ヴィンセントの暮らすとある街では、「寝ていただけの男が、苦悶の表情で死んでいる」という怪奇な事件が多発していた。
しかも、被害者は若い男性ばかり。
また、その陰で「落ちる夢を見たとき、すぐに目が覚めないと、そのまま死ぬ」という、奇妙な噂も流れ始めていた……。
……そんな中、ヴィンセントは行きつけのバーで、5年の付き合いになる恋人、キャサリンとの関係に頭を悩ませていた。
「いまの生活のままで良い」と思う自分と、「結婚」を仄めかす恋人。
揺れ動く狭間で、答えが出せないヴィンセント……。
そこへ、突然謎の美女が現れる。
その美女は、他に席はたくさん空いているというのに、わざわざ相席を申し出る。
魅惑のプロポーションに、体を押しつけるストレートな誘惑。
そして「彼」好みの容姿……。
ヴィンセントは、成り行きに任せるまま、一夜の過ちを…。
美女との出会いの日をきっかけに、ヴィンセントは毎夜、「悪夢」にうなされ始めることとなる。
これはもしや噂の悪夢なのか……。
ヴィンセントが謎の美女キャサリンと一夜を過ごした後も、怪事件は後を絶たずにいた。
「怪事件は"魔女"が引き起こしている」「悪夢の正体は、遊んでばかりの浮気男を恨んだ"女の呪い"」と立ち上る奇妙な噂。
……そんな中、ヴィンセントもまた、毎晩例の悪夢にうなされていた。
悪夢の日々と同じくして、謎の美女キャサリンとヴィンセントとの関係も、流されるように続いていた。
妖艶な体を大胆にすり寄せ、"つながり"を求めてくるキャサリン。
また、結婚という形ある"つながり"を求める恋人のキャサリン。
そして、その間で揺れ動くヴィンセント。
三人の関係は時と共に縺れ、時に一触即発の修羅場を招く場面も……。
そんな毎日の中、ヴィンセントに一本の電話が掛かってくる。
「スティーヴ」と名乗る、聞き覚えのない男の声。
男は、威圧的な声でヴィンセントを恫喝する。
「キャサリンは、俺の女だ」
「スティーヴとは一体、何者なのか……?」
「悪夢の正体は果たして……?」
ヴィンセントを取り巻く三角関係は、歯止めの利かない方向へと再び動き始めてゆく……。
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