなくてさ。元々あった石の周りに遺跡をつくったんじゃないの?
スレイ:それだ!きっとここは、この石を祀る神殿なんだ!
デゼル:この石は……器だったのかもしれんな
スレイ:自分の目で確かめたときにこそ伝承の本当の意味が見える……
ロゼ:あ。それ、メーヴィンおじさんと話してた
スレイ:そう。でもただ見るだけじゃダメってわかったよ
スレイ:ありがとう、ロゼ
ロゼ:なぜお礼?
デゼル:常識にとらわれない自由な視点が必要ということだ。お前のような
ロゼ:ん〜?別にあたしは普通ですけど?
デゼル:ふっ……まったくこいつは……
ロゼ:むむ……なんでこんなとこに木馬が?
スレイ:小さいね。子ども用かな?
エドナ:元々子どもの玩具でしょ
ロゼ:だからなんで玩具が試練の神殿に?
エドナ:知らないわよ。でも試練に関わりがあるとは思えないけど?
ロゼ:けど、なんか気になるんだよ
スレイ:なにかのヒントかも?木馬……馬……馬車……
ロゼ:人参……馬刺し……バフンウニ……グンカン巻き……イクラ丼……
ロゼ:あ。違う連想になっちゃった
エドナ:可能性があるとしたら、そうやって時間を無駄にさせるための罠ね
スレイ:マオテラスがいても不思議じゃない場所と言えば……
ミクリオ:五大神にふさわしい器がある場所だろうね。清浄な神殿とか、穢れのない大自然とか
ロゼ:なら、試練の神殿は可能性大かも
ライラ:「導師が困った。どうしよう!?」
スレイ:はは、ホントに返しに困るかも
ライラ:すみません……
スレイ:ごめん、いいんだよ
ミクリオ:何がライラの誓約か、わかってきたしね
ライラ:ブウサギの歌、歌いま〜す!
ライラ:ブウサギ美味し〜あの耳〜♪
ロゼ:あ、マオテラス絡み!
ライラ:ブウサギ美味し〜あの皮〜♪
エドナ:やめなさい。かわいそうよ、色々な意味で
ミクリオ:責めてるわけじゃないんだ。ホントに
ロゼ:だよね。おかげで浄化の炎が使えるんだし
スレイ:知りたいことは、自分の目で確かめればいいんだから
ライラ:……ありがとうございます
デゼル:甘いな。相変わらず、どうしようもない導師だ
ライラ:デゼルさんも誓約を!?
デゼル:今のは違う!
ロゼ:アリーシャも一緒に行きたいんじゃないかな。ホントは
ライラ:え?
ロゼ:なんとなくそう思って
ロゼ:ね、前はアリーシャがスレイの従士だったんだよね
ロゼ:なんで別れちゃったわけ?
スレイ:えっと……別れたっていうか、アリーシャには夢があって……
エドナ:行きたかったのは本当だと思う
エドナ:けど、アリーシャの霊応力は特別というほどじゃなかったから
ミクリオ:反動で見えなくなってしまったんだ
ライラ:スレイさんの目が
ロゼ:そっか……それで……
ロゼ:……今は?まさか隠してないよね?
スレイ:なんともないよ。ホントにホント
ライラ:神依化まで可能にするロゼさんの霊応力は導師に匹敵するほどですから
ロゼ:そうなんだ……
ロゼ:あたし、自分の霊応力に感謝しないとね。うん
デゼル:感謝……か
スレイ:アリーシャの疑いは晴れたんだよな?
ライラ:アリーシャさんがローランスに通じているという?
スレイ:ああ。そのせいで捕まったって
エドナ:戦いもなにも、スレイを戦場に行かせるための冤罪でしょ
ミクリオ:そう。こっちは約束を守った。捕まえておく理由はないさ
スレイ:だよな。よかった
エドナ:もっとも、前と同じじゃないでしょうけど
スレイ:え?
エドナ:そうでしょ。実際にローランスとの衝突は起こってしまったのよ
スレイ:そんな状況で和平なんて唱えたら……か
ミクリオ:微妙な立場が、さらに悪くなるだろうな
エドナ:それで大人しくしてくれる子だったらいいんだけどね
ライラ:アリーシャさんも王族。大臣たちも無茶はできないはずですが……
スレイ:アリーシャ……
ロゼ:ねえ、あのアシュラってホントに憑魔?
ライラ:ええ、実際に穢れや領域を感じます
ミクリオ:偽者って思うのか?
ロゼ:だって変じゃない?あんなヤバイ憑魔が野放しになってるなんて
ミクリオ:なぜ護法天族が放置するのか
ロゼ:そう。偉くて強い天族なんでしょ?
ライラ:それが試練だからだと思います。護法天族は、特別な使命を与えられた方々ですから
デゼル:要するに奴らの都合ということだろう
エドナ:そうね
ライラ:否定はできませんが
ミクリオ:二人とも、そういう言い方はないだろう
デゼル:お前もわかっているはずだ。別に天族は聖人君子じゃない
エドナ:ましてや正義の味方でもね
ミクリオ:それは……
ロゼ:納得!二人が言うと説得力あるね
デゼル:……わかればいい
ロゼ:うん。こういう試練ってことなら問題なしだ
スレイ:マルトランさんが、どうして……
デゼル:ローランス皇帝家に憑魔がいるんだ。ハイランドの騎士が憑魔でも不思議はないだろう
ミクリオ:「戦争で名を成す英雄の多くが憑魔」という説が裏付けられてしまったね
スレイ:けど、災禍の顕主の考えに従うなんて
ライラ:それも不思議なことではありません。現に導師だったアシュラも……
スレイ:同じことを考えたんだもんな
エドナ:人を救うため、再生のために、すべてを破壊する……
エドナ:穢れに絶望した人間がはまる落とし穴なのかもね
ライラ:はい……
スレイ:アリーシャになんて言えばいいんだろう……?
ロゼ:てか、教えて大丈夫なのかな?
ライラ:それは……知らずにいては危害を受けるかも
ロゼ:けど、アリーシャは利用し終わったって
ライラ:事実……でしょうね。私たちに正体を明かしたことから考えて
ロゼ:なにより、アリーシャの支えだったんでしょ?あいつ
ミクリオ:そうだね。支えがなくなるどころか、ずっと利用されていたと知ったらアリーシャは……
デゼル:それがマルトランの狙いかもしれんぞ
エドナ:アリーシャの心をくじくことで開戦を決定的にするつもりなのかも
スレイ:オレはどうすれば……
スレイ:あんな厳つい憑魔なのにめちゃくちゃ怯えてたな
デゼル:……あれは仕方ないだろう……
ライラ:ミノタウロスは虐げられた者の想いが集合し歪んでしまったものなんです
ライラ:いつも怒りを露わにしているのもその反動なんですの
ロゼ:怒られないように怒ってるって感じ?
エドナ:要は逆ギレね
ミクリオ:少しは反省すればいいのに……
ミクリオ:ミノタウロスと化していたのが子どもたちの魂だったとはな……
スレイ:あの子たち……なんでこんなところに居たんだろう
ライラ:災厄の時代となってから、あのようないたたまれない憑魔は増えています
ロゼ:そっか……あれは親に望まれなかった子どもたちなんだ
ミクリオ:……捨てられた子たちってことか
ライラ:この地はもしかしたらそのための場として人々に伝わってしまったのかもしれませんね
スレイ:血が繋がってるのに親から拒絶されるなんて……
スレイ:……地の繋がりなんかなくてもジイジはオレを大切に育ててくれたのに
ミクリオ:ああ。やるせないな……
ロゼ:ほーら!うつむくなっつの!
エドナ:そうよ。ちゃんと救えたじゃない。あなたのおかげでね
スレイ:うん
ミクリオ:エドナ、妙にしおらしいじゃないか
エドナ:自分の過ちぐらい認められるわ。あなたと違って大人なんだから
ミクリオ:そうですか……
スレイ:この石柱も……生贄に関係するものかな?
ミクリオ:まったくバカげてる!天族が生贄を喜ぶはずないだろう!
エドナ:頼まれてもいらないわよ。人間の命なんて
ライラ:…………
デゼル:ふん。捧げるだの救いだの言っているが、要は弱いヤツらの逃げ道だろう
スレイ:死ぬことが逃げ?
デゼル:死ぬより辛い現実なんていくらでもあるからな。こんな災厄の世じゃ、特にそうだ
ライラ:自らを顧みず犠牲にすることはある意味穢れとは正反対の行為ともいえますが……
デゼル:は!生贄が純粋だと?
ライラ:もちろん正しいとは思いませんが……
ミクリオ:どちらも認めたくないな
エドナ:けど間違ってるとも言い切れない。どっちもね
スレイ:現実なんだな。それが
ライラ:まあ、あんなところに……
デゼル:なにを見ている?
ライラ:崖の上に鳥の巣が。ヒナがいるようですわ
デゼル:多分シルフイーグルの巣だろう
ライラ:こんな過酷な場所でも生きているんですね。命が
デゼル:たしかに過酷だがな。岩場は敵から巣を守る城壁でもある
デゼル:やまない風も高く飛ぶ力に変わる
デゼル:そう捨てた場所でもないのかもしれん
ライラ:…………
デゼル:なんだ?
ライラ:いえ、珍しいなと思って。こうして落ち着いて話すのも
デゼル:ちっ……
デゼル:気まぐれだ
デゼル:いい風が吹いているからな
ライラ:ええ。本当に
ライラ:鳥たちを運ぶ風ですね……
ライラ:きゃあ!
ロゼ:うわっ!でっかいネズミ!
スレイ:そりゃネズミくらいいるさ
ミクリオ:むしろ遺跡にはつきもの
ライラ:ミクリオさん、ネズミは平気なんですね
ミクリオ:ネズミは吠えないからね
ロゼ:そりゃ吠えないけど、おっきいネズミって意外に迫力だよ?
ロゼ:今のは、丸焼きにしたら結構お腹いっぱいになる大きさだったし
スレイ:丸焼きって……
ミクリオ:ネズミは病気を伝染させることがある。食べるのは危険だ
ロゼ:マジつっこみされた!ただの例えなのに!
スレイ:その発想は無かった。ネズミは遺跡に閉じ込められた時の非常食になるな!
ロゼ:だから例えだし、病気が危ないって!
ミクリオ:そんな心配する前に閉じ込められないように気をつけてくれ
スレイ:ほんと謎だよな、ザビーダは
ロゼ:うん。面白天族ってことはわかったけど
ミクリオ:言葉も行動も読めなさすぎる
デゼル:ライラ。あいつのことを教えろ
ライラ:教えろと言われましても……
デゼル:憑魔狩りのザビーダ。噂はよく聞く男だ
デゼル:憑魔との戦いが目的らしいが……
ミクリオ:エドナも知り合いだったんだな
エドナ:微妙にね
エドナ:あいつ時々レイフォルクに来るのよ。なにが目的かは知らないけど
ロゼ:結局、謎天族ってことしかわからないね
スレイ:そういえば、デゼルとザビーダって戦い方似てるよな
スレイ:そこになにかヒントが──
デゼル:知るかよ!
デゼル:……俺の技は、俺が磨き上げたものだ
スレイ:わかった
デゼル:くそ!なぜ俺はアイツにこんな……
スレイ:あの変なのに並ぶとこまで来たな
ミクリオ:あれは何なんだろう?明らかに人の手によるものじゃないが……
スレイ:あんなのがあったら塔そのものが信仰の対象になったのもうなずけるってとこだな
ミクリオ:いや、内部のこんなところに普通の人は来れない。やっぱり概観の荘厳さからだろう
ロゼ:も〜!そんなことより!
ロゼ:そろそろゴールだよね?
スレイ:どうかな〜
ミクリオ:まだ中腹くらいじゃないか?
ロゼ:そっか〜……
デゼル:ばてたのか?
ロゼ:ん、だいじょぶ。ありがと!
デゼル:別に心配などしていない
エドナ:だめよ。それじゃだめ
デゼル:何がだ?
エドナ:ミボ。見本を見せなさい
ミクリオ:なぜ僕に振るんだ!っていうか何の見本だ!
エドナ:ライラ!
ライラ:え?あ、えーっと、ぐるぐるしても大丈夫
ライラ:まかせて安心デゼル印の「瞬天の迅」。離れた崖でもひとっ飛び、デゼル印の「瞬天の迅」
ライラ:今ならデゼルさん付きでお値段据え置き500ガルド
デゼル:安すぎるぞ!!というより、なんなんだこれは!
エドナ:それよ。それを最初からやればいいのよ
デゼル:何がだ……何でだ……!
スレイ:なんだかんだでデゼルも付き合いいいよな。あんなのエドナの暇つぶしなのに
ロゼ:あはは。楽しそうだし、おっけーおっけー
ミクリオ:僕は君の気持ちがわかるよ……デゼル……
ミクリオ:苦労して秘力を集めたのに、勝てるかどうかわからないとはね
エドナ:それが現実よ。戦いには運も相性もあるんだから
ミクリオ:わかってはいるが……
ライラ:でも、かの者の領域は障害にならなくなった。これは秘力の効果ですわ
エドナ:ひげネコの罠かも知れないけど
ミクリオ:少しは前向きなことを言えないのか?
ライラ:そういう警戒心が勝敗を分けるのかもしれませんわ
エドナ:試練で得たシンジツを見抜くチカラヨー!
ミクリオ:元々疑り深かっただろう
エドナ:経験を積んだのは確かでしょ。少しは前向きなことを言えないの?
ミクリオ:…………
ライラ:信じるしかないですわ、ミクリオさん。自分と仲間の力を
デゼル:グダグダなやむな。力は貸す
ライラ:デゼルさん
ミクリオ:ありがとう。頼もしいよ
デゼル:気にするな
デゼル:俺の復讐を手伝ってもらうためだ
ライラ:…………
スレイ:よし、一通りまとまったぞ
ライラ:なにができたのですか?
ミクリオ:ローランス皇帝家の一覧だ。わかったことをまとめてみた
スレイ:マメだなあ
ミクリオ:こういう積み重ねが大事なんだ
ライラ:せっかくですから状況を見直してみましょう
スレイ:だな。ミクリオ、解説頼む
ミクリオ:いいか。まず先代皇帝ドランには三人の息子がいた。長男レオン、次男コナン、三男ライト
ミクリオ:レオンとコナンは先代の王妃……つまり妃殿下の息子だが、二人ともすでに死亡している
スレイ:二人とも?
ミクリオ:権力争いがあったらしいが、詳しいことはわからなかった
スレイ:ふむ……
ライラ:とにかく、それで幼くして即位したのが現皇帝ライト陛下なのですね
スレイ:側室が産んだ息子……妃殿下は面白くないよな?
ミクリオ:彼女は、かなりの野心家らしいからね
ミクリオ:だから今、自分の甥を養子にして、次の継承権に絡ませようとしているようだ
ライラ:それに皇帝派の秘書官が対抗していると
スレイ:ふう……泥沼だな
ミクリオ:評判では、秘書官はなかなか清廉な人物のようだが……
ライラ:でも、風の骨に依頼したんですよね?妃殿下暗殺を
ミクリオ:そのことだよ。なぜロゼは暗殺依頼を受けたんだ?
ミクリオ:ローランス皇家は仇のはずだし、利用される危険も高いだろう
スレイ:結局、権力争いで困るのはローランスの民衆だ
スレイ:妃殿下は、それを気にしない人なのか……秘書官の依頼に義があるのかどうか……
スレイ:ロゼは、そういうことを見極めようとしてるんだと思う
ライラ:今までと同じに?
ミクリオ:忘れるなよ。僕たちも巻き込まれていることを
スレイ:わかってるよ。ミクリオの解説のおかげで
ミクリオ:それなら、まとめた甲斐があった
スレイ:不思議な物だよな、これ
ミクリオ:ザビーダがくれたやつか。あいつは力を撃ち出す道具だと……
スレイ:言ってた。これで穢れに対抗する力を得てるって
ミクリオ:自分を撃てば力を増し、誰かに撃てば穢れとの結びつきを断つ
ミクリオ:そういう「力の矢」を撃つための「専用の弓」というところか
スレイ:この弾に、その力が?
ミクリオ:おそらく
スレイ:これが最後の一発か……
ミクリオ:そうなるね。どうやってつくったかわからない以上は
スレイ:分解してみたらなんかわかるかも──
ミクリオ:スレイ
スレイ:わかってる。元に戻せなくなるだけだよな
ミクリオ:慎重に扱おう。貴重なものなのは間違いない
デゼル:力を撃ち出す……か
スレイ:ザビーダ、デゼルの穴を埋めるって言ったよな?
ザビーダ:おうよ。いい女には百言くらい言っちまうが、男に二言はないぜ
スレイ:けど、それってできるのか?
ザビーダ:おろ、疑われてる?俺様の実力知ってるだろ?
ミクリオ:知りたくなかったが無理矢理教えられたからね
ザビーダ:いやあ、悪かったって
スレイ:実力はわかってる。けど風の秘力は?
スレイ:もう一度とりにいかなくていいのか?
ザビーダ:そのことなら心配無用。秘力ってのは導師が身につけたもんだ
ザビーダ:だから問題なし!俺様みたいな風の天族がいればな
スレイ:それならよかった
ザビーダ:無駄にはならないさ
スレイ:無駄にはしないよ
ミクリオ:ちょっと意外だが、ザビーダは秘力や導師のことに詳しいんだな
ザビーダ:くくく、そりゃあ経験を積んだ大人の男だからよ
ザビーダ:安心して頼ってくれていいぜえ♪
ミクリオ:なんだろうな?この安心できない感じは……
スレイ:ははは……
スレイ:グレイブガントにヘルダルフはいないみたいだ
ライラ:そのようですね。秘力があっても近くにいれば強い領域を感じるはずですわ
ミクリオ:別の場所を捜すしかないね
ロゼ:にしても、なんか手がかりがないと
エドナ:同意。無駄足はイヤよ
スレイ:あの穢れは、そうそう隠せるものじゃないはずだけど……
ザビーダ:穢れか……
ザビーダ:妙に強い穢れを感じたことはある
スレイ:いつ?
ザビーダ:前にお前たちとやりあった後。ギネヴィアの塔からペンドラゴに戻る途中だ
ロゼ:ペンドラゴの南西辺りかな
スレイ:よし。行ってみよう!
ザビーダ:信じていいのか?こんなテキトーな情報
スレイ:調べる価値はあるさ
ロゼ:ダメで元々!
エドナ:無駄足だったら刺すけどね
ザビーダ:へいへい、覚悟しときますよ
ザビーダ:手っ取り早く俺がここに馴染むためにお前らに頼みたいことがある
ザビーダ:……お前らの弱点を俺に教えてくれ!
ミクリオ:教えるかそんなの!
ザビーダ:ミク坊冷たいねえ〜。俺は教えられるぜ?実は俺、気温が低い日は肌寒い
ロゼ:見りゃ分かる上にじゃあ着れ!
ザビーダ:もっと重大な秘密がいいのかい?ホントのところ、女の涙に弱い
エドナ:んな情報いらない
ザビーダ:おねだり上手過ぎだろ〜これはヤバいぜ!……地属性に強いが火属性に弱い
スレイ:……知ってた
ザビーダ:これもダメか〜!他にお得な情報っていったらオレの目測だと、ライラは上から……
ライラ:弱点の話じゃなくなってますわ!
ロゼ:…もはや馴染む馴染まないの、意味がさぱらん
ロゼ:あいつ……なんで……
ライラ:ロゼさん、もしかしてかの者にやられた怪我が……?
ロゼ:あ!それは平気!
ロゼ:みっともないよねえ。人質とったのにやられるなんて
ライラ:いえ。恐るべきは迷いなく攻撃したかの者です。そして……
ザビーダ:サイモン、だよな
ライラ:はい
ロゼ:あいつの幻覚、なんでもありだもんね
ライラ:確かに彼女の幻覚能力は普通ではありません。でも、もっと異常なことがあります
ロゼ:あいつが……穢れてないこと?
ライラ:そう。つまり純粋に信じているのです。かの者の理想を、心から
ロゼ:なんで信じられるわけ!?
ロゼ:あいつ、撃たれたのに笑ってた。なんでそこまで──
ライラ:それは彼女にしかわからないことでしょう……
ザビーダ:だが、サイモンが天族のままヘルの野郎に従ってるのは幻覚じゃない
ロゼ:……わかった。ヤバイのはサイモンの純粋さなんだね
ザビーダ:皮肉だがな
ロゼ:……うん
ロゼ:あ。こんなトコまで登ってきてる
スレイ:下がれ、ロゼ!
ミクリオ:憑魔だ!
ロゼ:は?なに言ってんの?
スレイ:なにじゃない!
ミクリオ:その赤いヤツから離れろ!
ロゼ:いやいや。これ、ただのカニだから
スレイ:ただのじゃない!足が8本もあるぞ!
エドナ:それがカニよ
ミクリオ:そのハサミは凶器だろう
ライラ:それがカニですわ
スレイ:けど甲羅もトゲトゲだし……
ミクリオ:泡を吹いて小型のヤツもたくさんいて……
ザビーダ:100%カニだ
スレイ:……マジで?
ロゼ:マジで。普通に海にいる生き物
ライラ:しかも美味しい
ミクリオ:こんな生き物が普通だとは……
スレイ:海って怖いな……
ロゼ:変なの。どうでもいいことはいっぱい知ってるのに
ライラ:山育ちだから海の知識がないのですね
エドナ:サボテンに花が……
ロゼ:そりゃあ植物だし。珍しいかな?
エドナ:ちょっとね。トゲの印象しかなかったし
ロゼ:「美しい花にはトゲがある」って言うじゃない
エドナ:……それってバラ目線の話よね
ロゼ:バラ目線?
エドナ:トゲがあるのはバラくらいなのに、美しい花を代表して諺にするなんて
エドナ:一言で言えば傲慢。きっとバラ派の陰謀よ
ロゼ:……なるほど
ロゼ:じゃあ、サボテン目線だと?
エドナ&ロゼ「鋭いトゲにも花がある」
ロゼ:やった!ハモった
エドナ:……屈辱ね
ザビーダ:Oh!オアシス!命の泉!
ザビーダ:お前は荒れ地に生まれた女神!
ミクリオ:なんだそのテンションは!?
ザビーダ:水の天族なら分かるだろ、ミク坊!この水のありがたさが
ミクリオ:わかるが……それほどでは……
ザビーダ:いいんだぜ、ライラ!火の天族の火照った体を投げ入れちゃっても
ライラ:遠慮しますわ。清らかな泉ですが……
ザビーダ:んじゃ、エドナちゃん!
ザビーダ:地の天族を代表して、一緒に飛び込もうぜ!最高の大地の恵みに!
エドナ:空気読めないのね。風の天族のくせに
ザビーダ:今の……地味にグサっときた
エドナ:涙を拭きなさい。この命の泉で
ザビーダ:……そうするわ
ロゼ:見て!光るキノコ!
エドナ:ジメっててキモいけど……ちょっと幻想的
ライラ:でも不思議ですね。なぜ光るのでしょう?
ロゼ:もう教えてもらえないね
ライラ:…………
ザビーダ:どうした?ザビーダ兄さんに聞いてみな?
エドナ:なんでコイツは光ってるわけ?
ザビーダ:なんだキノコのことなんざ──
エドナ:知らないの?知らないのね?
ザビーダ:「目立ちたがり」だからだ!
エドナ:3点ね。1000点満点で
ザビーダ:低っ!
ザビーダ:間違っちゃいないだろ?引っ込み思案なら光ったりしないって!
エドナ:くだらない言い訳でマイナス20点
ザビーダ:ぐわっ!0点以下に!?
ロゼ:あははは!
ロゼ:ただの「目立ちたがり」じゃないよね
ライラ:そう思いますわ。私も
ミクリオ:変わったものを売っているな。人形の中に人形が入っているなんて
ザビーダ:そうか?北の方でよく見る民芸品だが
ミクリオ:これはもしかして……人と天族の関係を表しているんだろうか?
ザビーダ:おいおい、そこまでマジに考えるなって
ミクリオ:だが、わざわざ奇妙な仕掛けをつくったんだ。なにか意味があるはずだろう?
ザビーダ:確かに。だとすると、天族の中にさらに人がいる意味はなんだろうな?
ミクリオ:それは……天族の中にある人格を示している?
ミクリオ:いや、天族を器と見せることで逆説的に人と天族の共存を暗示しているのか……?
ミクリオ:ザビーダ、一番最後の人形には何が入っているんだ?
ザビーダ:ああ、確か……ウメボシのタネが入ってる
ミクリオ:ウメボシのタネ!?
ミクリオ:う〜ん……もちろん象徴だろうが、タネとは再生の印だろうか?
ミクリオ:そもそも前提となるウメの意味は……
ザビーダ:いやあ、わかるわ。エドナちゃんがミク坊をイジる気持ち
エドナ:でしょ。ある意味スレイよりピュアだものね
ミクリオ:実に哲学的だ……深いな……
スレイ:それにしてもこの石碑、どういう仕組みで大地の記憶を再生してるんだろう?
ザビーダ:ここが地脈が吹き出す場所だからじゃね?
スレイ:地脈?
ザビーダ:ややこしい説明は、地の天族様にお任せ
エドナ:地脈は「大地に流れる自然そのものの力は」
ザビーダ:そう!ローグリンは、大昔から地脈が強く交わってる場所なんだよな
エドナ:知ってるなら言わせないで
ザビーダ:言わせたくなっちゃうのよ、カワイイ子には
ミクリオ:なるほどな
スレイ:その地脈に大地の記憶が反応してる……ってことか
ロゼ:ん〜?もっとわかりやすくプリーズ
スレイ:ええっと……
ミクリオ:例えると、ここから水が噴き出してる。大地の記憶は、水車みたいなもの
ミクリオ:水車が回ると、小麦をひくみたいに記憶が再生される仕掛け、って感じかな
ロゼ:オッケー!納得!
ロゼ:……けど、なんで大地の記憶が水車みたいになってるわけ?
ミクリオ:それは──
エドナ:地脈は大地に属する力って言ったでしょ
ミクリオ:そうか。大地の記憶をつくったマオテラスが大地そのものを器にしてるなら──
スレイ:マオテラスの意志がそうさせているのかもしれないな
ロゼ:白の中に赤いのがひとつ!
ザビーダ:風情があるねえ。俺は逆がいいけど
ミクリオ:なぜ一輪だけ赤いんだろう?
ロゼ:紅一点っていうからじゃない?
ミクリオ:それで納得できるのがスゴイな
ロゼ:じゃあ、さぱらん。調べて見たら?
ミクリオ:そうだな。地質に差があるのかもしれない
ザビーダ:頑張れよー。それ吸血植物だけど
ミクリオ:先に言ってくれ!
ザビーダ:男は傷ついて大人になるんだぜ、ミク坊
ミクリオ:拒否するよ。ザビーダみたいな大人になるのは
ロゼ:血を吸って赤いのか。あたしと同じだね
ザビーダ:あん?同じって?
ロゼ:「血の花を咲かせる」って意味なんだよ。「ロゼ」って名前は
ミクリオ:さらりと怖いことを聞いてしまった……
ザビーダ:女の怖さを知ってみんな大人になる……覚えとけ
スレイ:この形、足あ──
エドナ:言わなくてもいいわ。言うと出てくるパターンよ
ロゼ:足跡だよね。これって
エドナ:言うなって言うと言うパターンなのね!
ザビーダ:すかすパターンみたいだな
エドナ:どうでもいいわよ
ロゼ:で、この池はやっぱり?
ザビーダ:足跡だろうな。ドラゴンか巨人かデカ足憑魔の
スレイ:でも、ずいぶん古いものみたいだ。今、ここにいるってわけじゃなさそう
エドナ:こんなデカブツ、ここ以外でも会いたくないけど
ロゼ:あらためて見ると不思議だよね
スレイ:ああ。人がこんな巨大な憑魔に変わるなんてな
ザビーダ:思うんだがよ。元々俺らはドラゴンサイズの欲望を抱えてて、押さえ込んでるだけなのかもな
ザビーダ:それが吹き出して憑魔が生まれるとしたら、あいつらは俺たちの「心そのもの」ってことだ?
ザビーダ:そう考えると納得できねえか?憑魔がいくらデカくても
ザビーダ:あん?おかしなこと言ったか?
ロゼ:ううん……まともすぎてビックリしただけ
スレイ:なんかごめん
エドナ:柄にもないことを言ってひかれるパターンね
ザビーダ:ひでえ!?
ライラ:……悲しい姿ですね
エドナ:どこが?別に普通でしょ?
ライラ:でもツタのせいで木が……
ザビーダ:枯れちまってるな
ライラ:ツタは成長するために木を利用した。でも、そのせいで光が遮られて木は枯れてしまった
エドナ:よくあることでしょ。こんなの
ライラ:だから悲しいのです……
ザビーダ:あ。もしかして、これに天族と導師の関係を見ちゃってるわけ?
ライラ:はい……
エドナ:はあ?どれだけナイーブなのよ?
ライラ:わかってはいるのですが……
エドナ:困るわね。主神がそんなことじゃ
ライラ:そうですよね……
エドナ:スレイが枯れたら、あなたのせいかも
ライラ:はい
エドナ:逆に見習ったら?枯れるまでツタを支えた木を
エドナ:導師って花を咲かせたいなら
ライラ:はい……え?
ザビーダ:励ましてんだよ。エドナちゃんは
エドナ:解説はいらないわよ
ロゼ:なんかイイ感じの鏡
ライラ:素敵ですね。華やかさの中に、しっとりとした品があって
ロゼ:わかるよね。持ち主がどんな人か
スレイ:こんな建物が残ってるなんて、ここは完全に未盗掘なんだな
ロゼ:はいはい。スレイはそういう反応ね
スレイ:埋葬されてるのは女性かな
ライラ:多分、その鏡の持ち主でしょうね
ロゼ:あ。やっぱりここ、お墓なんだ……
ロゼ:これ、戻しておこっと
ライラ:それがいいですわね
スレイ:そういえば……天族って鏡に映るの?
ライラ:いえ……普通は映らないのですが、集中すると映ってしまうんです
スレイ:霊応力のない人にも見えるのか!
ライラ:不思議なことに
スレイ:すごい!それを利用したら人と交流できるんじゃ──
ライラ:それは難しいと思いますわ
ライラ:ものすごい集中力が必要なので映るだけで精一杯かと
スレイ:そうなんだ……
ロゼ:でも、鏡だけに映るオバケの噂、よく聞くよ
ロゼ:アレって天族だったんだね
ライラ:はい。お化粧の時集中しすぎて移ってしまうみたいで……
スレイ&ロゼ:お化粧の時!?
ライラ:だって……女子ですから
エドナ:大地の記憶、これで全部揃ったかしら?
ロゼ:でもさ。決定的な事が欠けてる。ヘルダルフがどうしてあんな事になったのか
スレイ:……けど、あいつの心の痛みは十分過ぎるほどわかった
ザビーダ:おろ。導師殿、同情しちまったのかい?
スレイ:同情なのかな。わかんない
ロゼ:も〜厳しすぎるぞライラ。知らないままの方が揺らがないってのに
ライラ:……ごめんなさい
ミクリオ:だが実際……どうするのが正しいのか……難しい問題だよ
ザビーダ:ライラは正解を出せっていってるかい?
スレイ&ミクリオ&ロゼ:え
ライラ:ザビーダさん!
ザビーダ:あちゃ……怒られちゃった
エドナ:……で、どうするの?ここで話し込んでてもしょうがないと思うけど?
スレイ:メーヴィンのところに戻ろう
ロゼ:だね。おじさんももう考えまとまったかもしれないし
スレイ:刻遺の語り部……
ザビーダ:ん?
スレイ:ザビーダもメーヴィンを知ってたんだな
ザビーダ:あの男……ってか語り部のことはな
ザビーダ:んで、カマかけたら当たっちまったわけ
エドナ:語り部は、よく知られた存在よ。長く生きてる天族の間ではね
ミクリオ:それなら教えてくれれば……
エドナ:同時にタブーでもあるけど
ザビーダ:天族にとっても、人にとってもな
ミクリオ:それはどういう──
スレイ:大地の記憶を集めよう、ミクリオ。きっと話を聞くだけじゃダメなんだ
ミクリオ:自分の目で確かめたときにこそ伝承の本当の意味が見える……か
スレイ:そういうこと
スレイ:だよな!
スレイ:……なんとなくわかった。ヘルダルフにはオレの前に導師だった人の何かがからんでるんだ
ライラ:ハッ
ミクリオ:……そうか。ライラが直接話さずに、語り部と言うメーヴィンに協力を求めたわけだからな
ミクリオ:痛っ!何なんだ!傘はそうやって使うものじゃないだろう!
ザビーダ:ふふん。乙女心のわからんやつめ
エドナ:ふん
ザビーダ:いて!ツンツンすんなっての!
ザビーダ:ハッ!これがツンデレ!
ライラ:ぷっ!
ザビーダ:ぐぁ!いてぇ!結構本気──
ロゼ:ザビーダ、サンキュ。和ませようとしてくれて
ザビーダ:惚れてもいいぜ?
エドナ:調子のりすぎ
ザビーダ:ぐはぁ!
スレイ:今日は少し疲れたな
ミクリオ:ああ。やらなきゃいけないことが多いからね
スレイ:大地の記憶に語り部か……
スレイ:オレたちの知らない秘密だらけなんだよな。世界って
ミクリオ:まったくだ。振り回されて隠されて……釈然としないよな
ロゼ:てかさ。それが普通じゃない?
スレイ:ロゼ?
ロゼ:商人の世界だって秘密だらけだよ
ロゼ:相場にギルドのしきたり、人脈に仕入れのルート。談合とか口に出せないアレやコレや……
ロゼ:毎日がそういう秘密との戦いなわけよ
スレイ:なるほど……そうだよな
ミクリオ:それが僕たちの場合は、マオテラスや過去の歴史ということか
スレイ:当然そうなるよな。導師なんだから
ロゼ:しかも好きでやってるんでしょ?
スレイ:もちろん
ミクリオ:おっしゃる通り
ロゼ:わかればよし!
ロゼ:んじゃ、また明日も秘密と戦いましょう!
ロゼ:さあ、ローグリンへ急ごう。きっとおじさんも待ってるよ
ミクリオ:あのメーヴィンが同じところにいるなんて、よっぽどのことだろうからね
ロゼ:そうだよ。探検家だしね
ミクリオ:よっぽどの「なにか」があるんだろうか……
ロゼ:ミクリオ
ミクリオ:ここで心配しても仕方ないな
ロゼ:そう。「案ずるよりなんとか」!
ミクリオ:「産むが易し」だよ
ミクリオ:……
ロゼ:……めっちゃヘコんじゃったっぽい?
スレイ:そりゃ、な……
ロゼ:なんかごめんね。あたしそんなヘコんでなくてさ
スレイ:そんなの気にする事じゃないだろ
ロゼ:ん〜
ロゼ:仲間がヘコんでる時に自分がヘコんでないのって、やっぱあたし、なんか抜けてるんじゃないかな〜って
ミクリオ:……ロゼ。スレイの言うとおりだ。気にする事じゃない。むしろ……その……
スレイ:ん……だな
スレイ&ミクリオ:ごめん!
ロゼ:へ?
スレイ:オレ達こそ、そんな心配かけちゃってさ
ミクリオ:もうしばらく気持ちの整理に時間はかかるが……
ミクリオ:大丈夫。だから安心してくれ
ロゼ:了・解!
スレイ:……悲しい事件だったな
スレイ:ヘルダルフや導師ミケルだけじゃない、いろんな事が絡み合っててさ
ロゼ:先代導師があんなことしちゃったの、あの村の惨状をみたらわかるっちゃわかるけど
ロゼ:どん底まで絶望しちゃったからってだけじゃあの人の友達でもないと納得しないんじゃないかな
ミクリオ:ああ。彼の行いが原因で多くの者たちの運命が定められてしまった
エドナ:そうね。彼がかけた永遠のこどくという呪いはひげネコに災禍の顕主としての道を拓いてしまった
エドナ:ひげネコは元々世を憎んでいたり、憑魔の世界にしようとしたわけじゃないのに
ロゼ:ハイランド、ローランス療法ともあれを見る限り外道って見えちゃうけど
ロゼ:きっと根底にあるのは自国の安定なんだろうし
ザビーダ:先代導師マオテラスを連れ去ったことを秘密にしてたのも悪い結果に繋いでる
ザビーダ:結果として何も知らないヤツらに良いように暴れられてマオテラスは憑魔になっちまった
スレイ:そうだな。話してやればもっと理解や協力を得られたかもしれない
ミクリオ:先代導師は自分の身内といえる者しか信用してなかったともとれる
ミクリオ:共になくとも先代導師を信じていた者にとってこれほど傷付くこともないだろう
ライラ:……そうですわね。あのお方が純粋にみんなの幸せを願っていたとしても、伝わらなければ……
ロゼ:先代導師がどうであっても。ヘルダルフがひどい事したってのも変わんないよ
ロゼ:自分の野心のために他人を踏みつけるなんて
ミクリオ:まとまらないな……さすがに
スレイ:メーヴィンはただ感じてこいって言ってた。感じた事をそのままを伝えるよ
ロゼ:ね、マオテラスとヘルダルフの繋がりが無くなったらもう何も心配しなくていいのかな
ミクリオ:どうだろう……。大地を器とするほどの存在だ。果たしてそれだけでいいか……
スレイ:ああ。大地の穢れ全てを浄化しなきゃダメかもしれない
ザビーダ:どうなん?ライラ?
ライラ:たけやぶやけた!はい!
ライラ&ザビーダ:たけやぶやけた!
ミクリオ:絶対わざと振ってる……
エドナ:本来大地の穢れは、あの坊やが浄化してた。あの子の力は大地の営み、そのものなんだもの
スレイ:自浄作用みたいなもんか
ザビーダ:……今回はそれだけじゃ足りないかもねぇ
ライラ:導師の活動は大地の事情作用を外から助けているといえます
ロゼ:けどそれも今はスレイ一人、か
スレイ:ちゃんと考えとかないといけないな。けど、考え込んでもしょうがない
ロゼ:だね
ザビーダ:なあ、ロゼ。メーヴィンとは古いつきあいだったんだよな
ザビーダ:どんな出会いだったんだ?
ロゼ:あたしらが追われてた時に助けてくれたんだよ。事情も聞かずにアジトを紹介してくれて
スレイ:それがティンタジェル遺跡
ロゼ:そう。奥がああなってるとは思わなかったけど
ザビーダ:ふうん
ロゼ:なによ。言いたいことあるならはっきり
ザビーダ:いや、あいつはロゼの霊応力を見抜いた上で接触してきのかもなって
ザビーダ:つまり、語り部の情報収集目的で
ロゼ:なあんだ。そんなこと
ザビーダ:そんなこと?
ロゼ:うん。どっちでもいいし
ロゼ:あたしたちは、おじさんと知り合えて助かったし楽しかった。それでいいよ
ザビーダ:スレイもそう思うか?お前に接触したのも狙いがあったのかもよ
スレイ:…………
スレイ:オレもどっちでもいいよ
スレイ:オレに探検の心得を教えてくれた人。それがメーヴィンだ
ロゼ:問題ある?
ザビーダ:ちょっとあるな。勘ぐった俺が悪者っぽくなっちまた
ロゼ:気にしなくていいって。元々だから
ザビーダ:ひでえ!
スレイ:この道具は……災禍の顕主を討つためのものだったのか
ザビーダ:そのためつーか、マオ坊と結びついたヘルの野郎には効くかも……ってことだろうな
ミクリオ:ザビーダはそうと知って、これをスレイに?
ザビーダ:ばれちまったか……
ザビーダ:……なーんて、言えればカッコいいんだがな
ザビーダ:言ったろ。なんとなくだって。さすがの俺様も予知能力はねえし
スレイ:そもそも、これは何なんだ?ザビーダは、どうやって手に入れたんだ?
ザビーダ:たまたま拾った。なにかは忘れた
ミクリオ:厳しいんじゃないか?それで偶然だと言い張るのは
ザビーダ:信じる信じないは勝手だが、案外そんなもんだぜ。世の中ってヤツはよ
スレイ:……わかった。これ以上はきかない
ザビーダ:ただ……意志が偶然を引き寄せることもある。それをこう呼ぶんだろうさ
ザビーダ「宿命」ってな
スレイ:宿命……か
ザビーダ:なんにせよ、そいつはもうお前のもんだ。どう使うかもお前次第
ミクリオ:引き金を引いた結果が偶然か宿命かも
スレイ:オレ次第……か
ミクリオ:大丈夫かな、ロゼ……
スレイ:エギーユたちが一緒だ。心配ないさ
ミクリオ:そうだな
ミクリオ:しかし残念だよ。ルナールたちにロゼたちの気持ちが伝わらなかったのは……
ライラ:伝わっていたのかもしれませんわ
スレイ:どういうこと?
ライラ:ルナールさんは、家族や仲間を否定したかったのだと思います
ライラ:だからこそロゼさんたちにこだわった
エドナ:多分、認めたら否定されると思ったのね。独りで生きてきた自分が
ミクリオ:バカな!苦しい時にこだわってなんの得が──
ザビーダ:そう簡単には捨てられないのさ。重い過去だるほどな
ライラ:…………
スレイ:風の骨は、過去をみんなで背負って生きてる。それが許せなかったのかもな……
ミクリオ:だとしたら……悲しいヤツだね
スレイ:…………
ミクリオ:スレイ、アリーシャのこと考えているのか?
スレイ:ああ。大丈夫だって信じてるけど、マルトランさんの最後の言葉が……
ミクリオ:「反吐が出るほど嫌いだった」か
スレイ:うん。あれはきつかっただろうなって
ミクリオ:十年以上も信じてきた師匠の言葉だものな……
ザビーダ:女の言葉をそのまま受け止めるなよ。青年たち
スレイ:別の意味があるっていうのか?
ザビーダ:さあて。千年生きても女心は謎だ
ザビーダ:けど、打算だけの関係を続けるには十年は長すぎる
ミクリオ:マルトランにはアリーシャへの愛情もあったと?
ザビーダ:憎しみも愛の形のひとつさ。本人がどう感じていたかはわからないがな
ミクリオ:そうかもしれないが……
スレイ:難しいんだな
ザビーダ:難しいってわかるのが第一歩だ
ザビーダ:なんにせよ、心配しすぎなくていいと思うぜ。女は強い。男が思うよりずっとな
ミクリオ:マルトランは、アリーシャにふたつ利用価値があったって言ってたけど
ミクリオ:あとひとつは何だったんだろう?
ライラ:それは、おそらく……
エドナ:災禍の顕主の目的から考えると──
ミクリオ:スレイを穢れさせる道具にすること、か
エドナ:多分殺すことでね。避けられたけど
ミクリオ:だとしたら、なんていう……
ライラ:…………
ザビーダ:案外、アリーシャに手取り足取り武術をしこむのが快感だった〜とかじゃね?
ミクリオ:最低だな、ザビーダ
エドナ:あなたが死ねばいいのに
ライラ:次の無言は、拒絶の無言ですわよ?
ザビーダ:ちょ!?空気を和まそうとしただけなのに!
ライラ……天族だったんだよな?あのドラゴンも
ライラ:はい……強い力を持った方だったはずです
ライラ:おそらくかの者が捕らえ、閉じ込めたのでしょう。戦場の穢れが集まる場所に
スレイ:生贄として、か
スレイ:…………
ライラ:スレイさん。戦場は世界の縮図といえるでしょう。あらゆる感情が渦巻いています
スレイ:恐怖や憎しみだね。ドラゴンを生むほどの
ライラ:それだけではありません。ドラゴンに立ち向かう勇気もありました
ライラ:それはスレイさんが呼び起こしたものですわ
スレイ:……絶望するわけにはいかないよな。そんなオレが
スレイ:信じよう。セルゲイたちを……人の世界を
ライラ:はい
ライラ:信じますわ。私たちもスレイさんを
ロゼ:あっさり断ったなー。せっかくのデートのお誘いなのに
ロゼ:導師ってモテないよね、絶対
ミクリオ:ま、仕方ないね
ライラ:スレイさんですし
エドナ:ね
ザビーダ:はは!どうやらそのようだな
ロゼ:あちゃ〜……嫌なもの見つけちゃった
ライラ:ですね
スレイ:落し物が
ライラ:ええと、それは……
ロゼ:スレイ。周りを見ての感想は?
スレイ:ここは、スライム憑魔の巣って感じ──
スレイ:あっ!
ザビーダ:そう。食べられちまったんだよ。持ち主は
スレイ:……けど、なんで荷物だけ無事なんだ?
ロゼ:きっとグルメなのよ
ライラ:あながち間違いではありませんね。スライム憑魔はエゴと貪欲さの塊ですから
スレイ:…………
ザビーダ:他人の心配してる場合じゃないぜ。俺たちも巣の中にいるんだ
ザビーダ:気がついたら胃袋の中ってこともありえるぜ
スレイ:わかった。気は抜かない
ロゼ:ザビーダは食べやすそうだよね。吐き出すものが少ないし
ザビーダ:そうそう、よく言われるんだ
ザビーダ:「食わせ者だ」ってな
ロゼ:変だな。この辺りに野生の馬なんていなかったはずだけど
ライラ:そうなのですか?
ロゼ:うん。セキレイの羽で何度も通ったけど見たことない
エドナ:軍馬だった馬じゃないの?
ロゼ:そっか!きっと軍とはぐれたんだ
ロゼ:無責任だな、まったく!
ライラ:どちらの国の馬なのでしょう?
エドナ:さあね。案外両方の国だったりして
ロゼ:はぐれた同士で仲良くやってるってこと?
エドナ:不思議じゃないでしょ。馬に戦う理由はないんだから
ライラ:馬も戦争の被害者なんですよね……
エドナ:正確には被害馬ね
ロゼ:いいよね?あのままにしておいても
エドナ:いいでしょ。戦場の穢れも消えたし。きっとうまく生きていくわよ
ライラ:ウマだけに、ですね
エドナ:強引に拾わなくていいわよ!
ロゼ:すっげー!
スレイ:でっかいネコジャラシだ!
ライラ:ここまで大きいと周りの「ネコジャラシ」が「嫉妬」してしまいますわよね!
ロゼ:ネコジャラシが嫉妬?
ライラ:ですです!巨大モサモサ感に「妬けちゃう」というか……
スレイ:ライラ?
ライラ:ネコジャラシが「ヤキモチ」を焼くわけですよ。つまり……
エドナ:はいはい、ネコジェラシー!ネコジェラシー!
エドナ:これで満足?
ライラ:はい!ありがとうございます!
エドナ:こんなのが主神だなんて……
ライラ:ジェラシー?
エドナ:じゃかしー!
ロゼ:むしろ「ライラじゃらし」だな。これは
スレイ:言わずにはいられないんだね
ミクリオ:心配ないよな。アリーシャたちは
スレイ:大丈夫。セルゲイもルーカスもいる
ミクリオ:目的地はイズチだな
スレイ:ああ。マオテラスがいるカムランへ続く道があるはずだ
ミクリオ:なんて言う?ジイジには
スレイ:……話さないで行こう
ミクリオ:スレイ!
スレイ:必要ないだろ。また会えるんだから
ミクリオ:……そうだな。わかった
エドナ:……不思議ちゃん、不安みたいね
ライラ:スレイさんの成長が予想以上だったのでしょう
ザビーダ:ああ。この後どんな手を使ってもスレイは全部はね除けるかもってびびってる
ライラ:ですが……彼女が見出した唯一の策までスレイさんがはね除けられるか……
ライラ:正直私も不安ですわ
ザビーダ:なぁに。させなきゃいい。それだけだろ?
ライラ:はい!
エドナ:……あの子はこんな想い知らなくていい
エドナ:あの子が覚悟してたとしても
ライラ:エドナさん……
ザビーダ:……さすがにマジモードだな。エドナちゃん
エドナ:あなたも珍しくマジモードが長いじゃない
ライラ:良い事ですわ!ザビーダさんはずっとマジモでお願いします
ザビーダ:お、ライラが言うならそれもありか?惚れちゃうぜ?いや、もう結婚する?
エドナ:ライラのバカ。放っとけばマジモのままだったのに
ライラ:ごめんなさい……
ロゼ:これ……おっかない顔の像だよね
ミクリオ:多分、マビノギオ遺跡の祭神だと思う。名前はわからないけど──
ライラ:これはゼンライ様ですわ
ミクリオ;えっ!?
スレイ:これがジイジ!?
ライラ:かつて、ゼンライ様は厳しさと加護を併せもつ雷神として、人々の尊崇を集めていたと聞いています
ミクリオ:そうか。僕たちが遊び場にしていたのは……
スレイ:ジイジの神殿だったんだな
ミクリオ:ここは……大地の記憶で見た……
スレイ:ミケルさんの家だ
ライラ:…………
スレイ:ミューズさんも一緒に住んでたんだよな?
ミクリオ:ああ。つまり人間の赤ん坊だった僕も暮らしていたんだろうね
スレイ:ミクリオの故郷なんだよな。カムランは
ミクリオ:スレイにとってもだろ?
スレイ:そう……なんだよな。実感ないけど
ミクリオ:歴史的事実だね。僕たちの
スレイ:けど、オレの故郷はイズチだ
ミクリオ:ああ。もちろん僕も同じだ
スレイ:そしてこれからも
ミクリオ:言うまでもないさ
ライラ:…………
ミクリオ:この石碑は新しいな
ロゼ:なんか書いてある……
ロゼ:「この村から始めよう」
ライラ:!
ミクリオ:カムラン開拓の記念碑か
スレイ:導師をやめたミケルさんはなにを始めるつもりだったんだろうな
ロゼ:普通の生活……家族との暮らし……
ミクリオ:穢れのない世界への第一歩という意味かもしれない
スレイ:始まりの村カムラン──「災厄の時代が始まった」って意味じゃなかったんだな
ロゼ:希望がこもった名前だったんだね
ライラ:ミケル様……
スレイ:取り戻そう、ライラ。希望の名前を
ロゼ:災厄の時代を終わらせて
ライラ:はい
ミクリオ:マオテラスの紋章か
スレイ:いや……ちょっと違くないか?これ……
ライラ:これはカノヌシ様の紋章ですわ
ロゼ:カノヌシ……?どんな天族?
ミクリオ:かなり古い伝承だけに出てくる謎の天族だな
ザビーダ:一応五大神だ。マオテラスの前のな
スレイ:マオテラスの先代!?五大神って入れ替わるものなのか?
エドナ:流行廃りはなんにだってあるわ
エドナ:現に、今はマオテラス信仰だけが盛んじゃない。他の四神をおしのけて
スレイ:そういうもの……かもな
ミクリオ:つまり、ここはカノヌシの神殿だったのか
スレイ:かもしれないな……
スレイ:行こう
ミクリオ:ああ
ロゼ:……スイッチ、無理矢理切っちゃったね
エドナ:ライラ、あの二人の──
ライラ:…………
ザビーダ:…………
ロゼ:あれ?
エドナ:行くわよ
ロゼ:あ、うん。行くよ、二人とも
ザビーダ:ああ
ライラ:はい
ミクリオ:スレイ、儀礼剣があるぞ
スレイ:ああ。やっぱりここは、導師と関係がある場所なんだな
ミクリオ:以前は大勢の導師がいたんだよな。せめて何人か残ってくれていれば……
スレイ:そうだよなぁ
スレイ:けど、そういう歴史の先に生きてるんだ。オレもミクリオも、みんな
ミクリオ:わかってるさ。今この瞬間が歴史であることもね
スレイ:はは、未来のオレたちにガッカリされないようにしないとな
ミクリオ:僕みたいな厳しいのもいるからね
スレイ:そういうこと!
ロゼ:サイモンってなんか憐れ。業とかいうのにホント苦しんだんだね
ザビーダ:ヘルの野郎に仕えることでやっと自分の存在意義を感じられるぐらい、な
スレイ:あんなすごい力を持ってるのに、自分を信じられなかったんだ
ロゼ:あの力ならいつでもあたしらを殺せたのにそうしなかったのもヘルダルフの指示だったのかな
ミクリオ:それもあるかもしれないが……殺せなかったんじゃないだろうか
ミクリオ:あれは普通じゃ考えられない。特別な力に感じた
スレイ:そうか、誓約だな
エドナ:……で、誓約は「殺めない」ってワケね
ザビーダ:人、天族、憑魔なんでもござれだが殺せない。意味があるようで意味がない、か
ライラ:ですが、先ほどは本気だったと思いますわ
エドナ:誓約を侵して、力を失っても……ひげネコの思惑にすら反してでもね
ライラ:はい。この穢れの中で力を存分に発揮できなかったのが
ライラ:幸いしたのでしょう
スレイ:そこまでしてオレを……
ザビーダ:おっそろしい量の穢れだな。スレイがいなけりゃドラゴンになってるぜ
ミクリオ:マオテラスが発しているのか……マオテラスに流れ込んでいるのか……
ミクリオ:とにかく、この穢れがマオテラスを憑魔にしている原因なんだ
エドナ:穢れの中心は村の奥のようね。おそらくそこに……
スレイ:ヘルダルフとマオテラスがいる
ロゼ:行こう!
ライラ:この中で生き残っている憑魔は普通ではないはずです。十分に注意してください
スレイ:ああ!みんなもね
ロゼ:大丈夫!導師一行だって並じゃないから
ロゼ:っとに何ここ!
スレイ:すごいところだよ
ミクリオ:何もかもが非常識すぎる
ライラ:膨大すぎる穢れが、こんな異常な光景を産んでいるんでしょう
ザビーダ:この世ならざる景色ってところか
ロゼ:こんな感じなんだ。あの世って?
エドナ:あの世を見たことある人がそう言ってるしね
ザビーダ:見たらちゃんと教えてやるって、嬢ちゃんたち。それもすぐかもしれねぇぜ?
ライラ:ふふふ、大丈夫ですわね。冗談が言えるのなら
ロゼ:ホント、いつもの調子だよね
エドナ:あなた達も人のこと言えないと思うわ
ザビーダ:どうよ?こういうの?
ミクリオ:頼もしい限りだ
スレイ:ああ。本当に
スレイ:なんだろう?なんかの実……かな?
ミクリオ:それにしても変わったものだね。見たことあるか、ロゼ?
ロゼ:う〜ん……ないなあ。旅でも商品でも
スレイ:もしかして海の向こうから流れ着いた?
ミクリオ:海の向こう!?
ロゼ:そこに、こんな実をつける樹が生えた場所があるって?
ロゼ:すごいこと考えるな
スレイ:不思議じゃないだろ?事実、見たこともない実がある
スレイ:それに、こんな妙な場所だってあったんだ
ロゼ:うん。不思議じゃないね
ミクリオ:海の向こうか……ロマンだね
スレイ:ああ、行ってみたいな、いつか
スレイ:ミクリオ、どういう意味だと思う?
ミクリオ:王が剣を渡していた。状況から見て、軍の出陣式だね
ミクリオ:受け取った男は、きっと将軍だ
ライラ:軍装からするとローランスですね。いつごろのものかは、わかりませんが
スレイ:まさに英雄って感じだったな
ミクリオ:けど、どういう意味があるんだろう?歴史的にはよくある場面だと思うけど
ライラ:続きを見ることができればわかるんじゃないでしょうか?
ミクリオ:あるのかな?続きも
スレイ:わからないけど捜してみよう。隠された歴史だとしたらワクワクするしな
スレイ:天遺見聞録を書いた人は村長……?新しい村をつくってるみたいだったけど
スレイ:ミクリオ。思ったんだけど、もしかしてあの人導師だったりしないかな?
スレイ:導師が天遺見聞録を書いたとしたら色々納得が──
ミクリオ:…………
スレイ:ミクリオ?
ミクリオ:あ……すまない。なんだって?
スレイ:いや……めずらしいな。ミクリオがボーっとするなんて
ライラ:略してミボーですわね!
エドナ:上手い
ミクリオ:上手くない
スレイ:大丈夫か?どっか悪いんじゃ……
ミクリオ:平気だよ。ちょっとボンヤリしただけ
ミクリオ:なぜかね……
ロゼ:……なんなのこれ……あの化け物は……
スレイ:大地の記憶。過去の出来事が記録されているんだ
ミクリオ:……各国での戦争の様子なのか?
スレイ:それをあいつが……ヘルダルフが利用して穢れの坩堝を生み出してるって事か……
エドナ:憑魔同士を争わせて、より力をもった憑魔を生み出そうとしてるんだわ
デゼル:反吐が出る……
ライラ:かの者の心は深い闇の底なのかもしれません……
スレイ:これが災禍の顕主……
スレイ:追放された……ってことかな?軍や国から
ロゼ:戦争に負けたんじゃない?多分だけど
ミクリオ:あんなに声援を受けてたのに、なんだかね
スレイ:いなかったのかな。助けてくれる人……
エドナ:そんなものよ。人の世なんて
スレイ:なんだ今の……どういうことだ?
ミクリオ:干渉してるってことじゃないか?ヘルダルフの配下が、人間の社会に
スレイ:穢れを生むためにか?
ロゼ:前に見たのと関係あるんじゃない?
ミクリオ:あいつは戦争を利用して憑魔を生んでた
スレイ:戦争を起こさせようとしてるのか!
エドナ:これは過去の記録。もうすでに起こしてるんでしょうね
スレイ:みんな騙されてるんだ、ヘルダルフに
デゼル:いや、自分の意志で協力してる奴も多いはずだ
スレイ:そんな……
ライラ:ないとは言い切れませんわ。残念ですが
スレイ:…………
スレイ:なんだ今の……どういうことだ?
ミクリオ:干渉してるってことじゃないか?ヘルダルフの配下が、人間の社会に
スレイ:穢れを生むためにか?
ロゼ:前に見たのと関係あるんじゃない?
ミクリオ:あいつは戦争を利用して憑魔を生んでた
スレイ:戦争を起こさせようとしてるのか!
エドナ:これは過去の記録。もうすでに起こしてるんでしょうね
スレイ:みんな騙されてるんだ、ヘルダルフに
ザビーダ:だといいんだけど。案外、進んで協力してたりするんだよな
スレイ:そんな……
ライラ:ないとは言い切れませんわ。残念ですが
スレイ:…………
スレイ:ドラゴンを一撃で……!
エドナ:しかも実体化したヤツをね
スレイ:なんて力だ……
ライラ:…………
デゼル:背後の穢れを見ただろう。ヤツに憑いている憑魔が桁違いなんだ
スレイ:……ああ。オレも、もっと力をつけなきゃ
ロゼ:おお!今のを見てその発言。心配のような、頼もしいような
スレイ:ドラゴンを一撃で……!
エドナ:しかも実体化したヤツをね
スレイ:なんて力だ……
ライラ:…………
ザビーダ:いやはや、とんでもない穢れと結びつきやがって……燃えてくるじゃないの
スレイ:……ああ。オレも、もっと力をつけなきゃ
ロゼ:おお!今のを見てその発言。心配のような、頼もしいような
ライラ:…………
スレイ:今の人って……導師だよね?
ライラ:……はい
スレイ:そっか。落ち着いた雰囲気の人だね
ミクリオ:誰かと違って
スレイ:うっせ
ミクリオ:ま、ひとつ事実がわかったし
スレイ:ああ。次に行こう
ライラ:え?
ロゼ:もっと聞かなくていいの?先輩の情報、超貴重でしょ?
スレイ:黙ってたのは理由があるから。でしょ?
ミクリオ:それくらいわかってるさ
ライラ:スレイさん、ミクリオさん……
デゼル:その理由が問題だろうに。後悔しなけりゃいいがな
エドナ:そんな子どもじゃないわよ。あの子たちは
スレイ:輿入れの儀式だよな、さっきの?しかも導師があんなに大勢!
ミクリオ:場所はペンドラゴの教会神殿みたいだった。それにあのマオテラスの紋章……
スレイ:主神はマオテラスなのかな?
ライラ:私は、ちょっと失礼しますわ
ロゼ:隠れちゃった。なんかイジメみたい
スレイ:そんなつもりはないんだけど……
ロゼ:わかってるけどさ
デゼル:状況証拠から見て、マオテラスが関係している可能性が高いな
ミクリオ:うん、あれだけの導師が存在するには、五大神級の力が必要だと思う
スレイ:そうだな。けど、今はこの辺にしておこう
エドナ:盛り上がるとライラが出てこれないわよ
ミクリオ:ごめん。わかったよ
スレイ:輿入れの儀式だよな、さっきの?しかも導師があんなに大勢!
ミクリオ:場所はペンドラゴの教会神殿みたいだった。それにあのマオテラスの紋章……
スレイ:主神はマオテラスなのかな?
ライラ:私は、ちょっと失礼しますわ
ロゼ:隠れちゃった。なんかイジメみたい
スレイ:そんなつもりはないんだけど……
ロゼ:わかってるけどさ
ザビーダ:ま、どうやらマオ坊が関係してるっぽいけどな
ミクリオ:うん、あれだけの導師が存在するには、五大神級の力が必要だと思う
スレイ:そうだな。けど、今はこの辺にしておこう
エドナ:盛り上がるとライラが出てこれないわよ
ミクリオ:ごめん。わかったよ
スレイ:あんなにたくさんの導師が浄化の力を振るってたんだな、昔は
ミクリオ:それが、なぜいなくなってしまったんだろう?
ライラ:……なぜだと思われますか?
スレイ:導師の存在がマオテラスと関係していたとすると……
ミクリオ:マオテラスが失踪したから導師も消えた
エドナ:そう決めつけるのは早計じゃない?
スレイ:じゃあ、他にどんな可能性があると思う?
エドナ:例えば、導師が居なくなるほど人が天族を信じなくなったせいかも
デゼル:大勢いる時代の方が異常だったのかもしれんな
ロゼ:スレイみたいのしか導師になれないとしたら、お人よしが減ったからとか
スレイ:う〜ん……可能性は山ほどあるか
ミクリオ:コツコツ証拠を集めていくしかないね
ライラ:はい。そうすれば、きっと答えに辿り着けますわ
スレイ:あんなにたくさんの導師が浄化の力を振るってたんだな、昔は
ミクリオ:それが、なぜいなくなってしまったんだろう?
ライラ:……なぜだと思われますか?
スレイ:導師の存在がマオテラスと関係していたとすると……
ミクリオ:マオテラスが失踪したから導師も消えた
エドナ:そう決めつけるのは早計じゃない?
スレイ:じゃあ、他にどんな可能性があると思う?
エドナ:例えば、導師が居なくなるほど人が天族を信じなくなったせいかも
ザビーダ:導師を食べちゃう化け物が現れた……とかな
ロゼ:スレイみたいのしか導師になれないとしたら、お人よしが減ったからとか
スレイ:う〜ん……可能性は山ほどあるか
ミクリオ:コツコツ証拠を集めていくしかないね
ライラ:はい。そうすれば、きっと答えに辿り着けますわ
ライラ:…………
ロゼ:すごいね、ライラ。あんな息ぴったりなんて
デゼル:……若いが相当な使い手だな
スレイ:うん。あの人に比べたら
ミクリオ:スレイは、まだまだだね
スレイ:ライラ。オレも、ライラとあんな旅をしてみたい
ライラ:スレイさん……
エドナ:失礼ね、スレイ
スレイ:え?
ライラ:はい。同じくらい素敵ですわ。今の皆さんとの旅も
ライラ:…………
ロゼ:すごいね、ライラ。あんな息ぴったりなんて
ザビーダ:だと、ちょっと妬けちゃうねえ
スレイ:うん。あの人に比べたら
ミクリオ:スレイは、まだまだだね
スレイ:ライラ。オレも、ライラとあんな旅をしてみたい
ライラ:スレイさん……
エドナ:失礼ね、スレイ
スレイ:え?
ライラ:はい。同じくらい素敵ですわ。今の皆さんとの旅も
スレイ:なにが……あったんだ?
ロゼ:亡くなったってこと……じゃないかな?家族が
エドナ:多分ね。しかも次々と、ほぼ全員
ライラ:…………
ミクリオ:偶然とは思えないね
スレイ:殺された……ってこと?
スレイ:…………
スレイ:この人、大地の記憶の……!?
ミクリオ:白皇騎士団初代団長将軍ゲオルク……
ミクリオ:ヘルダルフ!
スレイ:ヘルダルフ!
ミクリオ:しかも描かれたのは二十年以上前だ
エドナ:大地の記憶に残ってるはずよね
スレイ:この人が、あのヘルダルフ……
ロゼ:こいつが災禍の顕主の正体って……ホントに?
スレイ:わからない。オレたちには獅子の憑魔にしか見えなかったから
スレイ:けどライラは、大地の記憶は災禍の顕主を識るための道標だって言った
ミクリオ:それに出てきた人間がヘルダルフだったんだ。同一人物と考えるのが自然だろう
ロゼ:なるほど。納得
ロゼ:ふうん……案外渋いオジサマだね
スレイ:うん。オレたちの父親くらいの年齢かな
ミクリオ:二十年以上前の時点で、ね
ロゼ:騎士団の初代団長だった
スレイ:肖像画を飾ってるってことは、セルゲイたちが尊敬してる人なんだろうな……
ミクリオ:スレイ
スレイ:大丈夫。ちょっと思っただけだよ
スレイ:災禍の顕主は正体不明の化け物じゃなくて、オレと同じ人間なんだなって
ロゼ:…………
ミクリオ:…………
ロゼ:なんなの今の?赤ちゃんが……
スレイ:ウソだろ、ライラ?あんなことが本当にあるなんて──
ライラ:大地の記憶は、過去に起こった事実を記録するものですわ
スレイ:事実……なのか……
ミクリオ:しかも、ただの事件じゃない。天響術でなきゃ、ああはならない
スレイ:憑魔か天族が人間に術をかけたって!?
エドナ:おそらく目的は復讐ね
ザビーダ:おっかない術だねえ。いや、怖いのはかけた奴の方かな?
スレイ:けど家族は関係ないだろ!
エドナ:生きる目的を奪うのが目的だったのかも。直接殺すよりも、ずっと残酷だし
スレイ:いるのか?そこまでされなきゃいけない人が……
スレイ:命を絶とうとしたのか……何度も
ミクリオ:結局、死にきれなかったみたいだが
ロゼ:けどおかしくない?こんなに失敗するなんて
エドナ:本気じゃなかったんでしょ
ロゼ:そうは見えなかったよ
スレイ:うん。むしろ本気で死にたがってる感じがした
ミクリオ:偶然じゃないってことか?これも
スレイ:そこまでは……
エドナ:わからないことだらけね
ザビーダ:そんなもんさ。世の中は
スレイ:これがヘルダルフ──災禍の顕主が生まれた瞬間……
ロゼ:アイツも……人間だったんだよね。今更だけど
ライラ:はい。冷酷ではあっても、当たり前に家族を愛する……
ミクリオ:そんな人間が災禍の顕主になるのか
ロゼ:家族を失ったから?
ザビーダ:なんかのせいっていうより、自分の意思でなったように見えたがな
エドナ:そうね
スレイ:オレたちが理解できることじゃないのかもしれない。けど……
スレイ:きっとヘルダルフはやめたんだ。抗うことを
番号 | チャット名 | 発生地 | 詳細 |
---|---|---|---|
001 | エドナ、兄を語る | ペンドラゴ | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
002 | ザビーダを問い詰める | 〃 | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
003 | ドラゴンスレイヤーの役目 | ローグリン | 最後の戦いへとラストンベルから出発後に宿屋に泊まる |
004 | アイゼンの墓 | 霊峰レイフォルク | アイゼン撃破後、ディスカバリー「山頂の墓」発見時 |
005 | エドナの言いたいこと | どこでも? | アイゼン撃破後、宿屋に泊まる? |
006 | 犠牲の石像 | ペンドラゴ教会神殿 | ボス戦のある部屋の石像に近づく |
007 | 違和感の正体 | ペンドラゴ | ペンドラゴの連続殺人事件のイベントで犯人発見から神殿から出たとき |
008 | 誤解は解かずに | ペンドラゴ | 最後の戦い前にセルゲイに会ってからセーブポイント |
009 | 苦悩するアリーシャ(デゼル) | レディレイク | 水の試練神殿クリア後、アリーシャに会ってイベントを見てからレディレイク宿屋のセーブポイント |
010 | 苦悩するアリーシャ(ザビーダ) | 〃 | ザビーダがいる場合 |
011 | 伝えないと決める(デゼル) | 〃 | 水の試練神殿クリア後、アリーシャに会ってマルトランに話した後に少し進むと自動発生 |
012 | 伝えないと決める(ザビーダ) | 〃 | ザビーダの場合 |
013 | もう大丈夫! | レディレイク | 最終決戦前にアリーシャに会いに行った後に自動発生 |
014 | ロゼの生い立ち | 緑青林マロリー | セキレイの羽の新アジトのサブイベントで自動発生 |
015 | ロゼの生い立ち(デゼル) | 〃 | デゼルがいる場合のもの |
016 | マーボーカレーまん、ヒット!(デゼル) | 〃 | セキレイの羽の新アジトについてのサブイベントクリア後に少しマロリー内を進むと自動的に発生する |
017 | マーボーカレーまん、ヒット!(ザビーダ) | 〃 | 上と同じ条件、デゼルの代わりにザビーダの場合 |
018 | 子どもたちからの依頼 | ティンタジェル遺跡群 | 敗残兵狩りのイベントで生き残った子供2人と話した後 |
019 | 一個言っとくこと | ヴァーグラン森林 | 敗残兵狩りのサブイベントをクリアした後、セーブポイント |
020 | ライラとジイジ | 天族の杜イズチ | 水の試練神殿へ行く前にイズチに寄って里帰りイベントを見た後にスレイの家の前のセーブポイント |
021 | 聞かなくても平気 | 〃 | 森でのジイジとライラの会話を見た後に自動発生? |
022 | ジイジの手紙 | 天族の杜イズチ | 始まりの村カムラン到達後にイズチのジイジの家の本棚に近づく |
023 | ドラゴンの骨!? | カースランド島 | ディスカバリー「ドラゴンの全身骨格」発見時 |
024 | まるでドラゴンの巣 | 〃 | ザ・カリスを3つクリアでセーブポイント |
025 | カースランド島とは | 〃 | ドラゴンゾンビを倒してからセーブポイント |
026 | 地脈、活性化 | 〃 | ドラゴンゾンビを倒すと自動発生 |
027 | 少女マーガレット(デゼル) | ラストンベル | ラストンベルの地の主サインドのイベント中、宿屋に泊まったとき(デゼル) |
028 | 少女マーガレット(ザビーダ) | 〃 | パーティにデゼルでなくザビーダがいる場合のもの |
029 | 霊応力の罪とロゼの価値観 | 〃 | デゼルがパーティにいる状態で、ラストンベルの加護復活イベントでブリードウルフ戦後、宿屋に自動的に移動し、自動的に発生 |
030 | 霊応力の罪(デゼル) | 〃 | デゼルがパーティにいる状態で、かつペンドラゴ教会神殿でメデューサ撃破後にラストンベルの加護復活イベントでブリードウルフ戦後、宿屋に自動的に移動し |
031 | 霊応力の罪(ザビーダ) | 〃 | ザビーダがパーティにいる状態で、ラストンベルの加護復活イベントでブリードウルフ戦後、宿屋に自動的に移動し、自動的に発生 |
032 | ペンドラゴの夜 | ペンドラゴ | ペンドラゴの地の主復活イベント中に宿屋に泊まったとき |
033 | 天族ムルジム | 〃 | ムルジムがペンドラゴの地の主となった後 |
034 | 罰、当たる!?(デゼル) | ガフェリス遺跡 | デゼルがいる状態で遺跡最深部で瞳石入手後にセーブポイント |
035 | 罰、当たる!?(ザビーダ) | ザビーダがいる状態で遺跡最深部で瞳石入手後にセーブポイント | |
036 | ローグリン、その後 | ローグリン | ハイエレファントを倒すイベント後にローグリンのセーブポイント |
037 | 長くなる話 | ペンドラゴ | ペンドラゴに初訪問時宿屋で泊まる? |
038 | ノルトーク | どこでも | ノルミンを30匹発見時? |
039 | エドナ無敵伝説(デゼル) | レディレイク | アイゼン撃破後にレディレイクの宿屋に泊まる? |
040 | エドナ無敵伝説(ザビーダ) | 〃 | ザビーダがいる場合 |
041 | 高飛車な挑戦状 | どこかの宿屋 | フェニックス以外の49体のノルミンを集めてから宿屋に泊まる |
042 | フェニックスからの伝言 | 火の試練神殿イグレイン | フェニックス撃破後に戻ろうとすると発生 |
043 | フェニックスよ永遠に | 火の試練神殿イグレイン | フェニックス撃破後にセーブポイント? |
044 | アリーシャとマルトラン | マーリンド | 本を持った女性に会った後にセーブポイントへ |
045 | 女騎士マルトラン | ラストンベル | ペンドラゴ教会神殿でメデューサ撃破後にペンドラゴの街人からマルトランの話を聞いてから聖堂前のセーブポイントで発生 |
046 | マルトランの過去 | ラストンベル | 4つの秘力を集める段階でラストンベルの公園にいる老人に話してからセーブポイント |
047 | マルトランの過去(正体判明後) | ラストンベル | 瞳石を集める段階でラストンベルの聖堂前セーブポイント |
048 | スレイの葛藤 | プリズナーバック湿原 | サブイベントでステンノーを倒した後に自動発生? |
049 | スレイの葛藤(ザビーダ加入) | 〃 | ザビーダがパーティにいる場合 |
050 | メデューサ種の正体 | ペンドラゴ教会神殿 | 本棚で3姉妹の話を調べたとき |
051 | メデューサ種の正体(盆地解放後) | 〃 | グレイブガント盆地に行けるタイミングで、本棚で3姉妹の話を調べたとき |
052 | 人の運命は…… | グレイブガント盆地 | 廃村でステンノー&エウリュアレー撃破後 |
053 | 子どもたちへ(デゼル) | レディレイク | 子供の窃盗団のサブイベントを行ってから宿屋のセーブポイント。 |
054 | 子どもたちへ(ザビーダ) | 〃 | ザビーダがパーティにいる場合のもの |
055 | ロゼのほしいもの | どこでも | 異形の宝珠を30個集める、かつマビノギオ遺跡深部まで話を進める |
056 | 先生&先生 | どこでも | ロゼの秘奥義2習得イベントの後 |
057 | ライラの忍耐 | レディレイク | ゲームクリア後にレディレイクの宿屋に泊まる |
058 | 瞳石とは? | ヴァーグラン森林 | 瞳石8個発見後のセーブポイント |
059 | 旅の空で | レディレイク | ライラが秘奥義2習得後にレディレイクの宿屋に泊まる |
060 | 天族たちの思い | どこでも | アイゼン撃破後に宿屋に泊まる |
061 | さっきのザビーダは…… | プリズナーバック湿原 | プリズナーバック湿原でレジェンドワイバーン撃破時自動発生 |
062 | 村長の答え | ゴドジン | ゴドジンの加護復活後にゴドジンの宿屋のセーブポイント |
063 | スレイの勝利 | 凱旋草海 | 穢れの坩堝・等活をクリア |
064 | ミクリオの勝利 | パルバレイ牧耕地 | 穢れの坩堝・黒縄をクリア |
065 | ライラの勝利(デゼル) | バイロブグリフ崖道 | 穢れの坩堝・衆合をデゼルがパーティにいる状態でクリア |
066 | ライラの勝利(ザビーダ) | 〃 | 穢れの坩堝・衆合をザビーダがパーティにいる状態でクリア |
067 | ロゼの勝利(デゼル) | アイフリードの狩り場 | 穢れの坩堝・叫喚をデゼルがパーティにいる状態でクリア |
068 | ロゼの勝利(ザビーダ) | 〃 | 穢れの坩堝・叫喚をザビーダがパーティにいる状態でクリア |
069 | エドナの勝利(デゼル) | ウェストロンホルドの裂け谷 | 穢れの坩堝・大叫喚をデゼルがパーティにいる状態でクリア |
070 | エドナの勝利(ザビーダ) | 〃 | 穢れの坩堝・大叫喚をザビーダがパーティにいる状態でクリア |
071 | 導師たちの勝利 | ザフコッド原野 | 穢れの坩堝・焦熱をクリア |
072 | 従士たちの勝利 | プリズナーバック湿原 | 穢れの坩堝・大炎熱をクリア |
073 | ザビーダの挑戦 | カースランド島 | 穢れの坩堝・無間に挑戦する時 |
074 | ザビーダの勝利 | 〃 | 穢れの坩堝・無間をクリア |
075 | メーヴィンの背景 | どこでも | 詩人メーヴィンのイベントを見た後にセーブポイント |
076 | 穢れに囚われた死者たち | レイクピロー高地 | 廃村でファントム×3を倒した後 |
077 | ライラのこだわり | 霊峰レイフォルク | 特定のポイントにいるアルマジロを倒す。位置はマップ参照 |
078 | 未熟な丸まリスト | 緑青林マロリー | 077を発生させた上で、西部の東側袋小路のグランドローラーを倒す、先に団子蟲を倒してしまうと発生しない。位置はマップ参照 |
079 | 遥かなるアルマ次郎 | トリスイゾル洞 | 078を発生させた上で、トリスイゾル洞北東部にいる変異憑魔、団子蟲を倒す |
080 | 憑魔・龍魔人 | グレイブガント盆地 | 変異憑魔「龍魔人」を倒す |
081 | ミスリルを手に入れて | ローグリン | ミスリル装備のサブイベントクリア後にセーブポイント |
ロゼ:明日も早いよ。全員しっかり休むこと!
エドナ:……やれやれね
ザビーダ:旅は嫌いかい?
エドナ:面倒よね。外に出たのは何百年ぶりだし
ザビーダ:何百年ぶりとは、すごいな
スレイ:その間、ずっとレイフォルクに……
エドナ:ええ。お兄ちゃんの帰りを待ってね
ロゼ:一緒に住んでたんじゃないの?
エドナ:お兄ちゃんは誰かさんみたいな冒険好きでね。しょっちゅう旅に出ていたのよ
エドナ:ワタシは子ども扱いで、いつも留守番。一応、お土産でご機嫌をとろうとしてたけど
スレイ:冒険のお土産って、どんな?
エドナ:遺跡で見つけたゴツイ神器とか、子どもっぽいリボンとか、妙なお守りとか
ザビーダ:忠告はしたんだけどな
スレイ:へえ、いいじゃないか!
エドナ:そう思うのね、あなたも
ロゼ:そっか。似てるんだ、スレイに
エドナ:……かもね
エドナ:全部昔の話だけど
ザビーダ:……でもないさ
エドナ:ザビーダ。あの話のことちゃんと聞かせて
ザビーダ:あの話って……告白の返事だっけ?
エドナ:誤魔化さないで。言ったでしょ。お兄ちゃんと決着をつけるって
ザビーダ:そのままの意味さ。アイゼンとは、ちょいと因縁があってね
エドナ:それがどんな因縁かって聞いてるの
ザビーダ:「妹さんを僕にください」って言ったら殴られた
エドナ:ウソね
ザビーダ:けど、絶対やるだろ。アイツ?
エドナ:……わかった。話す気はないのね
ザビーダ:くくく、アイツが心配するわけだ
ライラ:本当は、どうなんですの?
ロゼ:なにか頼まれたんじゃないの?エドナのお兄さんに
ザビーダ:さあて、どうだったかな?
ライラ:もしかして誓約なのですか?
ザビーダ:いやいや、そんな大したもんじゃないって
ザビーダ:けど、口にしないもんだろ。男の約束ってのは
ザビーダ:マジで倒せたな、ドラゴン
ザビーダ:大したもんだ。さすが俺様が見込んだ男だ
スレイ:わかってるよ。エドナのお兄さんのことだろ
ザビーダ:気付いてるかもだが、ジークフリートで俺たちをアイゼンに撃ち込めば──
スレイ:穢れを切り離し、元に戻せるかもしれない
ザビーダ:だが、所詮は可能性だぜ
ザビーダ:何発必要なのか……そもそも本当にできるのかすらわからねえ
スレイ:ああ。今じゃにあってわかっているよ
ザビーダ:……悪ぃ。余計な口出しだったな
スレイ:世界中を探せば、別の方法があるのかもしれないけど……
ザビーダ:そうだな
ザビーダ:だが、ヘルの野郎は待ってくれねぇだろうな
スレイ:今やらなかったら、できなくなる
ザビーダ:別に強制はしないぜ?
スレイ:……独りでもやるから、だよな
ザビーダ:そういうこと
ロゼ:できたね。ささやかだけど
スレイ:……うん
ザビーダ:スレイ。お前は、ばっちりけじめつけたんだ。思いつめんじゃねえって
スレイ:大丈夫だよ。オレは
ザビーダ:気にすんな。野郎も満足してるだろうしな
ロゼ:あんたも?
ザビーダ:……俺もさ
ミクリオ:けど、エドナは時間が必要かもしれないね
ライラ:はい。何百年も積み重ねた想いですから
ザビーダ:「エドナは泣き虫だけど、芯は強い子だ」
ロゼ:それってアイゼンの?
ザビーダ:知ってるだろ?俺たちも
スレイ:ああ。だよな
エドナ:スレイ、ちょっといい?
スレイ:いいけど……どうかしたの?
エドナ:どうもしないわ。気にしないで
スレイ:……うん。わかった
ミクリオ:顔を見たくないってことかな?
スレイ:だとしても、オレはエドナの言う通りにするよ
エドナ:勘違いしないで。ただの個人的な理由よ
ライラ:腫れているからじゃないでしょうか。目が
ロゼ:そっか。あんなに泣いたからね
ミクリオ:それならいいんだが
ザビーダ:よくないぜ〜。背中で語る大人の色気に気付かなきゃな
エドナ:黙りなさい、オヤジザビーダ。略してオジーダ
ザビーダ:はっは〜!調子戻ってるじゃないの〜
ザビーダ:ちょっと傷ついた
スレイ:ははは
スレイ:で、用事ってなんなの?
エドナ:丁度いいから今のうちにみんなに言っておこうと思って
エドナ:一度しか言わないから
エドナ:ありがと
エドナ:ありがと
スレイ:えっと……二回言ったけど?
ザビーダ:ひとつはアイツの分だろ
ザビーダ:なあ、親友
エドナ:……やりきれない
スレイ:ライラ、元に戻す方法は──
ライラ:それは……
ロゼ:スレイ、ライラ、困ってる
スレイ:……ごめん
ライラ:いえ、私こそ……
スレイ:オレにもっと力があれば
デゼル:図に乗るな。生き死にまで操れると思うのか?
スレイ:……勘違いしたらダメだよな
デゼル:妙な同情もだ
ミクリオ:そうだな。ボリスはなすべき仕事を果たしたんだ。自分の意志で
ロゼ:あたしたちもやんなきゃ
スレイ:ああ。続けよう。オレたちにできることを
ロゼ:変な感じの理由がわかったよ。この事件に殺気が感じられなかったからなんだ
ザビーダ:あの司祭、殺しを浄化とかぬかしてたな
エドナ:あいつは心の底から思ってたのね。あれが全部世界のためになるって
ライラ:だから穢れを生まず、憑魔にならなかった。これが最も恐ろしい事です
スレイ:どうしてあんなに心が歪んでしまったんだろう……
ミクリオ:あの男、夢の中で天族に導かれたと言っていた
ミクリオ:それが原因かもしれないな
ライラ:そんな形のないものに……
スレイ:……実体の無いもの……幻……幻覚!?
ロゼ:!
エドナ:不思議ちゃんが何かしたのかもね
ロゼ:サイモンが何かしたんだとしても、絶対に罪の意識だけはごまかせない
ロゼ:人殺しは罪……どんな理由つけても。その罪の意識を感じないで殺めていたあいつは
ロゼ:怪物だったんだよ
ザビーダ:弱ぇ奴、おっかねぇ奴、強ぇ奴いろんなのがいるって事だな
ライラ:はい。そしてセルゲイさんのような方も
スレイ:ああ。わかってる
ライラ:ロゼさん。結局、セルゲイさんの誤解を解かなかったんですね
ロゼ:うん、なんかね。セルゲイが、がっかりするかなって
スレイ:オレもそう思った
ミクリオ:セルゲイにとって、スレイとロゼは守りたい世界の象徴なのかもしれないな
ザビーダ:見てるのかねえ。自分がなくしちまった家族ってやつを
ロゼ:嘘ついちゃうけどさ、もうちょっと黙っておこうよ
ライラ:はい。いいと思いますわ
ザビーダ:いっそ本当にしちゃう気はないわけ?
スレイ&ロゼ:あはは!それはないってー(ないっしょー)
エドナ:ほんと見事なコンビネーション
ロゼ:とにかく!やるべきことをやろ!そしたら──
スレイ:笑って本当のことを話せる日がくるよな。きっと
ロゼ:お姫さまってのも楽じゃないね
ライラ:国や政治とは、人の思惑が絡み合ったクモの巣のようなもの
ライラ:理想だけで渡ろうとすれば、絡め取られてしまうと思います
スレイ:けど……オレはアリーシャが間違ってるとは言いたくないよ
ミクリオ:アリーシャが頑張る理由を知ってしまったから余計にね
ライラ:今の時代、アリーシャさんの純粋さは、とても貴重なものだと思います
ライラ:ですが、硬すぎる剣は意外に脆いものですわ
ロゼ:うん。それに、アリーシャのは正論だから
ミクリオ:正論じゃダメだっていうのか?
ロゼ:正しいこと言われて自分が間違ってるの気付いたら、かなり「くる」じゃない?
ロゼ:そしたら、ヘコむか逆ギレしちゃうっしょ
スレイ:……相手も人間だもんな
エドナ:結果、あの娘が正論を説くほど、自分のいびつさを知る者にはあの子に敵意を持つ
エドナ:そういう事ね
ミクリオ:正しいはずなのに敵意を持たれ……
ミクリオ:またアリーシャはそれに真っ向からぶつかり、より強い敵意を生んでしまっているのか
ロゼ:んで悩んじゃってる
デゼル:……苦悩の連鎖だ
スレイ:……つらいな。アリーシャも
ライラ:ですが、アリーシャさんの想いが間違っているとは思いませんわ
ライラ:ただ、見極める必要はあるのではないでしょうか?
スレイ:アリーシャだけじゃなくオレも見極めなきゃな
ロゼ:お姫さまってのも楽じゃないね
ライラ:国や政治とは、人の思惑が絡み合ったクモの巣のようなもの
ライラ:理想だけで渡ろうとすれば、絡め取られてしまうと思います
スレイ:けど……オレはアリーシャが間違ってるとは言いたくないよ
ミクリオ:アリーシャが頑張る理由を知ってしまったから余計にね
ライラ:今の時代、アリーシャさんの純粋さは、とても貴重なものだと思います
ライラ:ですが、硬すぎる剣は意外に脆いものですわ
ロゼ:うん。それに、アリーシャのは正論だから
ミクリオ:正論じゃダメだっていうのか?
ロゼ:正しいこと言われて自分が間違ってるの気付いたら、かなり「くる」じゃない?
ロゼ:そしたら、ヘコむか逆ギレしちゃうっしょ
スレイ:……相手も人間だもんな
エドナ:結果、あの娘が正論を説くほど、自分のいびつさを知る者にはあの子に敵意を持つ
エドナ:そういう事ね
ミクリオ:正しいはずなのに敵意を持たれ……
ミクリオ:またアリーシャはそれに真っ向からぶつかり、より強い敵意を生んでしまっているのか
ロゼ:んで悩んじゃってる
ザビーダ:お姫様にゃ、ちと重い荷物だねぇ
スレイ:……つらいな。アリーシャも
ライラ:ですが、アリーシャさんの想いが間違っているとは思いませんわ
ライラ:ただ、見極める必要はあるのではないでしょうか?
スレイ:アリーシャだけじゃなくオレも見極めなきゃな
スレイ:マルトランの正体を伝えられなかったのは
スレイ:信じたいって思ってるけど「本当は信じてない」からなのかな……
ミクリオ:あれは、ただの挑発だ……
スレイ:…………
スレイ:アリーシャには伝えないでおこう
エドナ:いいのね?
スレイ:ああ
ミクリオ:僕も賛成だ
ミクリオ:マルトランの目的はアリーシャに危害を加えることではなさそうだしな
エドナ:それなら、ワタシの言うことはないわ
スレイ:ロゼも伝える必要ないって思ってるだろ
ミクリオ:マルトランに啖呵切ってたしね
ロゼ:あはは。スレイ、もう話さないって気配だったからあいつの挑発につい先走っちゃったぜ
デゼル:……
スレイ:……正直、今のアリーシャに本当のことを伝えるのが不安なんだ
ライラ:アリーシャさんは想像以上にマルトランさんを支えにしていますからね
デゼル:どっちでもかまわんが、マルトランと戦る時は躊躇するなよ
デゼル:死ぬぞ
スレイ:……ああ。それもわかってる
ロゼ:そんな深刻にならなくても大丈夫だって!
ロゼ:ほら、決めた事に胸をはれっての!
スレイ:ああ
スレイ:マルトランの正体を伝えられなかったのは
スレイ:信じたいって思ってるけど「本当は信じてない」からなのかな……
ミクリオ:あれは、ただの挑発だ……
スレイ:…………
スレイ:アリーシャには伝えないでおこう
エドナ:いいのね?
スレイ:ああ
ミクリオ:僕も賛成だ
ミクリオ:マルトランの目的はアリーシャに危害を加えることではなさそうだしな
エドナ:それなら、ワタシの言うことはないわ
スレイ:ロゼも伝える必要ないって思ってるだろ
ミクリオ:マルトランに啖呵切ってたしね
ロゼ:あはは。スレイ、もう話さないって気配だったからあいつの挑発につい先走っちゃったぜ
デゼル:……
スレイ:……正直、今のアリーシャに本当のことを伝えるのが不安なんだ
ライラ:アリーシャさんは想像以上にマルトランさんを支えにしていますからね
ザビーダ:憑魔が人に混じってるなんざ普通なこった
デゼル:ま、あの美女とはこの先出会いそうだけどな。戦いの舞台でよ
スレイ:……ああ。それもわかってる
ロゼ:そんな深刻にならなくても大丈夫だって!
ロゼ:ほら、決めた事に胸をはれっての!
スレイ:ああ
ロゼ:アリーシャ、なんか変わったね
ザビーダ:ああ。前より、いい女になったな
ライラ:見極めたからでしょう。夢を実現させるためになにが必要かを
ミクリオ:その上で決めたんだな。政治家として生きることを
スレイ:……ああ
エドナ:もしかして寂しい?
スレイ:まさか
スレイ:信じられるよ。もうアリーシャは大丈夫だって
ザビーダ:こっちもいい男になったんじゃないの
スレイ:だろ?
ミクリオ&ザビーダ:ははは&おっと
ライラ&エドナ&ロゼ:言いますわね&言うじゃない&言うねえ&
スレイ:風の骨……阿吽の呼吸だな
ロゼ:そう?家族みたいなもんだからかな
スレイ:家族……か
ライラ:ブラドさんという方はロゼさんのお父上なのですか?
ロゼ:ああ、先代団長ね。あたしを拾ってくれた人だよ
ライラ:拾った……?
ロゼ:あたし、北の方の戦場で迷子になってたらしいんだ
スレイ:オレと同じだ
ライラ:天族も親はいませんわ
ロゼ:そっか……みんなも
スレイ:けど、家族の感じはわかるよ
ミクリオ:僕たちを育ててくれたジイジたちだ
ロゼ:あたしも一緒。風の骨のみんなは、同じ道を選んでくれた家族なんだ
エドナ:いいの?暗殺ギルドの道でも
ロゼ:あたしは、よかったと思ってる。バラバラになるより、ずっと
エドナ:そう……
スレイ:風の骨……阿吽の呼吸だな
ロゼ:そう?家族みたいなもんだからかな
スレイ:家族……か
ライラ:ブラドさんという方はロゼさんのお父上なのですか?
ロゼ:ああ、先代団長ね。あたしを拾ってくれた人だよ
ライラ:拾った……?
ロゼ:あたし、北の方の戦場で迷子になってたらしいんだ
スレイ:オレと同じだ
ライラ:天族も親はいませんわ
ロゼ:そっか……みんなも
スレイ:けど、家族の感じはわかるよ
ミクリオ:僕たちを育ててくれたジイジたちだ
ロゼ:あたしも一緒。風の骨のみんなは、同じ道を選んでくれた家族なんだ
エドナ:いいの?暗殺ギルドの道でも
ロゼ:あたしは、よかったと思ってる。バラバラになるより、ずっと
エドナ:そう……
デゼル:よかった……か
ロゼ:やっぱ「マーボーカレーまん」当たったでしょ
スレイ:美味いもんなー!
ライラ:二人ともお行儀悪いですわよ
ロゼ:けど、あったかいうちに食べないとー
スレイ:美味しくないもんなー!
デゼル:ゴクリ……
エドナ:むかつくわね。一口よこしなさい
ミクリオ:ああ、分け合うのが仲間だろう
ライラ:みなさん、はしたないですわよ!
スレイ&ロゼ:ライラも食べるー?
ライラ:いただきますわ!
ライラ:はっ!
ロゼ:やっぱ「マーボーカレーまん」当たったでしょ
スレイ:美味いもんなー!
ライラ:二人ともお行儀悪いですわよ
ロゼ:けど、あったかいうちに食べないとー
スレイ:美味しくないもんなー!
エドナ:むかつくわね。一口よこしなさい
ミクリオ:ああ、分け合うのが仲間だろう
ザビーダ:俺様も十口!
ライラ:みなさん、はしたないですわよ!
スレイ&ロゼ:ライラも食べるー?
ライラ:いただきますわ!
ライラ:はっ!
スレイ:さっきの依頼……受けるのか?
ロゼ:うん。つか、もう受けたし
スレイ:…………
ミクリオ:しかし、いいのか?冷たい言い方だが、あの子たちは悪の片棒を担いでいたんだろう
ロゼ:うん。だからこれは無法の強盗を傭兵が成敗したって事になる
ロゼ:でもあの子たちは仲間と必死に生きようとしてた
ロゼ:悪いことってわかってて、抜け出したいとも思ってた。そこにつけ込まれて裏切られ、殺された
ロゼ:あの子たちは正しくなかったけど……それで裏切ったヤツらが正しいって事にもならないよ
ミクリオ:それは……
スレイ:……ごめん。オレにはわからない
ロゼ:別に責めてるわけじゃないよ。こっちもごめん
ロゼ:それに、他人事じゃないしね
スレイ:ロゼ……?
ロゼ:心配すんなって!当然、背景はしっかり調べるし
ロゼ:憑魔だったら導師の出番だぜ!
スレイ:……わかった
ミクリオ:まずは黒幕を見つける、だな
ロゼ:そういうこと
ロゼ:そだ!あの子たちの世話をするようエギーユたちに繋ぎつけとくね
ロゼ:そだ。あと一個言っとくことあった
ロゼ:ありがとね、スレイ
スレイ:え、なに?
ロゼ:あたしに殺して欲しくないって思ってくれてること
ロゼ:後悔とかしてないけど、心配してくれるのは嬉しいよ
スレイ:ロゼの──風の骨の決意はよくわかった
スレイ:それでも、やっぱりオレの気持ちは変わらないよ
ロゼ:ったく、頑固だなぁ
スレイ:お互い様だろ
ロゼ:敵には回したくないね
スレイ:よかったよ。ロゼがオレの従士で
スレイ:ライラってジイジと知り合いだったのか?
ロゼ:ゼンライってジイジの本名なの?
スレイ:ああ。イズチじゃ誰も呼ばないけど
ライラ:以前、お会いしたことがあるんです。一度だけ
ロゼ:な〜んか意味深な会話してたよね?あれなに?
ライラ:カカオチョコチョコみチョコチョコ!あわせてチョコチョコむチョコチョコ!
スレイ:このパターンか
エドナ:いつから知ってたの?スレイがゼンライの家族だって
ライラ:赤折り紙、青折り紙、黄折り紙!赤折り紙、青折り紙、黄折り紙!
ロゼ:もー!逆に気になるってー!
スレイ:俺は別に。オレたちが困ることをジイジがするわけないし
ミクリオ:こっちがおかしなことをしたら、どれだけ雷を落とされるかわからないけどね
ロゼ:信じてるんだ
スレイ:ああ。ライラと同じくらいね
ミクリオ:今の、僕たちの話じゃないか?
スレイ:みたいだな
ミクリオ:いいのか、聞かなくて?
スレイ:ミクリオ
ミクリオ:……すまない。盗み聞きすることじゃないよな
スレイ:大事なことは、ちゃんと伝えてくれてる。ジイジは
ミクリオ:ああ。それはライラもだ
ミクリオ:スレイ、それって……
スレイ:「私、ゼンライは人間スレイと天族ミクリオの出生の真実を、ここに書き残すものである」
ミクリオ:ジイジの手記か!
スレイ:「スレイとミクリオは、災厄の時代が始まった村カムランの生き残りである」
ジイジ:「ミクリオの母は、先代導師ミケルの妹ミューズ。スレイの母は、カムランの住人セレン」
ジイジ:「私は、カムランを脱出してきたミューズから二人を託された」
ジイジ:「私は、領域によってイズチを閉じ、二人を外界と切り離して養育すると決めた」
ジイジ:「我が力が続く限り、この小さな赤子たちを守ろうと思う。我が家族として」
ロゼ:メーヴィンおじさんが見せてくれた記憶
ザビーダ:ああ、マオ坊が憑魔化した直後のことだな
エドナ:ライラ、あなたがゼンライに会ったのも、この直後なんじゃない?
ロゼ:そっか。ジイジからカムランの事件と、災厄の時代の始まりを知らされた
ミクリオ:それで誓約で浄化の力を手に入れ、導師の出現を待ち続けた……ってことか
ライラ:……お二人の名前までは伺いませんでしたが
ミクリオ:スレイ:他に書いてあることは?
スレイ:「願わくば、時代の仇を背負わされたしまったこの子らに平穏な日々を」
スレイ:「だが、もし──」
ロゼ:スレイ?
スレイ:「──だがもし、この子らが宿命を乗り越えて世界を拓くことを望むのなら」
スレイ:「その意志と未来に、人と天族の加護があらんことを心より願う」
ミクリオ:本当にわかってたんだな、ジイジには
スレイ:ジイジ……
スレイ:これ、ドラゴンの骨か!
ミクリオ:これを調べたら、ドラゴンの存在の核心にもっと迫れるかもしれないな
ロゼ:へぇ〜。二人って手羽先食べててもなんか見つけ出しそう
スレイ:鳥の羽と動物の足の骨って、不思議なほど似てるんだよ。もしかして──
ロゼ:なんか始まったし
エドナ:バカ
ミクリオ:問題は不死身のドラゴンが死んでるってことだ
ライラ:しかも四足種──最強のドラゴンが、です
スレイ:こいつを倒したヤツがいるってことだな
ザビーダ:もしくは「いた」だな
エドナ:…………
ザビーダ:怖かったら手握ろうか?
エドナ:違う。地脈が変なのよ
ザビーダ:おりょ?マジ返しかよ
エドナ:あなた、なにか知ってるんじゃない?
ザビーダ:八天竜の巣「だった」。大昔はな
ザビーダ:けど行くんだろ?ここが何でも、よ
スレイ:ああ……気を抜くなよ、みんな
ロゼ:オッケー!骨になったらスレイに研究されちゃうしね
ロゼ:ドラゴンと戦う事になるなんてね〜
エドナ:同じ構造物が他にもあるわ。きっとまだ居るでしょうね
スレイ:ホントにここはドラゴンの巣なんだな
ミクリオ:捕らえられているように見えたが……
ロゼ:じゃあ、罠だ。ドラゴンホイホイ的な
ミクリオ:しかし、捕獲できるなら倒せるはずだ。生かしてある理由がわからない
ロゼ:うーん……
スレイ:ドラゴンを利用する気だったとか……
ライラ:単にドラゴンを飼っている……なんてことはありませんよね
ロゼ:それだ!飼ってるんだよ
ロゼ:お乳を搾るために、牛を飼う牧場!ここ、牧場に似てる気がする
ザビーダ:ほほう
ミクリオ:ドラゴンを家畜にして、一体何を絞るって──
スレイ「穢れ」か
ライラ:……この遺跡の術は、ひとつに連動しているように見えますわ
ミクリオ:つまり、ここは穢れを取り出す回路……?
スレイ:その仮説、確かめないといけないな
ロゼ:結局、この遺跡はなんだったのかな?
ミクリオ:おそらくドラゴン牧場が正解だ。ドラゴンを利用する天族の文明があったんだ
スレイ:目的はなんだったんだろう?人間との関係は……?
ミクリオ:残念だが、よかったとは思えないね
スレイ:……だよな。生活の痕跡もなかったし
ロゼ:上手くいかないんだね。ドラゴンを捕まえる力があっても
スレイ:どんな時代……どんな人たちがいたのかな……
ザビーダ:そうか。導師殿もミク坊も、遺跡を通して人や天族を見てるんだな
ライラ:お二人は、前からそうでしたわ
エドナ:今頃気付くなんてバカなの?
ザビーダ:そりゃあ失礼しました!
スレイ:いや。オレも昔はちゃんとわかってなかった。旅に出て、たくさんの遺跡を回って実感できたんだ
スレイ:遺跡は、人の営みそのものだって
ミクリオ:それは僕も同じだ
ライラ:無駄ではなかったのですね。この旅は
ロゼ:それ言うの、まだ早くない?
スレイ:ああ。まだ見つけてないもんな
スレイ:オレの夢に繋がる遺跡を
ミクリオ:どこかにあるさ。必ず
エドナ:…………
ライラ:どうかしましたか、エドナさん?
エドナ:地脈が活発化してる
ライラ:えっ!?
ミクリオ:どういうことだ?
エドナ:大地が力を増してるのよ。つまり、それを器とするマオテラスも
ザビーダ:ヘルの野郎も……か
ミクリオ:しかし、なぜ突然?
ライラ:……活発化ではなく、元に戻ったのかも
ライラ:カースランドの発する穢れは時空を歪めるほどでした
エドナ:なるほど。それが大地も歪め、地脈の流れを抑えていたとすれば
ザビーダ:俺たちが、それを止めちまったのが原因か
ライラ:すみません……私が事前に気づいていれば……
ミクリオ:それでもやっただろうね。スレイもロゼも
エドナ:言うじゃない
ミクリオ:強くなったってことさ。僕も
ザビーダ:選んでやったことだ。後悔なんてないよな
ライラ:……そうでしたわね
ライラ:強くなりますわ、私も
ロゼ:マーガレットの手がかり、特にないね
ミクリオ:嫌な話は、そこら中で聞けるが……
スレイ:……もしかして、サインド、マーガレットと知り合いだったんじゃないかな
ライラ:……つまりマーガレットさんは天族と話ができるほどの霊応力があったのではと?
スレイ:ああ。二人は友達だったのかもしれない。けど……
デゼル:何かがあった
スレイ:うん
ミクリオ:……これは是が非にもマーガレットと会って話すべきだ
ロゼ:小さい子がそう遠くまで行けるはずないしさ。明日は街の近くを捜してみよ
宿屋の女将:ぎゃあああっ!
ミクリオ:悲鳴!?
スレイ:外だ!
ロゼ:マーガレットの手がかり、特にないね
ミクリオ:嫌な話は、そこら中で聞けるが……
スレイ:……もしかして、サインド、マーガレットと知り合いだったんじゃないかな
ライラ:……つまりマーガレットさんは天族と話ができるほどの霊応力があったのではと?
スレイ:ああ。二人は友達だったのかもしれない。けど……
ザビーダ:何かがあった
スレイ:うん
ミクリオ:……これは是が非にもマーガレットと会って話すべきだ
ロゼ:小さい子がそう遠くまで行けるはずないしさ。明日は街の近くを捜してみよ
宿屋の女将:ぎゃあああっ!
ミクリオ:悲鳴!?
スレイ:外だ!
スレイ:俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな
ロゼ:見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう
デゼル:……要はそいつや周りの捉え方次第だ
エドナ:それぞれの価値観ってとこね
ライラ:ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります
ミクリオ:それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな
スレイ:導師と人も……だよな
ライラ:大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ
ロゼ:そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし
ロゼ:なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ
ロゼ:イジメた連中が悪い
ライラ:受け入れてくださるのですね、ロゼさん!
ロゼ:てか、あるものはあるんだから、前向きに考えなきゃ損でしょ?
エドナ:いいこと言うじゃなーい。ロゼのクセにー
ロゼ:ぎゃあ!頭の中でしゃべるなってば!
エドナ:いい加減認めなさいよ。天族はこういうものだって
ロゼ:こういうのがキモコワイってのもあたしの価値観!
スレイ:俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな
ロゼ:見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう
デゼル:……要はそいつや周りの捉え方次第だ
エドナ:それぞれの価値観ってとこね
ライラ:ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります
ミクリオ:それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな
スレイ:導師と人も……だよな
ライラ:大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ
ロゼ:そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし
ロゼ:なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ
ロゼ:イジメた連中が悪い
スレイ:俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな
ロゼ:見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう
ザビーダ:力を生かすも殺すも、決めてんのはてめえ自身ってな
エドナ:それぞれの価値観ってとこね
ライラ:ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります
ミクリオ:それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな
スレイ:導師と人も……だよな
ライラ:大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ
ロゼ:そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし
ロゼ:なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ
ロゼ:イジメた連中が悪い
ミクリオ:スレイ、まだ寝ないのか?
スレイ:ああ。ちょっと街をみたくなって
ミクリオ:……静かだから、逆に歴史の重みが感じられるね。アスガード隆盛期から続く古都ならではだ
スレイ:今更だけど思うよ。本で読んでた街にいるんだなって
ミクリオ:古代の旅人なら詩を捧げるところかもしれないな
スレイ:詩か……
スレイ:「ペンドラゴ 夜の景色も いい感じ」
ミクリオ:……スレイ
スレイ:い、今のはアレだけど、練習しなきゃ上手くならないだろ?
(雄叫び)
スレイ:なんだぁっ!?
ライラ:今の声は!?
エドナ:うるわいわよ、ミクリオ
ミクリオ:僕じゃない!
ロゼ:とにかく外だよ!
ミクリオ:なかなかのネ…人物だね、ムルジムは
ロゼ:だよね。見た目はデ……ポッチャリだけど
ライラ:穢れ、祈り、祀られること、加護を与えること……
ライラ:私たち天族も、もっと人との関わり方を考えるべきですわね。ムルジム様のように
スレイ:もちろんオレたち人間も
スレイ:そういう努力の先にあるんだと思う。人と天族が共存する道が
エドナ:けど、そんなムルジムですら憑魔になった。現実は過酷よ
ミクリオ:言い方も過酷だな
ロゼ:現実を見ずに理想を語るな、でしょ?
スレイ:ああ。このペンドラゴにムルジムが対処できないほどの穢れが溢れた。それは忘れちゃいけない
ロゼ:なんかワケがあったのかもだね。穢れがすっごく溢れたのも
ライラ:そう、ですわね
ミクリオ:任せきりにせず、僕らも時々様子を見よう
スレイ:だな
ロゼ:……て、今更だけど、ここお墓だよね?あたし、罰当たるかも!?
ライラ:大丈夫、当たる時はみんな一緒ですわ
エドナ:一等はロゼに譲るから安心なさい
ロゼ:いーらーんー!
ミクリオ:大騒ぎする方が冒涜だよ。遺跡に対して
ロゼ:でた。遺跡バカ2号ミクリオ
エドナ:略してバカ×2ミボね
ミクリオ:略し方おかしいだろ!?
エドナ:声大きい。冒涜よ
ミクリオ:誰のせいだっ!
ロゼ:あ?ミクリオってスレイ絡みじゃなくても結構怒ってるね
スレイ:怒ってるんじゃなくてツッコミだよ。ミクリオのは
デゼル:……お前が言うか?
ミクリオ:今のは真剣に腹が立つね
ロゼ:……て、今更だけど、ここお墓だよね?あたし、罰当たるかも!?
ライラ:大丈夫、当たる時はみんな一緒ですわ
エドナ:一等はロゼに譲るから安心なさい
ロゼ:いーらーんー!
ミクリオ:大騒ぎする方が冒涜だよ。遺跡に対して
ロゼ:でた。遺跡バカ2号ミクリオ
エドナ:略してバカ×2ミボね
ミクリオ:略し方おかしいだろ!?
エドナ:声大きい。冒涜よ
ミクリオ:誰のせいだっ!
ロゼ:あ?ミクリオってスレイ絡みじゃなくても結構怒ってるね
スレイ:怒ってるんじゃなくてツッコミだよ。ミクリオのは
ザビーダ:出たねえ。天然発言
ミクリオ:今のは真剣に腹が立つね
ロゼ:うーん……
ロゼ:やっぱり一度、高値に落ち着いた相場はちょっとやそっとじゃ戻らないな〜
ミクリオ:だが商人たちも冷たいとは思うが、穢れているという訳じゃない
ライラ:ええ
スレイ:加護を戻しても、問題が全部解決するわけじゃないんだよな……
ライラ:加護は人の心を変えるわけではありませんから
スレイ:難しいよな
ライラ:救いはローグリンの人たちに憎しみやあきらめがないことですわ
エドナ:どの道、導師の出る幕じゃないわよ
ロゼ:うん、こっからは商人が工夫するとこ!
エドナ:ノル集め、あきてきたわね
ロゼ:そんなこと言ってホントはノルミン好きなんでしょ?
ロゼ:傘にマスコットつけるくらいだし
ライラ:ロゼさん、マスコットの話は……
エドナ:長くなるんだけど
ロゼ:面白そう!いいよ、じっくり聞こうじゃない
エドナ:……なら教えてあげる。コイツはね──
エドナ:頭を引っ張ると首が伸びるのよ。キリンくらい
ロゼ:長くなるって、そっちかよ!?
エドナ:鼻も伸びるわ。最大、身長の1.5倍
ロゼ:キモッ!すでにノルミンじゃない!
エドナ:そう。こいつは厄除け、験担ぎ、晴天祈願、イワシの頭……そういう類のアレよ
ロゼ:なんかよくわからんけど……了解
ライラ:つまり、特別なお守りなんですよね?
エドナ:……別に。もらったからつけてるだけ
ロゼ:ノルミン、結構集まったね
エドナ:ええ。大分ノルってきたわ
ミクリオ:それにしても、ノルミン天族の能力は便利だな。なのに、なぜ放置されているんだろう?
スレイ:だよな。助けて欲しい天族は大勢いそうなのに
ライラ:昔は引っ張りダコならぬ、引っ張りノルミンで、みなさん大忙しだったんですよ
ロゼ:なのに、なんで今は野良なの?
ライラ:ある時、彼らのリーダー的存在が、過酷な労働条件に反旗を翻したのです
ライラ:ノルミン天族の自主独立と、賃金の大幅アップを要求し、独立闘争を仕掛けてきたのですわ
ミクリオ:ノルミンの反乱!?
スレイ:大きな争いになったのか?
ライラ:いえ……独立を叫んだのはリーダーさんだけで、他のノルミンさんたちは──
ライラ:「お手伝いはかまへんけど、せっせと働くのは三百年にいっぺんくらいで堪忍したって〜」
ライラ:……という形で話がまとまったのです
ロゼ:ぬるいなー。らしいけど
スレイ:で、リーダーはどうなったの?
ライラ:ええっと、それは──
エドナ:ある天族と決闘した挙げ句に敗れ、行方知れずになった……みたい
スレイ:そっか……ノルミン天族にも歴史があるんだな
ロゼ:ライラはともかく、エドナも詳しいんだね。やっぱりノル好きなんじゃ──
エドナ:ただの噂。小耳にはさんだだけよ
ロゼ:ね。みんなが加護を与えたら、どんな感じになるのかな?
ミクリオ:そうだな……僕なら、やはり「学業成就」だろうな
スレイ:ライラは「家内安全」かな?
ライラ:ふふ、そうですわね
デゼル:くだらん
エドナ:ワタシは「無病息災」かしら
ロゼ:へ?意外
エドナ:そうでもないわ。今まで何度も雷に直撃されたり
エドナ:レイフォルクの頂上から転げ落ちたり、土砂崩れに巻き込まれたり
エドナ:タンスの角に足の小指をぶつけたり、ノドに魚の小骨がひっかかったりしたけど
エドナ:こうして無事でいるもの
ロゼ:すげー!一部すごくないけど、大筋すごい!
スレイ:エドナって運がいいんだな
エドナ:不思議なほどにね
エドナ:だから、ドラゴンになったお兄ちゃんの近くにいても死ななかった
スレイ:…………
ロゼ:ね。みんなが加護を与えたら、どんな感じになるのかな?
ミクリオ:そうだな……僕なら、やはり「学業成就」だろうな
スレイ:ライラは「家内安全」かな?
ライラ:ふふ、そうですわね
ザビーダ:俺は「縁結び」かな。もちろん、いい女と俺様の
エドナ:ワタシは「無病息災」かしら
ロゼ:へ?意外
エドナ:そうでもないわ。今まで何度も雷に直撃されたり
エドナ:レイフォルクの頂上から転げ落ちたり、土砂崩れに巻き込まれたり
エドナ:タンスの角に足の小指をぶつけたり、ノドに魚の小骨がひっかかったりしたけど
エドナ:こうして無事でいるもの
ロゼ:すげー!一部すごくないけど、大筋すごい!
スレイ:エドナって運がいいんだな
エドナ:不思議なほどにね
エドナ:だから、ドラゴンになったお兄ちゃんの近くにいても死ななかった
スレイ:…………
ザビーダ:偶然ってわけじゃないかもだがな
エドナ:ちょっとみんな集まって
スレイ:どうしたんだ
エドナ:こんなものを見つけたの
ライラ:手紙ですか?
スレイ:「一筆啓上。盟約の時はきたれり」
スレイ:「汝らの力量を量りたく候。火の試練神殿イグレイン最深部まで来られたし」
スレイ:「逃げても責めはせぬ。うぬらが惰弱と判断するのみ」
ロゼ:なんじゃこりゃ?
スレイ:呼び出しだ。火の試練神殿に来いって
ザビーダ:あからさまにケンカ売ってやがんな
ミクリオ:誰なんだ、相手は?
エドナ:気になるわね。「盟約の時」っていうのが
ザビーダ:珍しいじゃないか。女の勘?
エドナ:……かもね
スレイ:わかった。行ってみよう
ロゼ:エドナは気付いてたんだよね?フェニックスが本物のノルミンだって
エドナ:まあね。フェイントをかけて振り返ると結構な確率で目があったし
エドナ:思いっきり目をそらすのよ、アイツ
ロゼ:こわっ!かなり不気味じゃない、それ?
エドナ:というか、ムカつくわよね。ストーカー的な意味で
ロゼ:ひょっとして、それで逆さ吊りに?
ライラ:フェニックスさんも使命感でしたことですから
エドナ:じゃなかったら、磔にしてたわよ
ザビーダ:そのフェニックスからエドナちゃんへ伝言だぜ
ザビーダ:「エドナ、汝は我から巣立った。飛べ、どこまでも高く」
ザビーダ:だとさ
ロゼ:うわ、上から目線……つか、意味不明?
ライラ:とても情熱的な方なんですよ。ちょっと空気を読まないだけで……
エドナ:確かに前より高く飛べるかもね
エドナ:ちょっとだけ傘が軽いもの
ロゼ:あれ!?エドナの傘にフェニックスがついてる!
エドナ:気にしなくていいわ。今度は本物の人形だから
ライラ:どうされたのですか、それ?
エドナ:フェニックスの置き土産よ。こんな手紙と一緒に
ロゼ:なになに……
ライラ:「この人形は、我が夜なべをしてつくりしものなり。これを身代わりに我がいない寂しさを埋めるがいい」
ライラ:「側におらぬが心配無用。我は不死身。汝の心にフェニックスはいつでも蘇る」
エドナ:まったく、お節介で面倒でくどいヤツよね
ロゼ:でも、つけるんだ?
エドナ:なにもないと傘のバランスが気持ち悪いからよ
エドナ:繊細なのよ。意外に
ライラ:はい
ロゼ:繊細だね
ミクリオ:スレイ、マルトランが逆って──
エドナ:鈍いわね、ニブミボ
ミクリオ:アリーシャとだって今言おうとしてた
エドナ:しかも言いにくい。いい加減にしなさい。ミブニボ
ミクリオ:話を聞いてくれ……
スレイ:対照的なのが悪いわけじゃないけど
ライラ:きっかけや境遇は異なっても目指したものが同じだったのでしょう
ミクリオ:自ら望んで王族の責務を果たそうとし、思うようにいっていないアリーシャと
ミクリオ:強いられ、望んでもいない騎士となり功績を挙げ尊敬を集めているマルトラン、か
スレイ:うまくいかないこともあるだろうな
エドナ:そう感じているかもね。その二人も
スレイ:マルトランってローランスにもその名が響いてるんだな
ロゼ:そんだけの武功を立ててるって事
ロゼ:何よりあの人目立つじゃない?
スレイ:まぁね
エドナ:師弟共々目立ちすぎ
スレイ:あはは。あの二人似てるからなぁ
スレイ:え?アリーシャとマルトランが?
ミクリオ:僕たちは真逆だと感じていたが……
ロゼ:ええ〜?
ロゼ:二人とも王宮でちょくちょく見たけどさ
ロゼ:なんていうか……どっちも余裕ないっていうか、必死すぎっていうか
スレイ:確かに……
ロゼ:でしょ?師弟だって知って納得ってかんじ
エドナ:可愛さあまって憎さ100倍
スレイ:え?なんで?
エドナ:頭によぎっただけ。理由なんてないわ
スレイ:……
ミクリオ:マルトランが憑魔化した味方に襲われていた……戦功が嫉妬されたのか?
ライラ:人は敵以上に秀でた味方を憎悪するものですわ
ロゼ:戦争で仕官が命を落とす理由のひとつだね
ミクリオ:たまったものじゃないな
エドナ:けど、マルトランって生きているのよね?
スレイ:何があったんだろう……
ミクリオ:マルトランが憑魔化した味方に襲われていた……戦功が嫉妬されたのか?
ライラ:人は敵以上に秀でた味方を憎悪するものですわ
ロゼ:戦争で仕官が命を落とす理由のひとつだね
ミクリオ:たまったものじゃないな
エドナ:けど、マルトランって生きているのよね?
スレイ:何があったんだろう……
ミクリオ:その時にマルトランは憑魔になったのかもしれないな
ロゼ:前から憑魔だったってのも考えられるよね
ロゼ:あの人が穢れたワケもわかんないし、力も普通じゃないし
ライラ:確かに……マルトランさんの放った強い穢れが、周囲の穢れを強め、
ライラ:兵士達を憑魔とさせたのかもしれません
エドナ:「タマゴが先かニワトリが先か」考えても無駄よ
スレイ:どっちにしろ、アリーシャに出会った時、あの人はもう憑魔だったんだよな……
ライラ:……辛いことですね。アリーシャさんにとって
ロゼ:も〜!みんなネガティブすぎ!
ロゼ:そんな憑魔の近くにいて穢れなかったアリー者はすごいってことだよね!
スレイ:うん。前向きに考えないと、だよな
ロゼ:そうそ。タマゴでもニワトリでもどっちも美味しく食べられるんだから!
スレイ:それは……前向きなのかわかんないけど
ロゼ:スレイ。枢機卿の事想い出してたっしょ
スレイ:……一瞬だけ
ロゼ:迷っちゃうなら、どっかの宿で待ってれば?あたし、片付けとくし
スレイ:何言ってんだ。ロゼだけじゃ浄化できないだろ
ロゼ:けど、殺れる
スレイ:そんなの……!
ロゼ:スレイ、迷ってたらその隙につけ込まれちゃう
ロゼ:敵を気遣ったせいで仲間が傷つくなんて絶対イヤ
スレイ:……うまりオレは邪魔だって言うのか
ロゼ:そ
ミクリオ:待ってくれ、ロゼ。スレイは!
ライラ:ミクリオさん、ここは
スレイ:……もう迷わないから
ロゼ:別に迷うなって言ってんじゃないけど
ロゼ:やるってんならしっかりやろ
スレイ:ああ
ミクリオ:……なんだよ。気を遣った僕がバカみたいじゃないか
ライラ:ふふ、そんなことはありませんわ
エドナ:「みたい」じゃないってことよね
ミクリオ&ライラ:違うだろ!&違いますよ!
ロゼ:スレイ。枢機卿の事想い出してたっしょ
スレイ:……一瞬だけ
ロゼ:迷っちゃうなら、どっかの宿で待ってれば?あたし、片付けとくし
スレイ:何言ってんだ。ロゼだけじゃ浄化できないだろ
ロゼ:けど、殺れる
スレイ:そんなの……!
ロゼ:スレイ、迷ってたらその隙につけ込まれちゃう
ロゼ:ザビーダも言ってるでしょ
ロゼ:敵を気遣ったせいで仲間が傷つくなんて絶対イヤ
スレイ:……うまりオレは邪魔だって言うのか
ロゼ:そ
ミクリオ:待ってくれ、ロゼ。スレイは!
ライラ:ミクリオさん、ここは
スレイ:……もう迷わないから
ロゼ:別に迷うなって言ってんじゃないけど
ロゼ:やるってんならしっかりやろ
スレイ:ああ
ミクリオ:……なんだよ。気を遣った僕がバカみたいじゃないか
ライラ:ふふ、そんなことはありませんわ
エドナ:「みたい」じゃないってことよね
ミクリオ&ライラ:違うだろ!&違いますよ!
スレイ:まさかメデューサ種の正体って……
エドナ:どっちも枢機卿の姉なのかもね
スレイ:あるのか?そんな偶然が
ロゼ:本人に聞いてみるしかないよね。ホントのことは
ミクリオ:どうやって?
ロゼ:それは……故郷に帰ってる気がする
ミクリオ:それも勘か?
ロゼ:ま、ね。そういうものだよ、人間って
ミクリオ:……まあ、心理的には可能性はあるが
ザビーダ:くくく、一理の半分くらいはありそうだ
スレイ:それにロゼの勘って当たるしな
ライラ:ですが、今は無理ですわ。グレイブガント盆地は閉鎖されていますから
スレイ:機会を待つしかないか……
スレイ:まさかメデューサ種の正体って……
エドナ:どっちも枢機卿の姉なのかもね
スレイ:あるのか?そんな偶然が
ロゼ:本人に聞いてみるしかないよね。ホントのことは
ミクリオ:どうやって?
ロゼ:それは……故郷に帰ってる気がする
ミクリオ:それも勘か?
ロゼ:ま、ね。そういうものだよ、人間って
ミクリオ:……まあ、心理的には可能性はあるが
ザビーダ:くくく、一理の半分くらいはありそうだ
スレイ:それにロゼの勘って当たるしな
ライラ:場所はグレイブガント盆地の奥でしたね。行ってみてはどうでしょう?
スレイ:そうだな
スレイ:やりきれないな。枢機卿たちは、どう生きても憑魔になるか死ぬしかない運命だったのか?
スレイ:それは……
ライラ:運命というものは確かに存在します
ライラ:ですが、すべてが決まっているなんて思いたくありませんわ
ロゼ:運命とかって考えた事ないなぁ
ロゼ:みんな白と黒のギリギリで生きてる。どう転ぶかなんてわかんない
ロゼ:あの姉妹達はみんな黒の方に進んだ。だから憑魔になった。そんだけでしょ
スレイ:白か黒かは自分で選べる?
ロゼ:当然でしょ?自分の人生だよ?
ライラ:スレイさん
スレイ:ああ。ロゼの言う通りだな
デゼル:ふん。しょうもないヤツらだったな。レディレイクのガキども
スレイ:……社会に爪弾きにされた子どもは犯罪でもしないと生きていけないのかな……
ライラ:本当に……悲しい時代ですわ
デゼル:ざけんじゃねぇ
デゼル:罪を犯してまでも前に進もうとしてるヤツは罪を背負う覚悟で進む。影を胸に落として顔を上げる
デゼル:あのガキどもはそうじゃねぇ。ただ堕落しただけだ
ロゼ:そんな話しながらこっちみんな!
スレイ:ロゼ……そこまで考えてたんだな……
ロゼ:あたしはそんな、頭使ってないから!もうこの話はやめ!
ミクリオ:天然だというのか……すごいな……
ライラ:はい。どんな境遇であろうと生き方とそれに伴う責任は本人が決める事……
ライラ:それを事前に理解しているロゼさん……本当にすごいですわ
ロゼ:ああもう!何これこの流れ!
ミクリオ:あの子たちも突き放された事でとらなきゃならない責任に気付いたんじゃないか
ミクリオ:スレイ、ロゼ、君たちのおかげでね
スレイ:……そうだといいな
ロゼ:うん
エドナ:……そんな簡単なら災厄の時代はとっくに終わってるけどね
ライラ:……
ザビーダ:しっかし、あのレディレイクのガキども、ぶっ飛んでたな。最近はみんなああなのかねぇ
スレイ:……社会に爪弾きにされた子どもは犯罪でもしないと生きていけないのかな……
ライラ:本当に……悲しい時代ですわ
ザビーダ:関係ねぇだろ
ザビーダ:あのガキどもは泥すすってでも生きてるヤツの気合いに砂かけてるようなもんだ
ザビーダ:ただぬすいだけだっての。なぁ?
ロゼ:そんな話しながらこっちみんな!
スレイ:ロゼ……そこまで考えてたんだな……
ロゼ:あたしはそんな、頭使ってないから!もうこの話はやめ!
ミクリオ:天然だというのか……すごいな……
ライラ:はい。どんな境遇であろうと生き方とそれに伴う責任は本人が決める事……
ライラ:それを事前に理解しているロゼさん……本当にすごいですわ
ロゼ:ああもう!何これこの流れ!
ミクリオ:あの子たちも突き放された事でとらなきゃならない責任に気付いたんじゃないか
ミクリオ:スレイ、ロゼ、君たちのおかげでね
スレイ:……そうだといいな
ロゼ:うん
エドナ:……そんな簡単なら災厄の時代はとっくに終わってるけどね
ライラ:……
ロゼ:うーん……
エドナ:明日は雨ね
ロゼ:え?なんで?
エドナ:あなたが頭使おうとしてるから
ミクリオ:慣れないことを無理にしなくていい、ロゼ
ロゼ:あんたら、あたしをなんだと思ってんだ!
ライラ:ふふふ
スレイ:で、何うなってたんだ?ロゼ?
ロゼ:んとね、まさにボス!って強い憑魔もいっぱい倒したじゃない?
ロゼ:けど、なんかさ、足りないんだ
ライラ:もっと強くなりたいと?
ロゼ:正確には……決め手かな
スレイ:そんなのなくても、ロゼは十分強いじゃないか
ザビーダ:くく、戦いに生きたヤツにしかわからねぇかもな
ザビーダ:やるべき事のために強さの確信が欲しいって気持ち
スレイ:やるべき事のため……
ミクリオ:強さの確信、か
ライラ:……
ライラ:ロゼさん……強さを求める心は穢れを生む事もあります
ロゼ:!
ロゼ:……
ミクリオ:ロゼ、さっきも言ったとおり、君は慣れない事はしなくてもいい
ミクリオ:ティンタジェルで君は僕の言葉に耳を傾け、そして自ら何かを感じ、答えを出したじゃないか
ミクリオ:君は考えるより感じろだ。そうだろう?
ザビーダ:へぇ。ミク坊にしちゃ粋なアドバイスだな
ザビーダ:俺様もそれに一票
スレイ:こんな時には初心に返れ、だな
ミクリオ:いいんじゃないか?僕らが初めて会ったのはレディレイクだな
スレイ:ライラとも出会う前だったな
エドナ:そうだったの。手が早いのね
ロゼ:それもいいね……みんな、ありがと!
ライラ:ああ……私はホントに……
ロゼ:ライラも。心配してくれてありがと
ライラ:ロゼさん……
ザビーダ:気苦労の種が芽吹いて綺麗な花が咲きましたってか
エドナ:ロゼの超必殺技の件?
エドナ:心配性の虫がその花を食い散らすところだったじゃない
ライラ:はい……私の老婆心で事を難しくしてしまいました
ライラ:反省ですわ……
ザビーダ:はっはっは。ライラ先生はたまにやらかすところが魅力なんだろ
ライラ:ううう……
エドナ:ザビーダ先生はもうちょっとやらかさないようにして欲しいんだけど?
ザビーダ:たは〜!エドナ先生にいわれちまうとは!
エドナ:どうなの?ミクリオ先生?
ミクリオ:なんなんだ、これは……僕は先生じゃない
ライラ:ミクリオ先生は最初にロゼさんを見出した時点で大金星ですわ
ミクリオ:あれはロゼが自分で決めたんだ。今回のこともね。それと、僕は先生じゃない
ライラ:ですが先生……
ミクリオ:先生じゃないって言ってるだろう!
ライラ:エドナ先生〜……ミクリオ先生が反抗期ですわ〜
エドナ:生意気ね。ミクリオ先生のくせに
ザビーダ:んん。いかんぞ。ミクリオ先生
ミクリオ:……ライラの心配はもっともだった。あの時ライラが問題提起してくれて良かったと思う
ミクリオ:君たちほどの経験がない僕らは本当に君たちに助けられているんだから
ライラ:ミクリオ先生!
ザビーダ:ミクリオ先生が治った!
エドナ:生意気ね。ミクリオ先生
ミクリオ:まじめに返しても断ち切れなかったか……
スレイ:んん……?
スレイ:あれ……ライラ?
ロゼ:どうかした?
スレイ:あ、起こしちゃったか。ごめん
ロゼ:で?
スレイ:ライラが居ないみたいなんだ
スレイ:何かあったのかな……
ロゼ:ふむ……
ロゼ:別に気にしなくていいと思うよ
スレイ:けど……
ロゼ:ライラにだって見られたくない姿もあるよ、きっと
スレイ:……
スレイ:これまで苦しかった時もライラは一人で……?
ロゼ:そうだったんじゃないかな
スレイ:気付かなかったなんて……
ロゼ:気付かせないようにしてたんだよ
ロゼ:ひとりにさせたげなって
ライラ:あら、もう起きたんですの?二人とも
スレイ:あ、ライラ、大丈夫?
ライラ:はい?
ロゼ:気付いたら居ないんで心配したって
ライラ:まぁ。少し散歩していたんですの
ライラ:心配かけてごめんなさい
スレイ:謝るようなことじゃないよ
ロゼ:……ちょっと二人とも。不器用過ぎて見てらんない
スレイ:え?
ロゼ:スレイ、ライラは子どもじゃないんだよ?
ロゼ:ライラにとって仲間って何なのかな?
ライラ:!
ロゼ:いっぺん初心に戻ってみたら?この街から始まったんでしょ?
ロゼ:想い出の場所に行ってみるとかさ
ライラ:……
ミクリオ:ふむ……
ザビーダ:くくく
エドナ:世話の焼ける……
スレイ:それにしてもキレイだよな、瞳石って
ミクリオ:けど、キレイすぎるんだ
ミクリオ:だから、大半の人間はガラスかなにかの加工品だと思っているようだね
スレイ:なるほどな。実際はなんなんだろう?
エドナ:自然の鉱物じゃないわね
ミクリオ:おそらく、複数の天響術を掛け合わせて生成したんだろう
ミクリオ:その上、過去を見せる仕掛けが組み込まれているなんて、信じられない代物だな
スレイ:好きな過去を自由に見れたらいいのにな。1000年くらいの歴史を全部見てみたいよ
ミクリオ:見るだけで1000年かかるぞ。長生きしないとな
スレイ:あ、そうか!
ライラ:天族でも、さすがに無理でしょうね
ミクリオ:瞳石で遺跡も、過去の断片にすぎないよ。そこから読み取ったものが重要なんだ
ミクリオ:「歴史とは、僕らが心に築く建築物なのだから」
スレイ:ミクリオ!いいこと言った!
ミクリオ:だろ?いつか本を書いた時、使おうと思ってるんだ
エドナ:そんな野望があったのね
ミクリオ:いや、僕らの旅を後世に伝えないのはもったいないだろう?
ライラ:私も読んで見たいですわ、ミクリオさんの本
ミクリオ:進呈するよ。サイン付きでね
スレイ:くそ〜、オレも考えないと!いいセリフとサイン!
ミクリオ:…………
スレイ:特訓か?ミクリオ
ミクリオ:特訓?なんのことだ?
スレイ:そっか
スレイ:にしても長い旅になったよな。出発の時は思いもしなかった
ミクリオ:覚えてるか?イズチを出た時のこと
スレイ:忘れるわけないだろ。あんなに輝いてた世界をさ
ミクリオ:今は……どう見えるだろう?
スレイ:どうだろうなあ……
ミクリオ:見てみないか?イズチに行って
スレイ:……そうだな。行ってみるか
スレイ&ロゼ:すぅすぅ
ライラ:……
ミクリオ:微笑ましく眺めてるって顔じゃないね
ライラ:……見つけた答えを信じると頑張ってるお二人が、無理をなさってないかと
ザビーダ:アイゼンの事か
ライラ:……はい
ザビーダ:無理してるに決まってるだろ
ザビーダ:いくら自分で決めたからってホントは嫌な事だったんだ
ミクリオ:……そうだな
ザビーダ:けどま、しょうがねぇ。決めちまったのも事実だ
ライラ:ザビーダさん……
ミクリオ:ザビーダ……君も……
ザビーダ:ふぅ
ザビーダ:導師様ご一行、俺様は大したもんだと思ってんぜ?
ザビーダ:嫌な事だからって逃げずにちゃんと応えたんだからな
ミクリオ:ザビーダ……
ザビーダ:ったく……言わせんなって、こんな事
ライラ:そうですね……そうでした
ザビーダ:そうゆうこと
ミクリオ:どういうことだ?
エドナ:わからないの?ミボ。まだまだ子どもね
ミクリオ:エドナ!?
ライラ:ミクリオさん、心配するのではなくて──ムググ!
エドナ:しゃべりすぎ
ザビーダ:これ宿題な、ミク坊
ミクリオ:何がなんだか……
ライラ:ふふ。ミクリオさんはずっと前に気付いているはずですわ
ミクリオ:?これがさぱらんということか……
スレイ:さっきのザビーダ、ちょっと変だったよな?
ロゼ:なんか隠してるような気がしたね
スレイ:……けど、オレたちを仲間って言ってくれた
ロゼ:うん。あたしもそう思ってる
スレイ:もちろんオレもだ
ロゼ:じゃあ、聞かなくても大丈夫だよ。必要なことなら、きっと話してくれると思うし
スレイ:そうだよな
ロゼ:安心されましたか、導師殿?
スレイ:ごめん。つきあわせちゃって
ロゼ:いいてことよ!
ロゼ:お代は安くしておくから
スレイ:ええっ!・お金取るの!
スレイ:加護は回復できたけど、村長さんは……
ミクリオ:原因は赤精鉱を加工する時の毒素か
ライラ:おそらく。あの方はすべてわかってやったのでしょう
エドナ:むしろ罰を望んでるのかもね
ロゼ:罪を犯したから……か
ロゼ:それが本当なら、風の骨の出番はないね
ライラ:これがあの方の出した答えなのでしょう
ライラ:冷たいようですが、これ以上は私たちが関わることではないと思いますわ
ミクリオ:それでも教会には腹が立つな。天族を祀るなんて聞いて呆れる
エドナ:あのマルフォってのが仕組んだならやるわね。脇役顔のくせに
スレイ:けど、穢れは放ってなかった。どういう人間なんだろう?
ロゼ:気になるよね。アイツのことは風の骨で調べてみるよ
よし、一通り鎮まったな
ロゼ:お疲れ!
ミクリオ:祓えたな
スレイ:なんとか
ライラ:申し訳ありません。スレイさん独りに任せてしまって
ロゼ:そうそう、大変だったんだよ。ライラ、ずっと折り紙の花で売らないしてて
ミクリオ「スレイさんは負けない、スレイさんは勝つ、スレイさんは負けない……」ってね
エドナ:ちぎった紙が山になるほどよ。ミボに掃除させたけど
ライラ:もちろん信じていましたわ。ですが……
スレイ:心配かけちゃったね。ありがとう、ライラ
ライラ:いいんです。占い、当たりましたから
スレイ:やったな、ミクリオ
ミクリオ:まあ、こんなものだろう。予想通りだったよ
エドナ:そうね。ワタシが出るまでもない。我が僕、ミボで十分だったわ
ミクリオ:苦労して戦ったのにそれか?
エドナ:苦労したの?したのね?悪かったわ。非力なミボに無理させちゃって
エドナ:下僕の仇はワタシが討つから、安らかに眠れ
ミクリオ:まったく、ああ言えばこう言う……
エドナ:こう言うー
ミクリオ:言わなくていい!
ロゼ:遊ばれてるってわかってるのにつきあうんだよねえ。ミクリオって
スレイ:そりゃあ、こんなところまでつきあってくれるヤツだから
ロゼ:……そっか。超納得
エドナ:ミクリオガンバッター
ミクリオ:誉めるな!って、あれ……?
ライラ:とりあえずここは鎮まったようですね
スレイ:怪我は無い?ライラ
ライラ:はい。大丈夫です
エドナ:むしろ見てるこっちが火傷したわ
ライラ:すみません。降りかかる火の粉を払ったつもりが火の粉を放ってしまって
エドナ:しまった……上手いこと言う踏み台に
デゼル:「払う」と「祓う」もかかっているのか!?
ライラ:ふふ、気付いていただけました?
デゼル:くっ、俺につっこませるとは……
スレイ:ははは!やっぱライラはすごいな!
ミクリオ&ロゼ:いろいろな意味でね
ライラ:とりあえずここは鎮まったようですね
スレイ:怪我は無い?ライラ
ライラ:はい。大丈夫です
エドナ:むしろ見てるこっちが火傷したわ
ライラ:すみません。降りかかる火の粉を払ったつもりが火の粉を放ってしまって
エドナ:しまった……上手いこと言う踏み台に
ザビーダ:ライラの火の舞、俺のハートにも火をつけちまったぜ
ライラ:それはショウカ薬を飲んだ方がいいですわね
ザビーダ:ショウカ?って、俺も踏み台に!?
スレイ:ははは!やっぱライラはすごいな!
ミクリオ&ロゼ:いろいろな意味でね
ロゼ:ほい、一丁上がり!
デゼル:戻ったか
ロゼ:ただいま。心配した?
デゼル:必要ない
ロゼ:冷たっ!ちょっとくらい心配しろよー
デゼル:お前の力量も、敵の力量もちゃんと見切っているということだ
ロゼ:ふ〜ん……
ロゼ:見切った実力通りか、試してみる?
デゼル:おい、待て!なんでそうなる!?
ロゼ:……あはは!だよねえ〜!ゴメン、勝負スイッチ入ってた
ロゼ:スイッチオフと
デゼル:まったく。いつまでたっても読めんヤツだ
ロゼ:笑うなって〜
ロゼ:ま、いつも無愛想すぎるからたまにはいいけど
デゼル:ふっ、どっちだよ?
ロゼ:ほい、一丁上がり!
ザビーダ:すがの腕だな。ほれぼれしたぜ
ロゼ:そう?見物料100ガルド
ザビーダ:金取るのかー?なら、もっとサービスしてくれよ〜
ロゼ:んじゃ、いいや
ロゼ:油断してヘマしたら怒られるし
ザビーダ:……守られた命だもんな
ロゼ:過去形じゃないって
ザビーダ:ほれぼれするねえ、ほんと
エドナ:ザコは蟲毒ってもザコよね
エドナ:おととい来なさい。明後日死になさい
デゼル:意味がわからん
エドナ:先週になったら教えてあげるわ
デゼル:……ふざけてることはわかった
スレイ:はは、いくらザコでも一人で大変だったろ?
スレイ:お疲れ、エドナ
エドナ:……別に。ザコなんか大変じゃないし
エドナ:けど……明日も気遣いなさい
スレイ:あ、うん
エドナ:ザコは蟲毒ってもザコよね
エドナ:おととい来なさい。明後日死になさい
ザビーダ:つーことは、年末には爆発だな
エドナ:なにを言ってるかわからない
ザビーダ:ひでえっ!
スレイ:はは、いくらザコでも一人で大変だったろ?
スレイ:お疲れ、エドナ
エドナ:……別に。ザコなんか大変じゃないし
エドナ:けど……明日も気遣いなさい
スレイ:あ、うん
スレイ:ふう……
ロゼ:手強くなってるよね。憑魔たち
スレイ:そもそも強い憑魔を生むための場所だしな
ミクリオ:ライラ:穢れの坩堝は全部でいくつあるんだ?
ライラ:確認されただけで七つ。おそらくまだ未発見のものも……
ロゼ:全部、蟲毒全開?
ライラ:わかりません。護法天族ゴウフウ様が封じているはずなのですが
ザビーダ:ゴウフウ……五大神ハヤヒノに直属する野郎だったな
ミクリオ:そいつは、もうヘルダルフに倒されたとみるべきだろうな
ライラ:ですね……
ザビーダ:やられただけならいい。だが、穢れの坩堝に落とされてたら──
エドナ:ドラゴンになった
ザビーダ:かもって話だが……ヘルの野郎だからな
ロゼ:はあ〜……終わったあ……
スレイ:手強かったな
ロゼ:ぞっとするよ。こんなのが外に出たらって思うと
ロゼ:ったく、どこのどいつだよ!こんなもんつくったの!
スレイ:……天族だろうな
ロゼ:うっそ!天族が穢れを増やしてたってこと?なんで?
スレイ:理由までは。けど、ここには強い天響術が使われてる
スレイ:そういう時代があったって考えるしかない
ロゼ:……反対だね。スレイが知りたい世界とは
スレイ:ああ。でも認めなきゃいけないと思う
スレイ:現実を見ないで理想を言っても仕方ないし
ロゼ:ふうん……
ロゼ:ここってさ。スレイも強くしたよね
スレイ:そうかな?
ロゼ:そうだよ
ロゼ:けど、あたしも腕上げてるから。調子にのんなよ!
スレイ:ええっ!?なぜか怒られた!
ザビーダ:よっし!俺様の出番だな!
ミクリオ:スレイ、この島の穢れは普通じゃない。さらにその坩堝となると……
スレイ:ああ。しかも一人じゃ……
スレイ:退こうザビーダ。危険すぎる
ザビーダ:放置すんのはかまわねぇぜ。だが……
ザビーダ:危ないからってのは黙ってられねえな。俺が負けると思ってんのか?
ミクリオ:ザビーダ、スレイは君を心配して──
ザビーダ:同じことだぜ
ザビーダ:肝心なのはそこじゃねえだろ、導師様よ!
スレイ:…………
ライラ:スレイさん
エドナ:行かせてあげれば?
ロゼ:やる気なんだよ、ザビーダは
ザビーダ:女性陣のが腹がすわってんぜ?
スレイ:……わかった
スレイ:任せるぞ、ザビーダ
ザビーダ:おうよ。任された
ザビーダ:いや〜まいった!思ったより全然手強いでやんの!
ザビーダ:死ぬかと思ったぜ……
エドナ:自業自得
ライラ:身から出た錆ですわね
ミクリオ:だから言ったのに
ロゼ:いいじゃん。結果オーライ!
ザビーダ:はっは〜!ひでえ言われようだ
スレイ:お疲れ、ザビーダ
ザビーダ:そっちもな。任せんのも楽じゃねえだろ?
スレイ:ああ。けど、それがオレの役目だ
ザビーダ:そういうこと。まあ、心配するな
ザビーダ:失望はさせねぇからよ
ロゼ:メーヴィンおじさんには難しい事情があったんだね
スレイ:ああ。特別な宿命を背負ってたんだな
ロゼ:それでも……おじさんはいつもセキレイの羽を手伝ってくれたよ
スレイ:オレには探検家の心得を教えてくれた
ロゼ:とにかく世界中を飛び回ってて
スレイ:オレたちに道を示してくれた
ロゼ:うん!それがメーヴィンおじさんだよね
ロゼ:どんな事情や宿命があっても──
スレイ:メーヴィンはメーヴィンだ
ロゼ:スレイがスレイなように、ね!
スレイ:ロゼがロゼなように、だよ
ロゼ:マネすんなよー
スレイ:そっちこそ
スレイ:……ライラ、死してなお穢れに囚われた者ってどういう意味なんだ?
ライラ:人も天族も……いえ、すべての生命の本質はその体に宿る「魂」にあります
ライラ:ファントムはその魂自体が穢れ、憑魔化してしまったものです
ミクリオ:待ってくれ。つまり……
スレイ:浄化しても元の人間に戻らないってことか
ライラ:はい。すでに死んでいるのですから
スレイ:…………
ライラ:ですが、祓わなければ魂は穢れに侵されたまま永遠にさまよい続けることになります
ミクリオ:憑魔として人を襲いながら、か
スレイ:彼らを救う方法なんだね?浄化は
ライラ:はい
スレイ:わかった。だったらオレは──
スレイ:ライラ……なんか妙なテンションになってたよね?
ライラ:すみません。丸まり方には、ちょっとこだわりがありまして
ミクリオ:丸まり方……?
ライラ:はい。以前アルマジロ天族にお世話になった時、その素晴らしさに気付いてしまったんですの
ライラ:今の憑魔は素人レベルでガッカリでしたけど
ミクリオ:アルマジロ天族!?
スレイ:ちょっとなに言ってるかわからないんだけど……
ライラ:アルマジロ天族のアルマ太郎さんとアルマ次郎さんですわ
ライラ:丸まり選手権三連覇で「レジェンド」と呼ばれた、あの
ミクリオ:「あの」って言われても!?
スレイ:かなりなに言ってるかわからない!
ライラ:尊敬するお二人から、修行の旅に出ているアルマ次郎さんこそ「最強の丸まリスト」とうかがって
ライラ:いつか、その丸まり方を見るのが夢なんです
スレイ:ミクリオ……つっこんだ方がいいのか……?
ミクリオ:関わらない方がいい。僕のつっこみ勘がそう言っている
スレイ:だよな
ライラ:アルマ次郎さん……あなたは今どこに……
ライラ:この程度で丸まリストを名乗るとは片腹いたいですわ!
ロゼ:へ?どうしちゃったの、ライラ?
スレイ:それが……丸まるものに妙なこだわりがあるみたいなんだ
ライラ:丸まりが目指すのは完全なる円……つまり自然の法則の体現なのです
ライラ:つまり!いい加減な丸まりは自然への侮辱ですわ
ロゼ:あー、なんとなくわかる。なんかかわいいよね。巻き貝とか
ライラ:ロゼさん!
ミクリオ:よせ!下手に触ると火傷するぞ
ライラ:さすがわかってますわね♪
スレイ:今のはアリなの!?
ライラ:特にサザエの身のクルン!って丸さは哲学的ですわよね
ロゼ:うんうん!あとブタの丸焼きとか、丸儲けとかも好きだなあ
ライラ:嬉しいですわ!二人で丸まリストのグループをつくりましょう
ライラ:名づけて「丸まりサークル」!
ロゼ:サークルとマルがかかってる!その名前「花マル」!
スレイ:ロゼまで……
ミクリオ:よりややこしいことになったな……
ロゼ:残念だったね……アルマ次郎さんじゃなくて
ライラ:仕方ありませんわ。世の中は、そう丸くおさまるものではありませんから
ライラ:でも、丸まりを求め続けていればいつか出会える。私はそう信じています
ライラ:だって「円」は「縁」なんですもの
ロゼ:あたしもそう思うよ!
スレイ:なんか……いい話のような気がしてきた
ミクリオ:僕もだ
エドナ:……バカね。ライラのおふざけに丸め込まれちゃって
ザビーダ:ふう……ドラゴン程じゃねぇがなかなか手強かったな
ロゼ:ドラゴン……
スレイ:どうかした?
ロゼ:うん。今の憑魔、あたしたちを怨んでるみたいだったなって
スレイ:そうかな?
ロゼ:なんとなくだけどね
スレイ:そうかな……?
ザビーダ:憑魔なんてそんなもんだろ。今頃、浄化されてどっかでスッキリしてるって
スレイ:……そうだといいけど
スレイ:ミスリルの武器か……すごい力を感じる
ロゼ:もったいない気もするけどね。輝光銀、売ったら超お高いし
スレイ:いや。これはいい力だよ
ザビーダ:そうそう、武器は男のロマンだ。やっぱ導師様も男の子だねえ
スレイ:ロマン……かな?
ザビーダ:違ったか?じゃ、どういう意味で言ったん?
スレイ:これは世界中を回ったおかげで手に入ったものだろ
スレイ:だから、オレたちの旅の答えのひとつかなって
ロゼ:ああ、そういう意味か
ザビーダ:あちゃ〜……やっぱ優等生だねえ、スレイは
ロゼ:けど、ザビーダみたいだったらつくってくれなかったと思うよ。ミスリル装備
ザビーダ:ごもっともで
番号 | チャット名 | 発生地 | 詳細 |
---|---|---|---|
001 | かめにんとは! | レディレイク | かめにんに初めて会った後に宿屋に泊まる |
002 | 壁の花 | マーリンド | マーリンド初訪問時に宿屋に泊まる |
003 | アリーシャの真名 | レディレイク | アリーシャが従士になってから宿屋に泊まる |
004 | 地の主と加護 | 〃 | レディレイクに地の主が復活してから宿屋に泊まる |
005 | 黒水晶の鎧 | レディレイク | ラウドテブル王宮から脱出後に宿屋に泊まる |
006 | ノルミンとスキルの意外な関係 | マーリンド | ダムノニア美術館でナイトアーサー撃破後に宿屋に泊まる |
007 | ロゼの真名 | ラストンベル | 初訪問時の東門前のセーブポイント |
008 | エドナのブーツ | ラストンベル | ラストンベル初訪問時に宿屋に泊まる |
009 | ライラのお礼 | 〃 | 〃 |
010 | 苦言するデゼル | 凱旋草海 | 初めて凱旋草海に出たとき、ラストンベル入口のセーブポイント |
011 | グリンウッドの民話 | ペンドラゴ | ペンドラゴに初訪問時宿屋で泊まる |
012 | わんわんのワン | ラストンベル | セルゲイと公園で話した後に東門前のセーブポイント |
013 | サラサラストレート | 〃 | セルゲイと公園で話した後にラストンベルの宿屋に泊まる |
014 | エドナさんの傘 | 〃 | セルゲイと公園で話した後に東門前のセーブポイント |
015 | 遅れてせまりくるアイツ | ゴドジン | 試練神殿イグレイン入り口のセーブポイント |
016 | わんわんのニャン | 〃 | 火の試練神殿クリア後に村長と話した後の宿屋セーブポイント |
017 | ロゼの新ビジネス | ペンドラゴ | 火の試練クリア後、ペンドラゴで宿屋に泊まる |
018 | 復讐者デゼル | 〃 | 宿屋でメーヴィンと会った後に宿屋に泊まる |
019 | 風の決意 | 〃 | 〃 |
020 | 一石何鳥? | 〃 | 〃 |
021 | 天族への転生 | どこでも | 地の試練神殿クリア後に宿屋 |
022 | どんつく | 風の試練神殿ギネヴィア | 風の試練クリア後の内部セーブポイント |
023 | 偉業だよね | どこでも | 異形の宝珠を18個入手? |
024 | ザビーダの流儀 | ペンドラゴ | ザビーダ加入後に宿屋に泊まる |
025 | 天族の見守り | 〃 | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
026 | ライラの花占い | 〃 | ザビーダ加入後に宿屋に泊まる |
027 | それぞれの誓約 | 〃 | 〃 |
028 | スレイの覚悟、ロゼの覚悟 | ローグリン(どこでも?) | 最後の戦いに向けラストンベル出発後に宿屋に泊まる |
029 | しりとりんぐ | どこでも | アルトリウスの玉座に入った後に宿屋に泊まる |
030 | それは真っ白い紙のように | アルトリウスノ玉座 | アルトリウスの玉座の4つの憑魔を倒して入手できる装備を1つ以上入手して最上部大階段前セーブポイント |
031 | 偉業でしたね | どこでも | 異形の宝珠を36個入手 |
032 | ご当地料理 | レディレイク | スレイ、アリーシャ、ミクリオ、ライラのパーティ時に宿屋で鮎の塩焼きを選ぶ |
033 | 仲間だんらん | マーリンド | アリーシャがいる状態で宿屋で「豚肉じゃが」を注文する? |
034 | こだわるが故に | ラストンベル | デゼルがいる状態で宿屋で「牛肉の赤ワイン煮込み」を注文する |
035 | 今日のご飯 | ペンドラゴ | ザビーダがいる状態で宿屋で「冷奴」を注文する |
036 | シチューは飲み物? | ゴドジン | デゼルがいる状態で宿屋で「シチュー」を注文する |
037 | サボテンと生活の知恵 | ローグリン | 宿屋で「サボテンソテー」を注文する |
038 | 子どものころから食べている | どこでも | 「バニラソフトクリーム」を作った回数が一定以上で宿屋に泊まる? |
039 | 火加減は難しい | 〃 | ミクリオが「フルーツフラッペ」を作った直後にセーブポイント?(アリーシャがいる必要あり) |
040 | 冷たい高級品 | 〃 | ミクリオが「アイスキャンディー」を作った直後にセーブポイント?(アリーシャがいる必要あり) |
041 | ケーキは別腹 | 〃 | ライラが「紅茶シフォンケーキ」を作った直後にセーブポイント? |
042 | 思い出のお菓子 | 〃 | エドナが「マンゴーソルベ」を作った直後にセーブポイント? |
043 | 隠し味 | 〃 | デゼルが「マドレーヌ」を作った直後にセーブポイント? |
044 | ヘタになった? | 〃 | ロゼが「バタークッキー」を作った直後にセーブポイント? |
045 | こだわりの食材選び | 〃 | ライラが「苺ショートケーキ」を作った直後にセーブポイント? |
046 | 意外な特技 | 〃 | ザビーダが「ブドウのミルフィーユ」を作った直後にセーブポイント? |
047 | 自慢の味 | 〃 | ロゼが「バームクーヘン」を作った直後にセーブポイント? |
048 | おやつマスター | 〃 | ミクリオのおやつ系称号が最高になる? |
049 | おやつの王様 | アルトリウスの玉座 | アルトリウスの玉座で「マロングラッセ」を入手してセーブポイントへ |
050 | やましい風 | ペンドラゴ | ザビーダ加入後に宿屋に泊まる |
051 | 男のサウナ談義 | どこでも | ラストンベルの最終決戦前のイベント後に宿屋に泊まる |
052 | 女のサウナ談義 | 〃 | 〃 |
スレイ:なあ、かめにんって本当に天族じゃないのかな?
ミクリオ:わからない。「かめにんは、かめにんっすよ!」と言っていたが
スレイ:カメ憑魔でもないよな
ミクリオ:憑魔があんなだったら苦労しないよ
スレイ:じゃあ、やっぱり天族だろ
ミクリオ:人間の可能性もある。かめ「にん」というくらいだからな
スレイ:つまり……天族なら、かめ「てん」と名乗るはず?
ミクリオ:う……そこまではわからないが
スレイ:でもさ。考えてみたら、この世には人と天族しかいないって、決まってるわけじゃないよな
ミクリオ:つまり「かめにんはかめにん説」は成立し得るということか
スレイ:わからないけど、そうだったら面白い!
ミクリオ:確かに。旅に出た甲斐もあるね
アリーシャ:やっ!はあっ!
ライラ:精が出ますわね
アリーシャ:あっ!夜半にお騒がせして申し訳ありません!
ライラ:いえ。頼もしいですわ
ミクリオ:正直負けそうだよ
ミクリオ:お姫様は舞踏会で踊ったり、お菓子を食べたりというイメージだったけど、全然違ったよ
アリーシャ:いえ……普通の姫は、そのように暮らしています。でも、私はそれができないのです……
アリーシャ:舞踏会やサロンでも改革の話をするので、煙たがられてしまって
アリーシャ:目の前にある大事な問題なのに……
ライラ:アリーシャさん……
アリーシャ:そのストレスをこうして発散しているのです!おかげで槍の腕は、ずいぶん上がりました
アリーシャ:とはいえ、深夜の稽古はご迷惑ですね。もう寝ることにします。では
ミクリオ:国を思う気持ちは理想のお姫様だね。けど──
ライラ:かなり無理をされているようですわ
ミクリオ:ああ。心配だね……
アリーシャ:「マオクス=アメッカ」……それが私の真名か
アリーシャ:それにしても、スレイは古代語を扱えるのだな。都でも使えるのは学者くらいなのに
スレイ:遺跡の碑文とかを調べるために覚えたんだ。独学だし、まだまだだけどね
アリーシャ:私の真名の意味を教えてもらってもいいだろうか?……問題がなければ
スレイ:問題?
アリーシャ:いや……「無鉄砲姫」とか「おてんばアリーシャ」などという意味なら聞かない方がいいかと……
スレイ:あはは!違うよ
スレイ:「マオクス=アメッカ」は「笑顔のアリーシャ」って意味
アリーシャ:「笑顔のアリーシャ」……?
スレイ:ナイフを返した時、すごく嬉しそうに笑っただろ?また、あんな笑顔を見たいなって思ったんだ
スレイ:アリーシャの夢を叶えて、ね
スレイ:……問題あった?
アリーシャ:い、いや。少し驚いただけだ
アリーシャ:真顔でそんなことを言われたのは初めてだから……
ライラ:ふふ、言えちゃう人なのですね。スレイさんは
アリーシャ:そのようですね
スレイ:オレ、変なこと言ったかなあ?
アリーシャ:ありがとう、スレイ。君がつけてくれた真名、大切にするよ
スレイ:地の主か……
スレイ:ライラがなるってわけにはいかないのか?聖剣を器にしてさ
ライラ:可能でしたが……もうあの聖剣は、スレイさんの一部になってしまいましたわ
ライラ:それに……
スレイ:それに?
ライラ:私にはこの街の人に祀られる資格などないのです
ライラ:地の主になりこの土地と結びつく事よりも旅に出ることを望み、穢れを放置し続けましたから
スレイ:…………
スレイ:ライラって、どれくらいあの聖剣に宿ってたの?
ライラ:もう……十年以上になります
スレイ:そんなに長い間導師を待ってたんだね
スレイ:世界の人たちのために
ライラ:スレイさん……
スレイ:始まったばかりだよ。導師の旅は
ライラ:はい!これからですわね
スレイ:アリーシャ、あのさ──
スレイ:あ……!
スレイ:ごめん!着替え中だと思わなくて
アリーシャ:ふふ、いいよ。鎧の手入れをしていただけだから
スレイ:けど、無神経だったね。女性の部屋に
アリーシャ:では、正式にお招きしよう。どうぞ、スレイ
スレイ:お邪魔します
アリーシャ:それで御用は?
スレイ:いや、戦いのペースは大丈夫かなって。きつかったら言って
アリーシャ:私なら問題ないよ。槍と鎧の手入れもこの通りだ
スレイ:前から聞こうと思ってたんだけどアリーシャの鎧って変わってるよね?
アリーシャ:ふふ、この透明な部分だろう?これはディフダ家に代々伝わる鎧なんだ
アリーシャ:今は末席だが、先祖には武名を馳せた勇者がいてね
アリーシャ:その方は、見たものを黒水晶に変える魔物を討ち果たしたと伝えられている
スレイ:黒い水晶に変える……あっ!
アリーシャ:そう。これはその方の物と伝わる鎧だ
アリーシャ:一部しか残っていないし、伝説の話だが興味があるなら手にとって見てみるか?
スレイ:うん!
スレイ:思ったより透けてる!こんな風になってたのかぁ!
ライラ:アリーシャさん、お食事の支度が──
ライラ:お取り込み中のようですね……
アリーシャ:違います、ライラ様!今のは!?
スレイ:ノックはマナーだね……
ミクリオ:「アタック」って変な名前だと思ったが装備品のスキルと同じ名前なのか
エドナ:気付いてしまったのね……
ミクリオ:え?まさか聞いちゃいけなかったのか?
エドナ:手短に説明してあげる。装備品に与えられるスキルは地の主の恩恵による、いわば神の采配
エドナ:霊力と属性の微妙な配列によって50のプライマリィ・エレメントが発見されているわ
エドナ:その50のエレメントを組み合わせることで新たな効果が生まれ、さらにそれを何十億と掛け合わせ……
エドナ:人や天族も構成されているのよ
ミクリオ:それは興味深いな……
エドナ:そう。より純粋で、不純物の少ないエレメントで構成された、それが……
ミクリオ:ノルミンということか……!
エドナ:宝石とかに加工される原石ってわけだけど
ミクリオ:おい!
エドナ:それぞれの原石を研究するため、50人の精鋭が集められたわ。それが……
ミクリオ:ノルミンということか……!
エドナ:たった一名の遅刻常習者によって、プロジェクトは瓦解の危機を迎えるの
ミクリオ:ノルミン出てこないじゃないか!
エドナ:ノルミンが出てくるのは第23章からよ。せっかちね
ミクリオ:え?まさか聞いちゃいけなかったのか……
ロゼ:「ウィクエク=ウィク」……
ロゼ:ねえ、スレイ。あたしの真名って、どういう意味?
スレイ:ああ。「ロゼはロゼ」って意味
ロゼ:「ロゼはロゼ」……なんか手抜きっぽくない?
スレイ:そう?ぱっと思いついたんだけど結構あってない?
ライラ:あの時は緊急事態でしたから
ロゼ:う〜ん……アリーシャ姫も従士だったんだよね?なんて真名つけたの?
スレイ:「マオクス=アメッカ」。意味は「笑顔のアリーシャ」だ
ロゼ:……わかった。手抜きじゃなくて、ひいきですね?
スレイ:えっ!?なんで?
ロゼ:あたしの笑顔だって、なかなかのもんなのに
スレイ:ちょっ、ロゼ!雰囲気怖いよ!
ライラ:ロゼさん。スレイさんは素でこう言う方なので……
ロゼ:わかってる。スレイこそ「スレイはスレイ」だよね
ロゼ:ねえ、エドナ
エドナ:なに?
ロゼ:エドナのブーツってさ、なんかブカブカじゃない?
エドナ:文句ある?
ロゼ:全然。ただ、歩きにくくないかなって
エドナ:……元は、お兄ちゃんのだからよ
エドナ:ワタシの足に合うように調整してあるから、気にしないで
ロゼ:じゃあ、そのグローブも?
エドナ:お揃いだけど。それが?
ロゼ:ワンピースと似合ってるよね。ちょっと変わってるけど
エドナ:……お兄ちゃんもそういってくれたわ
ロゼ:え?
エドナ:別に。あなたには似合わないって言ったのよ
ロゼ:あはは。それはそうだ
エドナ:……変なヤツ
ライラ:あの、ロゼさん──
ロゼ:ひぃぃっ!
ライラ:あっ!失礼しました!
ライラ:これで
ロゼ:い、いいよ
ロゼ:で、なに?
ライラ:戦場でのお礼をいいたくて
ライラ:スレイさんを救ってくださってありがとうございました
ロゼ:気にしなくていいって。とっさにやっただけだし
ライラ:いいえ、あの勇気と気迫には感動しましたわ
ロゼ:そ、そう?
デゼル:おい
ロゼ:ひううっ!姿を見せろってばっ!
ロゼ:でっ!なに?
デゼル:いや……おだてられて無茶をするなと……
デゼル:……驚かせて、すまん
ロゼ:わかればよし!
デゼル:思わず謝ってしまった
ライラ:あの時以上の気迫でしたわね
デゼル:…………
ロゼ:……なんか用?
デゼル:おい
ロゼ:ロゼ
デゼル:知っている
ロゼ:じゃあ、名前呼んで
デゼル:ロゼ
ロゼ:はいはい。なんでしょう?
デゼル:ああいうマネはよせ
ロゼ:どういうマネよ?
デゼル:……導師の背におぶわれていただろう
ロゼ:ちょ!見てたの!?
デゼル:たまたまな
ロゼ:うう……そういうのが怖いんだよなあ、天族って!
デゼル:体を預けるなど無防備すぎる
ロゼ:それで油断させて殲滅って作戦じゃん
デゼル:年頃の娘のすることじゃないだろう
ロゼ:殲滅が?
デゼル:背負われることがだ!
ロゼ:年頃の娘は背負われるのまずいんだ?
デゼル:無防備なのがだ!
ロゼ:だからそういう作戦って言ってんじゃん!
デゼル:もういい……
ロゼ:?わけがわからん……
ロゼ:あたしが聞いた昔話の中に天族と憑魔がいるような気がするんだよね
スレイ:へぇ。どんな昔話?
ロゼ:あのね、やさしいおじさんと意地悪なおばさんがいて
ロゼ:飼ってた小鳥の舌をおばさんが切っちゃうんだよ
ミクリオ:残酷なことをするな……
ロゼ:でね、おじさんが逃げた小鳥の宿へ行くと宝箱をもらってくるの
ロゼ:おばさんが宿へ行くと恐ろしいものが入った宝箱を貰うの
ミクリオ:でも、そもそも小鳥の舌を切るなんて事ができるのかい?
スレイ:それを言うなら、小鳥が宝箱を用意したってとこもおかしいよ
ミクリオ:小鳥の宿っていうのも、巣のまちがいじゃ……
ロゼ:ちょっと!話の趣旨がちがーう!
ミクリオ:最近、犬に吠えられなくなった気がする
エドナ:原因はあれよ
ミクリオ:デゼル?犬が……懐いている?
デゼル:…どうした、何か用か
ミクリオ:いや、意外だな、犬は平気なのか?
デゼル:平気も何も、彼らは物言わぬ相棒だろう。お前の歩み寄りが足りないんじゃないのか?
ミクリオ:いやいや、吠えるだろ、犬……
デゼル:吠えるのはお前の持つ不安を感じ、その不安の正体がわからないからだ
エドナ:早い話、先にビビるからよ
ミクリオ:僕としては吠えたのが先と主張したいんだが……
ライラ:……
ロゼ:ライラ、まだ起きてるの?へー、ライラが髪をおとしてるの初めて見たかも
ライラ:戦うときには邪魔にならないようにしておきませんとね
ロゼ:まああたしは面倒だからパスパス切っちゃうけどね
ライラ:ロゼさんの髪型もステキですわよ
ロゼ:そう?……その長さになるのにどれくらいかかったの?
ライラ:そう言われますと……短かった時を覚えていないかもですね
ロゼ:昔過ぎて忘れちゃったってこと?長生きだもんねー
ライラ:ですわね……長く生きていると、おとといの夕食が何であったかも、時に忘れてしまいますわ
ロゼ:そのへんは人間でも忘れるけどね
ライラ:生まれた時の最初の一言なども、今となっては全く覚えていませんし……
ロゼ:そのへんは人間でも忘れるけどね
ロゼ:ふわぁ〜……今日も暑いよねぇ……
ライラ:そうですわね。日に焼けてしまいそうです……エドナさん、その傘は日よけ用ですの?
エドナ:見た通りよ
ロゼ:天族も日焼けするんだ?エドナ、肌白いもんね〜。納得
ライラ:エドナさんの傘は日よけにもなり、雨よけにもなり、憑魔まで退けてしまいますものね
ロゼ:そっか。エドナの傘は一石三鳥だね
ライラ:いいえ!エドナさんのトレードマークにもなっていますから、一石四鳥です
ロゼ:それを言うなら、お気に入りのマスコットも付けられるし、一石五鳥でしょ
ライラ:ではでは、その日の気分によって変えられるアイテムですから一石……
エドナ:カサねるわね。カサだけに
ライラ:上手いこと言われてしまいましたわ〜!
エドナ:これで一石何鳥かしらね?
ミクリオ:「巨魁の腕」か……くやしいが、さすがは地の天族といったところか……
エドナ:……
ミクリオ:エドナ?
エドナ:あひゃぁ!!
エドナ:……「巨魁の腕」を使った後は全身が筋肉痛地獄になるんだから触らないでくれる?
ミクリオ:そ、そうなのか……
エドナ:見た目通り華奢なアタシは、本来傘より重いものは持てない
エドナ:守ってあげたくなるNO.1の淑女なのよ?
ミクリオ:それは別にどうでもいいが、やはり大きな力にはそれなりの代償があるってことなのか……
エドナ:気を使われても困るからスレイには言うんじゃないわよ
ミクリオ:そうかもな
エドナ:あとさっきの話は、力を使ってないときは好きに触っていいって意味じゃないわよ
ミクリオ:知ってるよ
デゼル:…そうか
ミクリオ:増えてるぞ、犬……
ロゼ:デゼルに犬望があるんじゃない?
デゼル:…それはいかんな
ミクリオ:河合してるぞ、犬と……
ロゼ:あたしらも普通の人から見れば似たようなもんでしょ
ミクリオ:犬と一緒にするなよ
デゼル:犬は同じだと思ってんぞ。……いい意味でな
ロゼ:犬って大人だねえ
ミクリオ:なら僕も大人ってことにしといてくれ……
ロゼ:ライラ、エドナ、これ見て!ジャーン!
ライラ:これは、絵?ポスターですか?
エドナ:というか、ビラね
ライラ:「天族のファッション界に新風を!セキレイ印のニュートレンドここに発進!」?
エドナ:なにこれ?
ロゼ:天族に向けた新しいビジネスだよ!
ロゼ:ご飯は要らなくても服はいるでしょ!
ロゼ:誰も手をつけてない、独占市場!これはクル〜!
エドナ:天族は服に困ってないと思うけど
ライラ:私も今の格好気に入ってますし……
ロゼ:そんなだから時代遅れな格好なんだよ
ライラ:時代……遅れ……
エドナ:……余計なお世話なんですけど
ロゼ:だめだめ!女の子がおしゃれを忘れたら行き遅れるよ!天族でも人間でも!
ライラ:はう!
エドナ:……ならどんな服を用意してくれるわけ?
ロゼ:それを考えるのは二人の仕事!天族のトレンドなんてあたし知らないし!
ライラ:…………
ロゼ:あれ?乗り気じゃない?
エドナ:……いきなり破綻してるもの。ねぇ?ライラ
ライラ:時代……遅れ……
エドナ:行き遅れ
ライラ:ううう〜!!
エドナ:ロゼ、どうしてくれるのよ。これ
ロゼ:ええ〜?あたし?
ミクリオ:デゼル……聞きにくいんだが……
デゼル:俺の目のことか?ふん、別に隠していたわけじゃない
ミクリオ:それは仇がやったのか?
デゼル:そうだ。ヤツのせいでこうなった
ライラ:だからデゼルさんは復讐を──
デゼル:言ったはずだぞ。俺の目的は友を殺し、風の傭兵団を潰した仇への復讐だと
ミクリオ:自分のことじゃないと?
デゼル:この傷は、むしろ感謝しているくらいだ。おかげで風を読む力が格段にあがったからな
デゼル:今の俺は、お前たちよりよほど広く周囲の気配を捕らえることができる
ライラ:おそらく、誓約と同じ効果が生まれているのでしょうね
デゼル:つまり、心配も同情も無用ということだ。安心して俺の力を利用しろ
デゼル:フォートンの時のようにな
ミクリオ:その代わり僕らの力も利用するから……か
デゼル:それも言ったはずだな。最初に
ミクリオ:……ああ。そうだったな
ロゼ:デゼル、聞いていい?
デゼル:なにをだ
ロゼ:友達がいるかどうか
デゼル:……相手が傷付く質問だな
ロゼ:ごめん。そういうつもりはないんだけど
デゼル:わかっている
デゼル:俺にも親友はいる。ラファーガという風の天族だ
デゼル:やけに面倒見のいい奴でな。一緒に旅をした間、ずいぶん兄貴風を吹かされたもんさ
ロゼ:さすが風の天族
デゼル:ふふ……心配だったんだろうな。危なっかしい若造の俺が
ロゼ:そっか。よかった
デゼル:よかった?
ロゼ:うん。デゼルが一人じゃなくて
ロゼ:あたしも心配だったんだ。なんとなく
デゼル:いらん心配だ
ロゼ:そ。いらなくてよかった
デゼル:……だから討つのさ。あいつの仇を
ミクリオ:導師の修行と、マオテラス捜索。一石二鳥になったね
スレイ:もっとだよ。五大神の遺跡を探検できるんだから
ロゼ:ったくー、遺跡オタクー
スレイ:こういうのは楽しまなきゃ!
ライラ:命懸けかもしれませんが……
スレイ:それはね。冒険だから
ミクリオ:だね
ロゼ:あたしは油断なく行くけどね
ライラ:お供しますわ。どこまでも
ミクリオ:…………
ライラ:まだ起きているのですか?
ミクリオ:ああ。考え事をしてたら眠れなくなって
エドナ:思春期なのね
ミクリオ:エドナのせいだよ。前に言ったろ。天族には二種類あるって
エドナ:ええ。天族として生まれた者と人から天族になった者
ミクリオ:人が天族に転生することがあるわけだな
エドナ:エクセオやパワントがそうでしょ。元は人間だったって
ミクリオ:修行を積めばできるのか?それって
ライラ:確立された転生の技術があるわけではありません
ライラ:ただ、純粋な心をもった人の魂が導かれ、天族として再生すると伝えられています
エドナ:修行は純粋な心を得るための方法でしょ。ミイラになるのが純粋かどうかは置いといて
ミクリオ:再生すると、天族の赤ん坊が生まれる?
ライラ:いえ。生前の姿をした天族として「出現」するんです
エドナ:人間だった頃の記憶はなくなるみたいだけど
ミクリオ:それは、もう別の人間だと思うが……
エドナ:基本はそう。天族であって人間じゃないもの
ライラ:それでも、人だった頃の性格や嗜好、大切な想いは受け継がれると聞きますわ
ミクリオ:なるほど。天族も不思議な種族だね
ライラ:そうですね。改めて考えると
ミクリオ:ライラはどっちなんだ?
ライラ:私は……
ライラ:すみません。覚えていないんです
エドナ:女性天族にそれを聞くのはマナー違反よ
ミクリオ:そ、そうなのか!?
エドナ:完全にセクハラ
ミクリオ:すまない、ライラ!知らなかったんだ
ライラ:いえ、別にそんなマナーはありませんけど
エドナ:人間だったら転生てきそうね。ミボは
ミクリオ:エドナ〜!
スレイ:ディスカバリーが結構埋まってきたな
ライラ:スレイさん、遺跡探索もよろしいですけどそれにかまけてのよそ見が過ぎますわよ
スレイ:そう……かな?
ライラ:よそ見をしてると曲がり角で知らない人とどーんつってぶつかる事態になりますわ
ロゼ:そんときのための緊急回避っしょ。華麗にバックステップ!
ライラ:ロゼさんそこはサイドステップですわ
ロゼ:そうだそうだ。そこから連携すればスタン率アップだしね!
スレイ:その知らない人、災難過ぎだと思う……
スレイ:「異形の宝珠」も結構集まったな
ミクリオ:変異憑魔を倒すことで得られる宝珠のことか
ライラ:あの宝珠を持つと、自身の持つ能力以上の力を発揮できる代わりに姿をも変えてしまう恐れがあります
スレイ:捨てるか壊すかしたほうがいいのかな?
ライラ:私が悪しき力を封じていますので大丈夫でしょう。人の手に渡っても悪影響を与えてしまうものですし
ライラ:なにより、ただ壊すだけでは、辺り一面穢れだらけになってしまいますわよ
ミクリオ:結果、トラブルの解決にも繋がるし回収できたらしていく、ってことでいいんだな?
ライラ:はい。もちろん、変異憑魔は強敵揃いです。勝てないと判断したら、退く判断も忘れないでくださいね
スレイ:了解
ロゼ:ザビーダは、なんで憑魔を殺すわけ?
ザビーダ:こりゃまたストレートな質問で
ロゼ:誤魔化すような問題じゃないでしょ
ザビーダ:確かにそうだ
ザビーダ:つまり、それが俺の流儀だからさ
ライラ:殺すことが……ですか?
ザビーダ:そうなっちまうこともある
ロゼ:浄化しようとしてもできない奴がいるもんね
ザビーダ:ああ。元に戻せない憑魔もいる
ライラ:それでも……スレイさんは元に戻す方法を見つけると約束したんです
ライラ:エドナさんと
ザビーダ:……導師らしいねえ
ザビーダ:ま、それが見つかんなかった時にケジメをつけるならかまわねぇさ
ロゼ:ケジメか……
ライラ:殺すということですわね
ザビーダ:ちょっと違う
ザビーダ:答えを出すってことさ
ライラ:!
ザビーダ:今いいこと言ったぜ〜、俺様
ロゼ:……
ザビーダ:人間が背負うには、あまりに辛いことが重なっちまったかねえ
ライラ:私が連れ出さなければ……いえ、詮無きことですわね
エドナ:苦しいことがイヤなら、部屋に閉じこもっていればいいわ。「外」に出たのは彼らの意思よ
ミクリオ:ああ。別に誰かに責任を取ってもらいたいなんて思っていないさ。スレイも、ロゼも
ザビーダ:コイツらすっかり天族との生活に鳴れきっちまってるみたいだが、最初っからこうなんかい?
ミクリオ:スレイと僕は赤ん坊のころから一緒だったからな
ザビーダ:……ミクリオにも小っさいころがあったのかい?
ミクリオ:失礼だな!
ザビーダ:悪い悪い。さぞかし小さいころは素直でよい子だったんだろうなあ
ミクリオ:悪いね、今は素直じゃなくて
ザビーダ:スキ、キライ、スキ、キライ、スキ……
ライラ:なにを占っているのですか?
ザビーダ:いやぁ、俺、途中参加だろ?しかも、さんざん意地悪したしよ
ザビーダ:あいつらに嫌われてるんじゃねぇかな、って
ライラ:それで結果は?
ザビーダ:そりゃもちろん……
ザビーダ:キ・ラ・イだとさ
ライラ:スレイさんたちは、そんな方では
ザビーダ:ああ、導師だもんな。けど、それが優等生すぎる
ザビーダ:だから俺みたいのがいる意味があるのさ。例え嫌われようと
ライラ:私も占ってみますわ。ザビーダさんが私たちの仲間かどうか
ザビーダ:折り紙の花?それじゃ花びらは一枚……
ライラ:ザビーダさんは私たちの──
ライラ「仲間」と出ましたわ
ザビーダ:…………
ザビーダ:所詮は占いだぜ?
ライラ:大丈夫。私の占いは当たりますから
ライラ:ザビーダさん、お願いがあります
ザビーダ:なんだい?怖い顔して
ライラ:いいかげんに服を着てください!その格好は教育上、よろしくありませんわ
ザビーダ:そうしたいのは山々なんだが、これが俺の誓約でさ
ライラ:そう……だったのですか!?
ザビーダ:ああ。それが俺が一人旅できた理由さ
エドナ:誓約を課してるのが自分だけと思わないことね
ライラ:まさかエドナさんも?
エドナ:そうよ。お兄ちゃんが山から出ないように──
エドナ:毎日ピーナッツを年の分だけ食べてる
ザビーダ:俺も、肌を焼いて一月に一枚脱皮しないとダメでさ
エドナ:あ。デゼルも、歯をヤスリでギザギザにするのが誓約だって言ってたわ
ライラ:どこまで本当かわかりませんわね……
ザビーダ:くくく、ライラには言われたくないねえ
エドナ:そういうものでしょ?天族の誓約って
ライラ:はい。真実は各々の心に
ライラ:それが誓約ですわね
ミクリオ:……とうとう手を下してしまったか
ザビーダ:いやあ、ほれぼれする一撃だったな!二人の覚悟がこもっててよ
ミクリオ:今回はとめなかったな……ロゼは
ザビーダ:ん?前はとめたん?
ミクリオ:ああ。どうしても浄化できなかった枢機卿を殺したのはロゼだった
ミクリオ:「スレイの仕事は生かすこと。あたしの仕事は殺すこと」と言って
ザビーダ:くくく、らしいな
ミクリオ:もちろんロゼに手を汚して欲しかったわけじゃない。でも、なぜ今回は──
ザビーダ:スレイは、答えを出した。ロゼは、その力になりたいと思った
ザビーダ:なにも変わってないだろ?そういう意味じゃ
ミクリオ:……その通りだな
ミクリオ:ロゼの方がスレイのことを、よく考えているのかもしれない
ザビーダ:つっても、本当のところは本人に聞かなきゃわからないがな
ミクリオ:いや。聞く必要はないよ。僕が信じればいいことだ
ザビーダ:そうかい
ザビーダ:最終決戦を前に、団結を高めるためにしりとりしようぜ
ミクリオ:唐突にも程があるだろ……
ザビーダ:時計回りで行くぜ、まずはオレから……
ミクリオ:くそっ!「る」はもうないぞ!
スレイ:ミクリオも脱落したか……
ロゼ:すぐにめんどくさくなったエドナはともかくこれでライラとザビーダの一騎打ちね
ライラ:でしたら「ルズローシブ・レレイ」
ミクリオ:えっそれアリなの……
ザビーダ:「いりごま」
ライラ:「マントヒヒ」
ザビーダ:「火だるま」
ライラ:む…
エドナ:マオ坊の名前を言わせる気ね……
ライラ:まつたけ!
ザビーダ:けんだま!
ライラ:マスカット!
ザビーダ:トラウマ!
ライラ:マカロニ!
ザビーダ:にらたま!
ライラ:まんじゅう!
ザビーダ:うらやま!
ロゼ:なんという名勝負…
エドナ:これが長年生きた天族のみが出せる凄味ってものよ
ミクリオ:長年ねえ……
ロゼ:なんか微妙な性能の装備品を見つけたわけだけど
ザビーダ:この価値がわからないとは、ロゼちゃんも承認としてはまだまだ青いねえ〜
ロゼ:おょ?あたしに商人道を語るかね?
ザビーダ:確かに見た目も性能も名前も微妙だが、これは同種の装備品全てと融合することが可能なわけよ
ライラ:でも……お高いんでしょう?
ザビーダ:ところがなんと、融合価格もお値打ちどころか最安値更新!一家に一台!へっぽこ装備!
ロゼ:結局へっぽこなんかい
ライラ:しかも!10回融合してから地の主のもとへお越しいただくと、ななななんと!
ザビーダ:地の主が貴方のためだけに、祝福銘をおつけするサービスを無料でご提供!
ロゼ:それ他の装備と一緒じゃん!
ロゼ:異形の宝珠、36個も集まっちゃったね
ザビーダ:あー、これねー。結構昔からあるいわくつきの品だな
エドナ:憑魔を喰らった穢れを凝縮して生み出されたって聞いたことがあるわね
ザビーダ:歴史の中で狂人と言われた有名人も、紐解いてみりゃこいつのせい、ってオチになってたりな
ロゼ:人の性格を飼えたり、憑魔化しちゃうってこと?
エドナ:霊応力のない人間には見えないから、本人が知らないうちに巻き込まれることもあったみたい
ザビーダ:憑魔が持った場合、穢れが過剰に供給され、普段見かけない「変異憑魔」になっちまうってわけだ
ロゼ:何でそんなものを創ったんだよ……
エドナ:浄化以外で、憑魔を減らす方法のひとつよ。人間が浄化の力を持つなんて、まずないし
ザビーダ:昔は今より、天族や憑魔が見える人間も多かったからな〜
ロゼ:人間が憑魔から人々を守る為に止むを得ずとった手段ってこと……?
ザビーダ:いわゆる「対処療法」ってやつさ。不幸を先延ばしにするためのな。ま、人間には「今日」が大事ってわけ
ロゼ:その時の状況も知らずあーだこーだ言うのはおかしいか。あたしも「明日」のために生きよっと
エドナ:……アナタたちはそれでいいんじゃない?
アユの塩焼き、美味しかったなぁ〜!
スレイ:でも、ただ塩ふって焼いただけなのにこれを料理って言うのかな?
ライラ:確かにスレイさんの言う通り、焼いただけではありますが
ライラ:あの絶妙な塩加減と火の通し方……素材そのものの良さが上手に引き出されていましたわ
ミクリオ:素材の旨味を最大限に引き出せるかどうかで味の良し悪しが決まる
ミクリオ:アユの塩焼きも、歴とした料理ってことだな
スレイ:そうだね。何気なく食べてたけど奥が深いんだなあ
アリーシャ:そう。そえに、ここのアユは豊かな水源に育まれたレディレイクの名産品だからな
アリーシャ:先々の人、天族に守られてきた証。いつまでもこの美しい自然を守っていきたいよ
スレイ:さっき食べた肉じゃが、味が染みててうまかったな〜
アリーシャ:ああ。初めて食べたがとても美味しかったよ
スレイ:ええ!?初めてって……。でもそうか
スレイ:アリーシャはいつもすごいご馳走を食べてるんだよな?ブウサギの丸焼きとか高級なフルーツとか!
アリーシャ:そんなご馳走を毎日食べているわけじゃないよ。確かにいつも食べている料理も美味しいが
アリーシャ:それ以上に、仲間とわいわい食事をとることがこんなに楽しいなんて思わなかったよ
アリーシャ:幸せというのは、こうした日々の生活の中にあるのだな
スレイ:うん。おいしいごはんをみんなで食べる!ホント幸せだなってオレも思うよ
スレイ&アリーシャ:あははは
スレイ:ふぁあ〜。お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃった
スレイ:明日もあることだし、部屋に戻ろうか
アリーシャ:ああ。そうだな おやすみ
スレイ:おやすみ〜
デゼル:ぐ……うぬぬ……
ロゼ:おおっ。いいにおーい!この美味しそうなにおいは牛肉の赤ワイン煮込みですなー!
ロゼ:って!ちょ、デゼル何して──
ミクリオ:(しーーーー!!!)
ロゼ:(え!?な、なに!?どうしたの?)
スレイ:(デゼルのやつ、さっきからああして鍋に向かってペンデュラムをかざしてるんだ)
ロゼ:(ていうかなんであいつ厨房に立ってるわけ?)
エドナ:(愛情をたっぷり注いでるとか?)
ミクリオ:(注ぎ方が間違ってるしそもそも愛情って感じしないだろ!)
ライラ:(まさか呪い……)
ミクリオ:(……!)
デゼル:……クソッ!!
デゼル:この味……くやしいが今の俺には再現できん……!くっ……!
スレイ:……
ロゼ:……何?
ライラ:この店の牛肉の赤ワイン煮込みのレシピを調べていたようですわね
エドナ:料理に相当なこだわりがあるようね
スレイ:そう言われると、食事の時やたら味わって食べてる時があるような……
ミクリオ:デゼル、どこを目指してるんだ……?
スレイ:うう……今日のご飯は……
ミクリオ:育ちざかりの僕たちにはツライな……
ザビーダ:育ちざかりじゃなくてもさすがにこの味気ないメシは、なぁ
ライラ:たまには健康的なご飯でもと思って選んでみたんですけど
ライラ:あまり好評ではないようですね
ザビーダ:健康的なのはありがたいけどちょっと健康的すぎるかもねえ
スレイ:そうだな〜。歯ごたえないし、味薄いしあんま食べた気にならないよね
ミクリオ:ちょっと極端なディナーではあるな
ライラ:……そこまで言われるといくら一緒に旅をする仲間でも傷ついてしまいますわ
ライラ:毎日毎日、みなさんの健康とお財布事情に気を付けて管理していましたのに……
スレイ:あわわわ!……別に責めているわけじゃないよ!な、ミクリオ、ザビーダ!
ミクリオ:そ、そうだよ。ライラがいつも僕たちのことを気にしてくれてるのは分かってるよ
ミクリオ:感謝してる。ありがとう!
ザビーダ:そーだよ。その心遣いはありがたいぜ。やっぱライラが傍にいてくれてよかったなあ!
ライラ:それは良かったですわ!
ライラ:じゃあ私もお代わりを……
ザビーダ:結局、お前が食べたかっただけじゃないのか!?
ロゼ:ふぅ〜。食った食った!幸せ〜!
ロゼ:げぷ
スレイ:ロゼさぁ、ほんとそれ良くないよ
ミクリオ:女性としての前に人としてどうかと思う
デゼル:食べるのが早い。落ち着いてゆっくり食え
ロゼ:シチューなんて飲み物だよ。落ち着いて食べたって時間かからないもん
ミクリオ:ならせめてげっぷはやめてくれ
デゼル:何よりもまずシチューは飲み物じゃない
デゼル:時間をかけて素材の旨みを抽出しそれを凝縮したものだ。ちゃんと味わって食え
ロゼ:味わって食べてますーいちいち小言がウルサイ!
デゼル:……まったく。あれこれ奔放なやつだ
スレイ:サボテンソテーだって
ロゼ:よくこれを食べようと思ったね〜
ミクリオ:でも意外と美味いな
ザビーダ:このあたりはそもそも人が食えるモンが少ねぇからな
ザビーダ:ま、先人の知恵ってとこじゃね?
エドナ:ホント人間って大変ね
エドナ:食べないと生きていけないのに食べるものがないなんて
ライラ:だからこそ知恵を絞って生活する必要があるんですわ
ライラ:天族だってそうです。結局のところ天族だけの力で生きているわけじゃありませんし
スレイ:そうだね。お互い必要な存在なんだから協力しあえる関係が自然に築けるといいんだけど
スレイ:なぁ、ミクリオ
ミクリオ:今までスレイとの生活が当たり前だったからな。あんまり意識したことなかったけど
ロゼ:きっと昔はそれが普通だったんじゃない?
ライラ:そうですわね。また、昔のような関係を取り戻せるといいのですけれど
スレイ:そのためにオレたちが頑張らないと、だね
ライラ:スレイさん、好きなんですね。バニラソフトクリーム
スレイ:昔からミクリオが作ってくれたのをよく食べてたからね
アリーシャ:ミクリオ様がスレイにおやつを作っていたのですか!?
ミクリオ:スレイは天遺見聞録を読み出すとすぐ夢中になるから僕が作ったものを強引に食べさせていたのさ
アリーシャ:なるほど。ふふ、目に浮かんできます
スレイ:それならちゃんとした料理も作ってくれればよかったのに
ミクリオ:しかたないだろ。子どものころは一人で狩りが出来なかったんだから
ライラ:ふふふ。二人は本当に仲がいいですね
ミクリオ:これでよし、と
ミクリオ:さぁ、とける前に召し上がれ
アリーシャ:フルーツフラッペですね。盛り付けがとてもきれいです
ライラ:さすがは水の天族ですわね。私だと、こうは行きません
アリーシャ:ですが、ライラ様も作っていらっしゃいましたよね?
ライラ:はい。焼菓子は得意なのですが冷たい物はちょっと……
アリーシャ:なるほど。ライラ様は火の天族だから焼菓子がミクリオ様は水の天族だから冷たい物が得意なのですね
スレイ:天族にも得手不得手はあるんだよな
ミクリオ:たしかに僕も焼菓子の火加減は苦手だ
スレイ:そうそう。ミクリオは昔からボアの肉を焼く時に火加減を間違えて黒コゲにしてたもんな
ミクリオ:そんな昔の事をまだ覚えていたのか!そもそもあれはスレイが自分で火を起こさな──
ライラ:あの〜、お話するのはいいのですが
アリーシャ:早く食べないと全部とけてしまうのですが……
スレイ&ミクリオ:あ!
アリーシャ:ミクリオ様はアイスキャンディーを簡単に作ってしまわれるのですね
ミクリオ:僕は水の天族だからね。これくらいなら朝飯前さ
アリーシャ:冷たい食べ物は全て高級品なのです。冷やすための氷を入手する事が難しいですから
ミクリオ:この程度で良ければまた作ってあげるよ
アリーシャ:本当ですか!ならば私にも作り方を教えて頂けないでしょうか?
ミクリオ:あ、あぁ。僕でよければ
アリーシャ:ありがとうございます。まずは氷ですが天響術以外で入手する方法はありますか?
ミクリオ:うーん、水を凍らす方法以外だと思いつかないな
アリーシャ:そうなのですか。そうなると私には難しいですね
ミクリオ:だったら一緒にいる時は僕が氷を用意するから次のフルーツ果汁の作り方から覚えよう
ミクリオ:そうすれば、氷を入手できさえすればアリーシャ一人ででも作れるようになるさ
アリーシャ:わかりました。料理などしたことない私ですが一人前に作れるよう精進していきます
アリーシャ:さぁ、ミクリオ様、オレンジを!私の槍で見事に切り下して見せましょう
ミクリオ:そもそも料理に槍は使わないんだが……
ライラ:紅茶のシフォンケーキは何度食べてもおいしいですわね
スレイ:へぇー。ライラはシフォンケーキが好きなんだ
ライラ:えぇ。昔から大好きなんです。作る時も楽しいですし
ミクリオ:だが自分で作って自分で食べるのって大変じゃないのか
エドナ:知らないの。女の子にとっておやつは別腹なの
ミクリオ:ちょ、なんで僕がつつかれないといけないんだ!?
エドナ:知らないあなたが悪いのよ
ミクリオ:僕が悪いのか!?
エドナ:女の子が本気になると食後にシフォンケーキとバターケーキを十個は余裕でいけるわよ
ミクリオ:さすがにそれはないだろ!?
ライラ:それが意外といけてしまうんです ねぇ、エドナさん
ミクリオ:ライラまで!だがそんなことをしていたらすぐにふと──
ミクリオ:あたっ!
エドナ:それ以上言うと刺すわよ
ミクリオ:もう刺しているじゃないか!
ミクリオ:エドナ、本当にそのお菓子が好きなんだね
エドナ:そうね、食べやすくておいしいから好きよ。それに……
スレイ:それに?
エドナ:……
エドナ:いいからあなたちも食べてみなさい
スレイ:あ、ありがとう
エドナ:なにがあってもこれだけh忘れずにお土産にしてくれていたからよ
デゼル:ほら、出来たぞ
ロゼ:あ、マドレーヌだ。ありがとう、デゼル
デゼル:礼などいい。早く食え
ロゼ:うん
ロゼ:うぐっ……うぐっ、ごく
ロゼ:ねぇ。デゼルの味付けって、あたしと似てるよね。なんで?
デゼル:さぁな、ただの偶然だろう
ロゼ:えぇ、そんな偶然ってあるのかな?
スレイ:ロゼ、何をそんなに悩んでるんだ?
ロゼ:大したことじゃないんだけど。あたしとデゼルのマドレーヌの味付けがめちゃめちゃ似てるの
ロゼ:なんでかなって思って
デゼル:……
スレイ:ぐ、偶然なんじゃないかな
ロゼ:そうかなぁ。隠し味のパレンジ果汁まで同じってのはちょっとおかしくない?
デゼル:マドレーヌを極めた者が隠し味にパレンジを使うのは常識だ
スレイ&ロゼ:え!
デゼル:マドレーヌだけじゃない。おやつ毎に最適な隠し味の組み合わせが決まっている
デゼル:おやつに限らず料理を極めたいならば正しい隠し味を見極めることだ
ロゼ:あ、うん
スレイ:まさかデゼルがこんなにおやつに詳しいなんて思わなかったよ
ミクリオ:なんかものすごい音がするんだがロゼはいったい何をしているんだ?
デゼル:……おやつを作っている
ロゼ:うわぁー!
デゼル:大丈夫か?何があった?
ロゼ:へーきへーき!バタークッキー作ってて失敗しただけ
ミクリオ:この状況を見ると、失敗と言う以前に作り方そのものに問題がありそうだな
ミクリオ:そもそもバタークッキーを作るのにどうしてダガーやそろばんが必要になるんだ
ロゼ:かき混ぜたり、生地を伸ばしたり、型を抜いたりいろいろ使えるっしょ
ミクリオ:どうすればそんな使い方を思いつけるんだ……
ロゼ:そう?すっごく使いやすいけどな〜。今までこれで作れてたし
ロゼ:今回はたまたまミスっちゃったけど。さ〜て、片付けますか
ミクリオ:……今回はたまたま、だそうだけど?
デゼル:……俺に聞くな
ミクリオ:……じゃあ質問を変えるよ。どうするつもりなんだい?
デゼル:……聞くな……
ライラ:やっぱり小麦はパルバレイ産に限りますね
デゼル:イチゴはマーリンド産、一択だ
ライラ:ミルクはどうしましょう
スレイ:何を話しているんだ?
ライラ:美味しいショートケーキを作るために食材の産地を選んでいるんです
デゼル:食材選びは味を左右する。覚えておけ
スレイ:うん。それでどんな感じなんだ?
ライラ:小麦はパルバレイ産、イチゴはマーリンド産にしようかと
ライラ:あとはクリーム用のミルクなのですが
デゼル:求める味によって産地が変わってくる
ライラ:スレイさんは滑らかさと濃厚さどちらがお好きですか?
スレイ:うーん。濃厚さかなぁ
デゼル:ならばレイクピロー産だ
ライラ:では、それにしましょう。デゼルさん、相談にのってくださってありがとうございます
デゼル:ふん……ただの気まぐれだ。気にするな
ザビーダ:ほーら、出来たぞ!
ロゼ:待ってました!
ライラ:まぁ!
エドナ:……
ザビーダ:どうしたんだ?見ていないで早く食っちまいな
スレイ:いやぁ〜前も思ったけど
ミクリオ:まさかザビーダがブドウのミルフィーユを作れるなんて……
ザビーダ:はは〜ん。俺様の新たな魅力を発見して全員見惚れちまったか
エドナ:調子に乗るな
ザビーダ:いでっ
ライラ:どうしてザビーダさんはこんなにおいしいお菓子を作れるようになったのですか
ロゼ:それ、あたしも知りたい。意外すぎて全く結びつかないんだもん
エドナ:聞くだけ無駄だと思うけど
スレイ:そんなことないさ。ザビーダもやつ時はやつやつだし
ザビーダ:おっ、導師殿はわかってらっしゃる!
ミクリオ:それで、どんな理由なんだ?
ザビーダ:昔一緒に旅をしていたやつがどうしても食べたいって言うから作ってやったのが始まりだ
ザビーダ:そいつがすげー美人でさぁ。可愛く頼まれたから断れなかったって訳だ
スレイ:えっ!
ミクリオ:やっぱり
エドナ:そういう理由なのね
ロゼ:ふう。やっとうまくできた〜
ザビーダ:お、ロゼちゃん。何が出来たんだい?
ロゼ:あぁ、バームクーヘン。前は失敗なんてした事なかったんだけど
ロゼ:同じようにやっているはずなのに最近はうまく仕上がらなかったんだよね
スレイ:それが、ようやく上手く出来たって訳か
ロゼ:うん
ロゼ:はい。セキレイの羽の刻印のバームクーヘン。あたしの自信作だ、食べてみて
エドナ:……95点
スレイ:うまい!
ライラ:しっとりしていてやわらかい。甘さも控えめでちょうどいいです
ミクリオ:周りのシュガーコーティングがいいアクセントになっている
ザビーダ:隠し味は蜂蜜とメロン果汁ってとこか
ロゼ:へぇ〜、よくわかったねぇ。隠し味には自信あったんだけどなぁ
ザビーダ:風が読めるからな。あいつの考えそうな事だ
ロゼ:そっかぁ。こんなところでも助けられていたんだね、あたしは
ロゼ:ありがとう、デゼル
スレイ:ミクリオはいろいろなお菓子が作れるようになったな!
ミクリオ:まさか旅をしながら、ここまで出来るようになるとは自分でも信じられないくらいだ
ライラ:こんなにたくさん作れるのであればもう怖いものなしですわね
ロゼ:おいしいし、戦闘で役に立つしまさにミクリオさまさまって感じ?
エドナ:たまに失敗する事もあるようだけど
ザビーダ:まぁ、それもご愛嬌ってやつじゃね?
ミクリオ:思い思い勝手な事を……
スレイ:まぁまぁ、みんな感謝してるってことだよ
ミクリオ:……そういう事なら……
スレイ:これからもよろしくな、ミクリオ!
エドナ:マロングラッセの芳醇な香りと上品な甘み。大地の恵みが詰まった、おやつの最高傑作だわ
ライラ:ええ。優雅な午後のひと時にいただきたい、贅沢な一粒ですよね
ザビーダ:そうそう、その高級感が女子を喜ばせるんだよねぇ
ライラ:女性の心がよくお分かりですのね
ザビーダ:はっはっは。お菓子は女性の心を溶かす大事なアイテムだからな
エドナ:……マロングラッセはね、手間と時間をかけて薫り高く仕上げるお菓子なの
ライラ:古の大王が最愛の王妃に送ったとも言われるロマンあふれるものでもありますわ!
ザビーダ:そうそう、ロマンとマロンも掛かって、ベスト口説きスイーツなんだよ
エドナ:うまいこと、何ひとつ言えてないし、口説きアイテムに使うなんて1000年早いから
ザビーダ:導師殿、ライラたちは?
スレイ:疲れたから、みんなサウナに入るって
ザビーダ:スレイ、サウナ行こうぜ!
スレイ:後でいいよ、オレは
ザビーダ:つれないこと言うなって。男はハダカのつきあいが大事なんだぜ?
スレイ:普段でもハダカだろ、ザビーダは
ザビーダ:意外に心は厚着してんだって。そんな殻は脱ぎすてて絆を深めたいわけよ
ザビーダ:共犯的な関係でな
スレイ:もしかして……風で女サウナを探る気じゃ……?
ザビーダ:お?真面目な顔してわかってんじゃねえか。この不良導師♪
スレイ:やめた方がいいよ。絶対気付かれるって
ザビーダ:ふう……損得で考える大人にはなりたくないねえ……
ザビーダ:しっとりと流れる汗、熱く火照った体……サウナという健康的かつマニアックな美がそこにある
ザビーダ:スレイ……一緒に美の狩人になろうぜ
ミクリオ:ふう……いい汗かいた。スレイたちもサウナに入ったら?
スレイ:こういうこと?
ザビーダ:あってるけど違うっ!
ミクリオ:ん……?
ザビーダ:ライラたちは?
スレイ:みんなサウナに入るって
ザビーダ:っしゃ!サウナ行こうぜ!ミク坊も!
ミクリオ:僕は後でいい
ザビーダ:反論は却下!男はハダカのつきあいが以下略!
ミクリオ:なんなんだよ、もう!
ミクリオ:……というわけで、燻製用の小屋がサウナの原型という説が有力なようだ
ザビーダ:風を読みきる……俺様ならできるはず!
スレイ:ふうん……どっちにしろ北方の文化だったんだよな。それがグリンウッド全土に広がったんだろう?
ミクリオ:改めて言われると不思議だな
ザビーダ:エドナちゃんはパス!三千年後くらいにまたな
スレイ:昔は大陸全体が寒かったから……とか?
ザビーダ:熱気を駆け抜けて……届け!
ミクリオ:ありうるのか?そんなことが
スレイ:あっ!ヴァーグラン森林の切り株!
ミクリオ:デゼルが言ってたな!気候が冷え込んだか日差しが弱かった時代があったって
ザビーダ:あつっ!風が弾かれた!?ライラの炎か……!
ミクリオ:思わぬものが繋がったね
スレイ:新しい歴史が証明できるかもしれない
スレイ:ふう……
スレイ&ミクリオ&ザビーダ:熱いな
エドナ:うるさいわね。男サウナ
ロゼ:どうせスレイとミクリオがサウナの歴史とかで盛り上がってるんでしょ
ライラ:「なぜサウナが大陸中に広がったんだろう?」とかですね
ロゼ:そうそう
エドナ:そして、けしからんマネをしてる他一名
ライラ:大丈夫です。怪しい風は燃やしておきましたから
ロゼ:ヤボだよねえ。もっと落ち着いてこのアツアツ天国を楽しめばいいのに
ライラ:はい。身も心も浄化されるよう……
エドナ:この気持ちよさに気付けないなんて、ホント男って──
ライラ&ロゼ&エドナ:子どもですよね&子どもよね
番号 | チャット名 | 発生地 | 詳細 |
---|---|---|---|
001 | 装備品を買おう | レディレイク | 導師になった後、聖堂のセーブポイント |
002 | 地の主よありがとう | マーリンド | アリーシャ離脱後にローランス帝国侵攻の話を聞いた後、南口付近セーブポイント |
003 | 導師の道 | フォルクエン丘陵 | ランドンと会ってグレイブガント盆地へ向かう前、橋の東側のセーブポイント |
004 | うまいは気から | ペンドラゴ | セルゲイから通行証をもらった後の宿屋のセーブポイント |
005 | 武器等棒 | 〃 | ザビーダ加入後に宿屋のセーブポイント |
006 | 紐解かれる石碑 | - | 全78の石碑を見つける |
007 | 寄り道のススメ | ラストンベル | 公園でセルゲイと話してから宿屋に泊まる |
008 | シャルウィー神依 | 〃 | 〃 |
009 | スキルを学ぼう | マーリンド | ドラゴンパピー戦後、南口付近のセーブポイントで |
010 | 続・スキルを学ぼう | 〃 | 〃 |
011 | 新・スキルを学ぼう | 〃 | ルーカスに警備の終了を伝えて宿屋に泊まった後セーブポイント |
012 | 最後の・スキルを学ぼう | フォルクエン丘陵 | ランドンと会ってグレイブガント盆地へ向かう前、橋の東側のセーブポイント |
013 | 融合ステキ | ラストンベル | ラストンベルの宿屋に泊まる |
014 | 融合ステキ×365 | ペンドラゴ | いなくなったロゼとデゼルを探してから宿屋に泊まる |
015 | 融合ステキ☆☆☆ | ゴドジン | 火の試練神殿に挑む前に宿屋に泊まる |
016 | そういうごとにしとこう | どこでも | ライラのサポートタレント「融合」の熟練度が一定以上で宿屋に泊まる |
017 | お金いらずの生活 | どこでも | ロゼのサポートタレント「装備発注」の熟練度が一定以上で宿屋に泊まる |
018 | 百戦危うからず | どこでも | デゼルのサポートタレント「湧き寄せ」の熟練度が一定以上で宿屋に泊まる |
019 | 全然はやい | どこでも | デゼルの「早駆け」の熟練度が一定以上で宿屋に泊まる |
020 | どっちがどっち | ラストンベル | ミクリオの「お宝察知」の熟練度一定以上で宿屋に泊まる |
021 | 興味と経験 | どこでも | スレイの「意匠察知」の熟練度一定以上で宿屋に泊まる |
022 | シットに嫉妬 | どこでも | エドナの「ノルまっしぐら」の熟練度一定以上で宿屋に泊まる |
023 | 夕後の会話 | レディレイク | 融合を10回ほど?行った上で宿屋に泊まる |
024 | 絡み合ってすれ違う | ラストンベル | ラストンベル初訪問後に宿屋に泊まった時(武具屋で一定回数以上商品購入の必要あり?) |
スレイ:武具屋にも儀礼剣や杖があって助かったな。……ところで気になることがあるんだけど
ミクリオ:分かってるよ。人間からすると杖だけ浮いて見えるのか?とか言いたいんだろ
スレイ:よく分かったな
ミクリオ:スレイは目を見れば大抵わかる
ミクリオ:人間に見える道具でも、天族が自身の所有物として霊力を注ぐと、天族自身と同じ認識状態にできるんだ
ミクリオ:逆に、天族が作ったものを、人間が見えるように霊力を注ぐこともできるらしい。稀有な能力ではあるが
スレイ:ジイジのキセルがそうなんだろうな
ミクリオ:察しがいいな
スレイ:今の話、ジイジから教わったんだろ?
ミクリオ:……察しがいいな
ライラ:地の主の有用性について、スレイさん達に詳しく説明しておいたほうがよいでしょうか?
エドナ:こういうのは自分で考えないと、いつまでたってもおんぶにダッコになるわよ
エドナ:といっても、影響があるエリアが決まっていることとか、敵を倒していくと恩恵が増えるとか……
ライラ:欲しいスキルがあるときはノルミンさんに協力を頼むと、敵から入手しやすくなるとか……
エドナ:恩恵が増えるほど、有効にできる恩恵の幅も増えるってことを知っておけば十分でしょ
ライラ:恩恵がない土地に入ったら、まずは地の主の加護を取り戻すことを目指したいですわね
エドナ:戦闘に自信があろうがなかろうが、常識っちゃ常識よね
ミクリオ:へぇ
ライラ:聞きましたわね!
ミクリオ:聞いちゃいけなかったのか!
ミクリオ:まったく、なんでこんなことに……
エドナ:今回の相手は人間。しかも戦争。それが問題ね
ライラ:はい。退けるためとはいえ、人を傷つけなければならない……
ライラ:それはスレイさんの心の痛みとなって穢れを生む原因になるかもしれません
ミクリオ:そんな……それじゃ導師が穢れないのって、針の穴を通すようなものってことじゃないか?
ライラ:それが人と関わるということ……
ライラ:そして、それが導師の道なのですわ
エドナ:アリーシャのこと、ぱーっと忘れちゃえば簡単なのにね
ミクリオ:できるわけない
エドナ:わかってる
エドナ:だからあの子は導師なんてやってるんでしょ?
ライラ:ええ
ミクリオ:………
ミクリオ:覚悟を決めなきゃってことだな。僕も
ロゼ:今日は結構食べちゃったな〜……ちょっとお腹が痛い……
ライラ:あらあら。食べすぎはいけませんわよ
ロゼ:ちなみに天族は食べ過ぎてお腹壊したり太ったりとかしないの?
ライラ:メルヘンな言い方をしますと「想いは形になる」という感じですわね
ロゼ:なんのこっちゃ
ライラ:カロリーを摂取して太るのではなく、「これだけ食べたら太るだろうな」という思いが形に
ロゼ:わーお。逆に言うと、思わなければオッケーってこと?
ライラ:いえ、事象の否定は穢れに繋がります。天族に現実逃避は許されないのですわ
ライラ:結局のところ、人間と同じに考えていただけると
ロゼ:ややこし
ミクリオ:度々気になってはいたんだが……
エドナ:何よ
ミクリオ:地の天族であるエドナが、どうして水属性っぽい傘を武器に選んでいるんだ?
エドナ:……まあ、教えといてもいいかしら。理由はね、地の天族だからよ
ミクリオ:……?
エドナ:地・水・火・風の優劣関係は知っているでしょう?地は水を調伏できる。ということは……
エドナ:特に天響術の行使の際、優位な属性を触媒にすることで霊力を引き出す効率を高めるの
ミクリオ:何だって……!
エドナ:一応言っておくけど、ライラも風に舞う紙葉を使っているし、ペンデュラムは地属性の鉱石を触媒にしてるわ
エドナ:アナタの使っている杖は基本的に地属性。水の天族のくせに不利なもの使ってバーカバーカ
エドナ:……と言いたいところだけど
ミクリオ:もう言ってるぞ!
エドナ:負荷をかけて鍛錬する目的や、天響術ではなく物理的な攻撃を起点にするのであれば、別に間違ってないわよ
エドナ:長い間生きていると、より楽な道を選びたくなるもの。もし今に満足せず、もっと強くなりたいのなら……
エドナ:自らに鎖をかけて、苦難の道を歩くのもいいかもね……天才を超えたいのなら
ミクリオ:エドナ……
エドナ:まあどうせ知らずに使ってたんだからやっぱりバーカバーカ
ミクリオ:ぐっ……!
スレイ:石碑を書いた人って……メーヴィンじゃないかと思うんだ
ライラ:いくつか古代文字の書き方に独特のクセがありましたわ。そうなのかもしれません
ロゼ:確かに見たことあるかも。もちろん読めなくて聞いてみたら、「俺だけの暗号だよ」って言ってたけど
ライラ:メーヴィンさんらしいですわね
ロゼ:導師を導くために各地に石碑を点在させたのかな……
スレイ:順序の差はあれ、イズチから南下していくことで効率的に戦略が学べるようになっていた。まさか……
ライラ:ただ、あの石碑が書かれたのは風化具合から見ても10年20年ではないですわね
スレイ:過去の導師に宛てたものを、俺たちが辿って行った……ということかな
ライラ:……かも、しれませんわね……
スレイ:この街、色々物騒な噂があるよな
ミクリオ:ああ。災厄の時代を実感するね
スレイ:憑魔が関わってるっぽい噂も多い……
ライラ:興味がおありなら調べてみては?
スレイ:けど約束があるし……
ロゼ:別に寄り道してもいいんじゃない?約束破るわけじゃないし
ライラ:ええ。私もロゼさんに賛成です
ミクリオ:僕もだ。意味のない遠慮には意味がない
スレイ:はは、そりゃそうだ
スレイ:わかった。後悔しないように行くよ
エドナ:関わって後悔することも多そうだけど
デゼル:神依の力を得てみて、言っておきたいことがある
スレイ:うん
デゼル:奥義は特技に強く、天響術は奥義に強く特技は天響術に強いという原則がある
デゼル:しかし俺たち天族は特技と天響術しか使えず全ての敵に常に対処できるわけではない
デゼル:スレイ達は特技と奥義。そして神依時は奥義と天響術というわけだが……
スレイ:人間、天族、神依。3つの状態でそれぞれを補うことができる……ってことか
デゼル:ああ。天響術を使ってこない敵に対して神依時のほうが対処がしやすい
デゼル:逆に神依でないほうが対処しやすい敵もいることになる。神依は絶対ではない、ということだ
スレイ:確かに
デゼル:二人の戦力が一人に集中することによるメリットとデメリットもある。戦況を常に見極めろ
デゼル:だが、考えすぎて何もできなくなるのが一番まずい。身の丈に合った戦い方をしろ、いいな
スレイ:一歩ずつ進んでいけばいいよね。ありがとデゼル!
スレイ:装備品のスキルについて詳しく教えてくれないか
ライラ:いい心がけですわ。まずは基本スキルについて学んでいきましょう
エドナ:基本スキルは10のグループと5の属性に分類されるわ。よって全部で10×5、計算できる?
ライラ:この50のスキルの名前を持つノルミンさんたちがいまして、効果を引き出す能力をお持ちです
エドナ:気に入ったスキルがあったら、アイツらでも見つけて地の主へ送り込んでコキ使ってやるといいわ
ライラ:グループと属性……これは能力を整理する目安になるだけでなく、ボーナススキルに関わって来ますわ
ライラ:……と、ここでお時間です。ではまた来週お会いしましょう
スレイ:お時間?来週?
ライラ:さて2回目となる本日は、スキルのグループについて説明いたしましょう
スレイ:ボーナススキルじゃないの?
エドナ:聞く側が段取りを指示すんな。黙って聞け
スレイ:はい
ライラ:全てを一気に説明しても得策ではないので、早めに獲得するものについてお教えします
ライラ:「ステータス系」。これは基本ステータスを割合で上昇させます。なので得意分野を伸ばすのがよいですわ
エドナ:「HP系」は体力に関わるものよ。ダメージ受けがちなら重点的に集めることね
エドナ:当たるなって話だけど
ライラ:このように戦術を明確にすうには、まず同じグループを揃えてみることがひとつの選択肢になるのですわ
エドナ:そこで発生するのがボーナススキル、ってわけよ
ライラ:ではまた来週〜
スレイ:また来週!?
ライラ:最近は過ごしやすい天気が続きますね。本日のスキル講座のお時間ですわ
スレイ:なんか前フリが増えてきたぞ
エドナ:今日は待望のボーナススキルの話よ。嬉しい?
スレイ:あ、うん
ライラ:意識せずとも既にいくつかのスキルが発生しているかと思いますが、基本スキルの組み合わせにより生まれる
エドナ:それが
ライラ:ボーナススキル!といっても仕組みは単純でルールは3通りしかありません
エドナ:全く同じスキルを複数セットすることで発現する「セイム」。固めうちする際のおまけね
ライラ:セット数に応じた効果が、1つだけ発現しますわ
スレイ:同じスキルを4つセットしたら、3つ目や2つ目の「セイム」は発生しないってことか
エドナ:そして同じグループの5属性のスキルを全て揃えた時のみ生まれるのが「ユニオン」
ライラ:これは必ず5つ全てを揃えないと発生しませんがそのグループの効果を更に大きく引き出しますわ
エドナ:最後に同じ属性で隣同士に並べると発現する「エルム」だけど……
ライラ:また来週ー!
スレイ:えー!
ライラ:本日はボーナススキルの「エルム」について!「ユニオン」が縦並びだとすると、横並びですわね
エドナ:「ユニオン」と違って、2個以上並べるだけで発現するわ。連続して並んでないとダメよ
スレイ:グループが10あるってことは、2個から10個まで?
エドナ:そう。何個並べたかで効果も変わってくるわ。逆に同じ効果を重複させることもできるわよ
スレイ:えーと例えば無属性スキルの「アタック」「ランページ」を2つずつセットすると……
ライラ:「エルム2」が2個発現して無属性ダメージ20%軽減、更に「セイム2」も2個発現することになりますわ!
エドナ:気をつけないといけないのは、ここに3つめの無属性スキル「ブラッディ」を1つつけると……
ライラ:「エルム3」が発現しますが、「エルム2」は2つとも消えてしまいます
スレイ:「エルム」は連結数が優先されて、その最低のセット数で発現されるってことか
エドナ:そう。ボーナススキルは基本的にメリットだけど上級者の領域になると、そこの駆け引きもあるわ
ライラ:ただ闇雲に装備品を組み合わせるのは大変ですしスッキリする装備品を融合するのがお勧めですわよ
スレイ:4つ全てが同じスキルな装備品だったり単体で「エルム4」が発生する装備とかか……
ライラ:はい!融合と装備のコーディネイトによってスキルは基本能力以上の潜在能力を発揮するのです!
ライラ:と、ここで重大なお知らせが……
スレイ:また来週なの?
エドナ:今週で最終回よ
スレイ:えっ
ライラ:えっ
ロゼ:装備品の融合って、実は法則性とかあるの?
ライラ:さすがロゼさん。その通りですわ。融合においてランダムで決まることは一切ありません
ロゼ:眠くならない範囲で教えてくれる?
ライラ:はい。まずは融合ルールは、同じスロット位置のみで発生します。これだけでも複雑でないのが分かるかと
ロゼ:2つのスキルが、スロット1とスロット3に入ってることもあるけど、意味があるわけだ
ライラ:そうです。どの位置にスキルがあるか、それも装備品の価値を分ける重要なファクターですわ
ロゼ:重要な……ファー……
ライラ:でもって……あら?寝てます?
ロゼ:融合の話の続き教えて
ライラ:はい。融合効果は同一スロットの間で決定しますので3種類の組み合わせだけ覚えればよいのですわ
ライラ:スロット1はそのままですが、これは「同じスキル同士なら、そのスキル」というルールによるものです
ロゼ:他のスロットでも同一スキルならそうなるわけだ。両方空きでも、そのルールで空きになると
ライラ:片方が空いている場合、これは「埋まっているほうのスキル」になります。これも明快ですわね
ロゼ:肝は最後の「両方に別のスキルがある場合」か〜
ライラ:はい。この場合一時的に封印された状態になりますがこの時点でスキルは決定されています
ライラ:この封印を解く方法が……ってあらまぁ
ロゼ:封印を解く方法が……ってあらまぁの続きは?
ライラ:あら?おきてました?封印されたスキルは装備して戦闘を重ねることで開放できますわ
ロゼ:熟練度を☆ひとつにすればいいわけだ
ライラ:はい。どのスキルになるかは特定のルールがあります。融合前に確認できますが……
ライラ:同じ属性スキルなら、同じ属性の別のスキルに、同じグループのスキルなら、同じグループ内のものに
ライラ:いずれも違う場合、二つのスキルの間くらいのレアリティのものになりますわね
ロゼ:封印中のスキルがある装備を融合するとどうなるの?
ライラ:それです!そこが融合の最重要ポイント!封印中のスキルは「空き」とみなされますわ
ライラ:これを利用することで、片方の装備に空きがなくても残したいを封印中の装備と融合すれば……
ライラ:えー?!ここで寝ます〜?
ライラ:♪〜
エドナ:何してんの?
ライラ:装備品の融合中なんですの
エドナ:ああ、あのやたら時間のかかるアレ?
ライラ:装備品の秘めたる力を抽出し新たな装備品を生み出す。素敵ですよね
エドナ:素敵、ねえ……
ライラ:天族にはたっぷり時間がありますもの。こういう趣味もいいものですわよ
エドナ:……それ、趣味なの?
スレイ:ロゼ、なんかの紙が落ちてたよ
ロゼ:お、サンキュ。装備発注書類だね
スレイ:装備発注…って店に取り寄せてもらうやつ?
ロゼ:そうそう。興味ある?
スレイ:商売とか、取引とかってどうなってるのかな、とかは
ロゼ:お金とは縁のない生活を送ってたんだっけ
スレイ:レディレイクで初めて見たかな
ロゼ:人間社会はお金が基本だよ。何より装備品はあたしらの生命線だし、やってみる?
スレイ:うん。わからないところは教えて
ロゼ:デゼルは憑魔の知識が結構あるよね。ライラもエドナも
デゼル:しとめる対象だからな。そもそも、敵を知るのは当然だろ
ロゼ:そりゃそうだ。とはいえ、なんとかなるのと生理的に受け付けないのといるしなあ
デゼル:……なら余計知っておけ。知識や情報として処理する方が気にならないだろう
ロゼ:そんなもんかな?確かにね。まあ、前向きに考えてみるよ
デゼル:……いつまで守れるか、わかりゃしねえしな……
ミクリオ:デゼルの「早駆け」の術は、世界を回るには相当有用だな
ロゼ:風って言ったら、やっぱりスピードだよね
デゼル:スピードを得るのは、風とは限らんぞ
ロゼ:どゆこと?
デゼル:力の源泉はひとつだ。それに、ひとつの結果には複数の原因があるものだ
ロゼ:うーん、よ〜わからんけど
デゼル:力の使い方が違うだけで、水だろうが火だろうが同様の効果は得られる
ミクリオ:デゼル、僕にも使えるようなら是非教えて欲しい
デゼル:……基本だけは教えてやる。あとはお前次第だ
ロゼ:デゼルはいつも面倒見いいねえ
デゼル:ちっ、言ってろ
ロゼ:ねえねえ、遺跡探索マニアになったのはどっちの影響なの?
スレイ:どっちが先かなんて覚えてないなあ
ミクリオ:スレイに連れまわされたのが先だろ。どう考えても
スレイ:遺跡のお宝に興味を持ち始めたのはミクリオが先だったよな?
ミクリオ:探索の実績として目に見える目標を掲げただけだ
ロゼ:うーん、ひとつ分かったことがあるよ
スレイ:何?
ロゼ:あたしは興味ないってことが
ミクリオ:聞いておいてそれか……
スレイ:デゼルは遺跡に詳しいの?
デゼル:各地を転々として、多少の知識はあるがお前のように興味を持って探索したことはないな
スレイ:見つけた物から広がる発想を、新しい発見で真理に近づけたり、逆に広げるのが楽しいんだ
デゼル:人間が注目したり、昔から残っているものに、その土地特有の「匂い」を感じることは俺にもある
スレイ:匂いか……オレにもわかるようになるかな?
デゼル:経験で二流にはなれる。一流になるには才能だがな
スレイ:頑張ってみる。オレが見落としそうになってたら教えてくれると助かるよ
デゼル:ああ……お前の趣味を邪魔しない範囲でな
エドナ:ライラ。ちょっと座りなさい
ライラ:なんですの?
エドナ:いいから座りなさい。あなた、知り合いのノルミンもいるのに、さほど興味ないわよね
ライラ:まあ、いいお友達でいましょうくらいの関係ですわね
エドナ:何それ、座りなさいよ。ライラは奴らを甘く見てるわ。50人のノルミンどもを全力で捕獲しないと
ライラ:エドナさんはノルミンさんが大好きなんですね。傘にもつけてますものね
エドナ:大好きなんかじゃないわ。というかなんで座らないのよ!
ライラ:以前も座ったところから徹夜コースでしたし徹夜はお肌に悪いので……おやすみなさ〜い
エドナ:コラ!座れ〜!
ミクリオ:武具屋での「融合」は、戦力を整えるのにかなり有効だな
ライラ:はい。人間の中にも、神器を始めとした装備品の秘められた能力を引き出す術があるのですね
ミクリオ:いらない装備も、とりあえず融合してみたら役に立つようになることもあるみたいだしね
ライラ:私も多少のたしなみはあるんですのよ。昔の勘を取り戻すには時間がかかるかもしれませんが
スレイ:へー!オレにもできるかな?
ライラ:資質がない方は頭の後ろの辺りの神経っぽい感じのものが切れる感じが耐えられない感じかと
スレイ:へー……
ロゼ:思ったより憑魔っているもんね。気づかないってのは、ある種罪なのかもねー
エドナ:そうね。無知無知は罪ね
ロゼ:でだ。戦いを勝ち抜くにはいい装備は欠かせないと思わない?
エドナ:真の達人は武器を選ばないとも言うけどね
ロゼ:達人でないあたしらとしては、仲良くなった店に特別に注文を出しておくのがいいかなって
エドナ:店にとっては金の切れ目が縁の切れ目だけどね
ロゼ:そうそう。長い目でお買い得にするには店主を涙目にさせる値切り交渉よりお得意様になるのが大事!
ミクリオ:噛みあってないのか、噛みあってるのか?
2008-2024 CopyRight(C) 究極攻略最前線